療育(発達支援)の現場において、〝遊び″は、子どもたちの力を育てる上で非常に重要な位置を占めています。
一方で、発達障害など、発達に躓きのある子どもたちに対して、〝遊び″を考案することは思いのほか難しい場合があります。
それでは、発達に躓きのある子どもたちに対して、興味を引く遊びを考え実施していく上で、どのような点に難しさがあると考えられているのでしょうか?
また、その上で、どのような点に気を付けて遊びを組み立てていけば良いと考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、子どもの遊びを見る上で大切な二つの視点について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「藤野博(編)(2008)障がいのある子との遊びサポートブック 達人の技から学ぶ楽しいコミュニケーション.学苑社.」です。
子どもの遊びを見る上で大切な二つの視点
最初に、子どもの遊びを組み立てる難しさについて見ていきます(以下、著書引用)。
これはそれほど簡単ではないかもしれません。遊びを遊びにするものは〝遊び心″の中にあるのであって形の中にはないからです。つまり、これさえやっておけばどんな子でも楽しく遊べるという万能のアイテムはないということなのです。
著書の内容から、子どもの興味を引きつける遊びを考案し組み立てていくことは、簡単ではないと記載されています。
つまり、様々な〝遊び″には、ある程度のフォーマット(型)があるにせよ、フォーマット通りにやったとしても、子どもがその〝遊び″に興味関心を持つかどうかといった保障はありません。
大切なことは、関わり手の〝遊び心″にあると言えます。
著者も、この点については、療育(発達支援)の現場を通して納得できる点が多くあります。
関わり手(著者)が、楽しそうにやっている姿、それは一見すると型破りな遊びであっても(フォーマット通りではなくても)、子どもの〝遊び心″を引く上でとても大切だと実感しているからです。
そのため、〝この子どもには、○○のような働きかけをしてみよう!″といった、関わり手の想像力やユーモアなどがとても必要だと言えます。
以上を踏まえて、次に、〝子どもの遊びを見る上で大切な二つの視点″について見ていきます。
ポイントは、子どもの現状の「①認知発達の把握」と「②興味関心(好き嫌い)の把握」です。
①と②の二つの視点が、子どもに合っている/好きである、という理解(把握)が必要です。
「①認知発達の把握」
以下、著書を引用しながら見ていきます。
一つは子どもの発達段階です。
子どもが楽しめ意味のある遊びにするためには、認知が発達する道筋を知っている必要があるのです。
著書の内容から、子どもの遊びを見る上で大切な視点の一つ目として、子どもの発達段階の理解、中でも、認知の発達段階の理解が大切だと記載されています。
例えば、感覚運動期(感覚と運動を通して外の世界と関わる段階)の子どもに、見立てやごっこ遊びなど、次の発達段階(認知の段階)の遊びを提案したとしても、子どもにとって楽しみ方が理解できないと言えます。
つまり、現状の子どもの認知発達の把握が必要になります。
「②興味関心(好き嫌い)の把握」
以下、著書を引用しながら見ていきます。
もう一つの視点は強さ弱さや好き嫌いなどのそれぞれの子どもの特性や好みです。
著書の内容から、子どもの遊びを見る上で大切な視点の二つ目として、子どもの強みや弱み・好き嫌いといった興味関心の理解が大切だと記載されています。
子どもにとっては、一人遊びが好きな子どももいれば、他者との関わりが好きな子どももいます。
また、製作遊びが得意な子どももいれば、体を使った遊びが得意な子どももいるなど、子どもの興味関心は多種多様です。
そのため、関わり手が無理に遊びを強要せずに、子どもたち一人ひとりの興味関心を把握していきながら、遊びを組み立てていくことが必要になります。
著者の経験談
以上の二つの視点は、著者も遊びを組み立てる上でとても大切にしています。
まずは、やろうとしている遊びが子どもにとって理解可能なものかを把握することがとても大切です(認知発達の把握)。
一方で、集団遊びなどにおいて、子どもが遊びのすべてを把握していなくても、部分的に理解できる箇所もあります。
そこで、子どもが理解できる部分において、子どもの注意を引きつけ、部分参加を促すことで、多くの子どもが楽しめる遊びを考案することも可能だと感じています。
大切なことは、子どもが○○の遊びにおいて、どの程度の理解ができるのかという視点を持つことです。
次に、やろうとしている遊びが子どもの興味関心に合っているかどうかを把握することが大切です。
興味関心の把握は、子どもが自発的に取り組んでいる遊びからヒントを得ることができます。
子どもは自分が好き・得意である領域において、自ら遊びを考え実行することが多いからです。
一方で、子どもの行動の発信待ちに留まらず、関わり手が様々な遊びを仕掛けてみることも大切だと感じています。
著者は、様々な遊びを子どもに見せていく中で、子どもの興味関心の幅が広がったと感じるケースは、これまで多くあったと体感しています。
そして、その際に、重要なことが〝遊び心″を持って関わるといった姿勢だと言えます。
子どもは、関わり手が楽しそうにやっている様子を見て、興味関心が湧くことが多くあるからです。
以上、【子どもの遊びを見る上で大切な二つの視点】療育経験を通して考えるについて見てきました。
子どもの遊びを見る上で大切な視点は他にも様々あると思います。
大切なことは、遊びを通して子どもの成長を実感できること、そして、そのために、どのような遊びの考案と促しが大切であるかといった理解だと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場の中で、子どもたちと様々な遊びを通して、子どもたちの発達に少しでも貢献できるような関わり方を見出していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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藤野博(編)(2008)障がいのある子との遊びサポートブック 達人の技から学ぶ楽しいコミュニケーション.学苑社.