発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

異年齢 遊び

【年上の遊びを観察することの意味とは何か?】異年齢における遊びの大切さについて

投稿日:2023年6月22日 更新日:

遊びにおいて、異年齢での関わりはとても大切です。

私たちは、年下の面倒を見たり、年上から様々なことを教えてもらいながら成長・発達していきます。

子どもたちの中には、自分よりも年上の子どもの遊びを見ることで得られるものがたくさんあります。

 

それでは、遊びの中でよく見られる年上の遊びを年下が観察することにはどのような意味があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、年上の遊びを観察することの意味について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、異年齢における遊びの大切さについて理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「ピーター・グレイ(著)吉田新一朗(訳)(2018)遊びが学びに欠かせないわけ 自立した学び手を育てる.築地書館.」です。

 

 

スポンサーリンク

年上の遊びを観察することの意味とは何か?:異年齢における遊びの大切さ

以下、著書を引用しながら見ていきます。

異年齢混合の環境では、たとえ両者が直接的にやり取りをしていなくても、年少者は年長者がしていることを見たり、話していることを聞いたりすることで学びます。年長者がしている活動を観察することで、年少者は、その活動がどのように行われるのかの感触を得ることができ、それを試してみたくなります。

 

成長していく際の自然のプロセスの1つは、「見本」を見るということです。

 

著書の内容から、年下の子どもが年上の子どもの遊びを観察することで、年下の子どもの中で、その遊びのやり方の感触をつかむ助けとなり、そして、実際にやってみようとする動機づけが生じると考えられています。

子どもが様々なことを学び成長していくために、他者の〝見本″はとても大切だということです。

私たちは、すでに様々な遊びを知っている他者から多くのことを直接的に教えてもらう以外にも、間接的に他者の行動を見聞きすることで学ぶことができます。

遊びの多くは、他者が行っている遊びを見て〝楽しそう!″〝やってみたい!″〝同じようにやりたい!″などの内発性が引き金となって、実際に遊びを行ってみようとすることが多いと思います。

そして、一度、楽しかった遊びを子どもたちは繰り返して楽しみます。

遊びの導入・きっかけを作ることはその後の遊びの発展において非常に大切であり、そのきっかけをつくるものが他者(すでにその遊びを知っている者)の遊びのを観察することにあります。

 

 

著者の経験談

著者は放課後等デイサービスで様々な子どもたちへの療育をしています。

放課後等デイサービスには、様々な異なる年齢の子どもたちがいるため、異年齢での交流が多く見られます。

その中で、年下の子どもが年上の子どもの遊びに憧れを持つケースも多くあります。

例えば、年上の子どもが、戦いごっこでかっこよく戦う姿や技の豊富さ、非常にクオリティの高い工作物などを年下の子どもが近くで見ることで、ある種の憧れや、〝自分もやってみたい″といった気持ちが高まる様子が見られます。

戦いごっこで強い子どもを見た年下の子どもたちは、〝自分も強くなりたい″といった思いから、戦いごっこにハマり出す子もいます。

また、電車やバス、剣や銃といったハイクオリティの段ボールでの工作物を見た年下の子どもたちもまた、〝同じような工作物を作りたい″といった思いから、工作にハマり出す子もいます。

このように、最初は誰かがやっている遊びを傍で見ることで、その子の中の内発性が高まり、実際にやってみたいといった気持ちが生じることはよくあるように感じます。

もちろん、やってみたい思いに加え、遊びのやり方を漠然と理解できるという利点も、観察すること、手本を見ることの長所としてあります。

 

また、実際の前の前にいる年上の子どもの影響ではないにしても、YouTube(例えば、子どもが出している動画など)を通して、自分にはできないものを創作している様子を見て、そこから同じような遊びをする子もいます。

こうした遊びは大人よりも自分と年齢が近い子どもであるからこそ、〝自分にもできそう″といった身近な気持ちが生じるように思います。

このように、子どもたちの様子から、他者の遊びを観察することで自己の内発性を高め、遊びのやり方を漠然と知り、実際に行動に移そうとするケースが多くあると感じます。

 

 


以上、【年上の遊びを観察することの意味とは何か?】異年齢における遊びの大切さについて見てきました。

実際に著者の過去を振り返って見ても、大人が活動する様子に憧れを持つこともありましたが、自分からみてより近しい存在である年上の子どもの遊びや活動を観察することで興味が広がったこと、遊びのやり方が理解できたことがよくありました。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も異年齢での遊びの大切さを理解していけるように、実践から多くのことを学んでいきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【年上と遊ぶことの価値とは何か?】異年齢における遊びの大切さについて

 

ピーター・グレイ(著)吉田新一朗(訳)(2018)遊びが学びに欠かせないわけ 自立した学び手を育てる.築地書館.

スポンサーリンク

-異年齢, 遊び

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

発達支援(遊び編):「相撲ごっこ」

私が以前いた療育施設では様々な遊びを行っていました。 様々ある遊びの中でも私が得意であった(勝手に思い込んでいる)遊びが体を使った遊びです。体を使った遊びも、トランポリンやアスレチック遊び、ブランコや …

発達支援(遊び編):「トイレットペーパー遊び」

私がいた療育施設では、様々な遊びを考え実践してきました。その中で、子どもたちが興味関心を示す遊びを構想することは思いのほか難しいです。 せっかく考えた遊びも直ぐに興味をなくしてしまうなど、新しい遊びを …

【子どもが危ない遊びをする意味とは何か?】療育経験を通して考える

子どもは様々な遊びを通して自己を成長させていきます。 遊びの中には、少し危険とも思われる遊びがあります。 危険な遊びをどの程度許容できるのかは、養育者の持つ考え方、子どもの状態像の違い、地域・社会環境 …

療育(発達支援)で大切な〝遊び経験の物語化″について考える

療育(発達支援)では、〝遊び″が中心的な活動になります。 子どもたちは〝遊び″を通して、自己を発揮したり、他者と関わる楽しさを学んでいきます。 子どもたちが行う〝遊び″は、一度きりで終わるものもありま …

療育(発達支援)で大切な〝遊びの流れ″を作ることについて考える

療育(発達支援)では、〝遊び″が中心的な活動になります。 子どもたちは〝遊び″を通して、自己を発揮したり、他者と関わる楽しさを学んでいきます。 〝遊び″には、〝個別(一人)の遊び″や〝集団遊び″など、 …