著者は発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育(発達支援)を行ってきています。
療育現場での様々な実践経験を通して、実践をまとめることの大切さや実践をまとめていくために必要なことについて多くの学びがあったと感じています。
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実践経験を事後的にまとめることも大切ですが、実践を行う上で事前に目標を定めて取り組むことも大切です。
それでは、実践を行う上で事前に目標を設定することにはどのような意味があるのでしょうか?
そこで、今回は、実践を行うための目標の重要性について、臨床発達心理士である著者の発達障害児支援の経験をもとに考えを深めていきたいと思います。
実践を行うための目標の重要性について
著者が実践を行う上で目標を掲げることの重要性は主に以下の3点があると考えています。
①実践を振り返る基点となる
②実践が積み重なっているという感覚の実感が得られる
③実践⇔評価の繰り返しが実践の質を高める
それでは、次にそれぞれについて見ていきます。
①実践を振り返る基点となる
実践を行う上で目標を立てることは、実践を進めていくにあたり実践がどのように進んでいるのかを考える基点を作ることができます。
目標を立てることは、つまり、ゴールを設定することです。
ゴールがあることで、日々の実践がどのように進捗しているのかを確認する基点ができます。
著者は子どもたちと関わる上で、様々な目標を個人的に設定する機会があります。
もちろん、個別支援計画など職務上必要なものもありますが、それ以外にも、個人として重要だと考える様々な目標があります。
例えば、大人との信頼関係の構築、興味関心の広がり(深まり)、集団遊びを通しての自信の構築、など子どもたちに応じて様々な目標を立てます。
目標を立てる際に大切にしていることは、アセスメントを行い、見立てることです。
アセスメントを取ることで、子どもたちが生きていく上で今後何が必要となるのかを考え、○○の力がついてくれば将来の発達が豊かなものになるであろうという仮説を立てます。
つまり、目標を立てることは、暫定的な支援仮説を立てることに繋がっていきます。
そして、支援仮説を立てることで、実践後、その仮説の検証を行うことができます。
以上の観点から、目標を立てることは実践を振り返る基点を作ることができます。
②実践が積み重なっているという感覚の実感が得られる
継続は力なりといった言葉もあるように、単発の実践では支援が積み重なっているという実感が得られないと感じます。
自らの実践が積み重なっているという感覚を得るには、目標を立てること、そして、目標に向けて日々の実践の積み上げを大切にしていくことにあります。
著者は、子どもたちへの支援仮説を立て、それに基づいて支援を進めていく機会がありますが、支援がうまく進捗したかどうかは多くの場合、長期のスパンで見ていかないとわからないといった感覚が強くあります。
それは、人が発達(成長)していくということは、日々の経験からの学習の積み重ねであるため、一気に飛躍するというよりも積み重ねていくことで身に付いてくる力の方が多くあるからです。
そのため、実践においても、継続して経過を見ていくという意識がとても重要だと考えています。
③実践⇔評価の繰り返しが実践の質を高める
実践を行い、実践の結果を評価することは、単純に目標設定が妥当であったのか?実践方法が良かったのか?という単純な話ではなく、子どもたちの変化(発達)に応じて目標を修正していくという臨機応変さもにも繋がっていきます。
目標の修正の妥当性を考えていくためにも、日々の実践⇔評価の実施がとても大切だと感じます。
著者はある子どもへの支援目標を立て、支援を進めて行く中でうまくいかない壁に出会うことが多くあります。
その際に、やみくもに目標を修正するというよりも、これまでの経緯を踏まえて修正していくことで様々な発見や学びがあると感じています。
つまり、①目標設定→実践→評価→修正→②再度、目標設定、という手順を繰り返すことで、①→②に移行する際に多くの学びがあり、結果、実践の質も向上すると考えています。
以上、【実践を行うための目標の重要性について】発達障害児支援の経験から考えるについて見てきました。
実践を行う上で目標を立てることは容易なことではありません。
それは、目標通りに事が運ばないことが多いからです。
しかし、目標を立てることで人は目標に向けて思考を働かせることができます。
日々、同じようなことを繰り返さないためにも、暫定的でも良いので目標を立てることをお勧めします。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で様々な事柄に目標を持ちながら、常に自分の頭で考え続けることを継続していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。