著者は長年にわたり、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育(発達支援)をしてきています。
療育(発達支援)をしていく上で、子どもの〝発達段階″といった〝子どもが時間変化の中でどのような成長過程を辿っていくのかという道筋″を理解しておくことが大切です。
もちろん、子どもの成長・発達の速度や質は個々に応じて異なりますが、○歳は○○を獲得する時期、〇歳は○○の特徴(課題)が見られる時期など、おおよその目安があると考えられています。
そして、〝発達段階″を理解することは、子どもの発達の躓きを理解することにも通じていきます。
それでは、7~9歳頃の年齢において、どのような発達段階の特徴(発達課題)があると考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、子どもの発達段階(7~9歳頃)について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「宮尾益知(2017)0歳から大人、進学から就職へのすべてがわかるハンドブック 発達障害の基礎知識 改訂版.河出書房新社.」です。
子どもの発達段階:7~9歳頃
以下、著書を引用しながら見ていきます。
7~9歳頃までは学校生活にも慣れたもっとも落ち着いた時期であるといわれています。
7~9歳の年齢は、小学校1~3年生頃の年代になります。
この年齢の子どもと関わったことのある人なら著書に記載のある〝学校にも慣れたもっとも落ち着いた時期″だという実感があるのかもしれません。
一方で、著者は発達障害など発達に躓きを抱えている子どもと多く関わってきました。
その経験から言えることは、その子に合った環境が整えられている場合において〝落ち着いた時期″だと言えると感じています。
この時期に心理的に不安を抱えると次のような特徴が生じる場合があります(以下、著書引用)。
この頃にいろいろなストレスがあると、爪かみ、抜毛、チックなどが出現する時期でもあります。
とくに発達障害やうつ病ではこの自尊心が育っていない、欠如していることが多いといえます。
著書の内容から、この時期に心理的な不安感(ストレス)が高まることで、様々な症状(爪かみ、抜毛、チックなど)が見られるとしています。
そして、発達障害などにおいては、この時期に〝自尊心‟がうまく育っていない場合もあると言われています。
著者は療育経験を通して、発達障害など発達特性が見られる子どもに適切な環境が整えられていない場合には、この時期に、二次障害のリスクが高まることを実感しています。
二次障害の症状は急にはじまるというよりも、環境にうまく適応できない状態が長引くことで(心理的ストレスの増加)、自尊心の低下、そして、様々な行動上の症状が見られてくるのだと思います。
それでは、心理的ストレスに対して基本となる対応には、どのような方法があると考えられているのでしょうか?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
親ができるサポートは、「当たり前でもほめる」ことです。
良くないことは叱るよりも、無視しましょう。
著書の内容を踏まえると、心理的ストレスへの基本対応として、〝自尊心″を高めることだと言えます。
例えば、良い行動をできるだけ多く見つけ、それが例え〝当たり前にできる行動でも褒める″ことが大切です。
一方で、望ましくない行動には、極力相手にしない、無視をする対応が必要です。
著者がこれまで見てきた子どもの多くが、自尊心が高まることで、二次障害が軽減していったこと、また、ストレスからくる様々な症状が少なくなっていったことを実感しています。
そのため、療育の根幹には、子どものあるがままを大切にしていきながら、日々、特性を踏まえた対応を継続していくことがとても大切なのだと思います。
以上、【子どもの発達段階:7~9歳頃】療育経験を通して考えるについて見てきました。
7~9歳の時期は、定型発達児においては、最も落ち着いた時期であるのかもしれません。
一方で、発達障害児などにおいては、その子に合った環境が整っていないことで、症状が悪化する時期だとも考えられます。
そのため、大切なキーワードが〝早期発見・早期支援″です。
できるだけ症状が悪化しないように、未然にリスクとなる事態を防いでいくこと、周囲に理解者を作っていくことが大切だと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育経験を通して、子どもの発達を理解する目を養っていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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宮尾益知(2017)0歳から大人、進学から就職へのすべてがわかるハンドブック 発達障害の基礎知識 改訂版.河出書房新社.