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【子どもが不登校になる原因とは何か?】発達障害児支援の経験を通して考える

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不登校″児童の生徒数が急増しています。

その中で、発達障害の子どもと〝不登校″には関連性があることが指摘されています。

一方で、発達障害児が不登校に至る背景には、様々な原因があると考えられています。

 

それでは、発達障害児が不登校に至る原因として、どのようなものがあると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、子どもが不登校になる原因とは何かについて、臨床発達心理士である著者の発達障害児支援の経験も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「てんねんDr.(2025)子どもの発達障害がよくわかる本 これ1冊で理解もサポートも!SB Creative.」です。

 

 

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【子どもが不登校になる原因とは何か?】発達障害児支援の経験を通して考える

著書には、子どもが不登校になる原因として、次の6つが記載されています(以下、著書引用)。

〇過剰適応

 

〇睡眠障害

 

〇身体症状

 

〇対人関係の問題

 

〇社会性の欠如

 

〇統合失調症

 

 


それでは、次に、以上の6つについて具体的に見ていきます。

 

1.過剰適応

以下、著書を引用しながら見ていきます。

特にASDの子どもに多いのですが、「人が怖い」「怒られたくない」「一番でないと気が済まない」などの理由から、学校で頑張りすぎてしまうケースがあります。

 

著者の身近なASDの子どもには、こだわり行動などが影響して学校のルールを過剰に守ろうとしたり、順番が付くものに対しては一番でないと気がすまないなど、特定の事柄において過剰にエネルギーを注ぐケースがあります。

そのため、どこかでエネルギー切れを起こすなど、過度な疲労状態が見られることがあります。

こうした状態が続くことが〝不登校″に繋がるケースもあると言えます。

 

 

2.睡眠障害

以下、著書を引用しながら見ていきます。

発達障害の子どもは睡眠障害を併発しやすいことが知られています。

 

著書にあるように、発達障害と睡眠障害の関連性は高く、十分な睡眠が取れていないことで、翌日学校にいく力がなくなることも〝不登校″の一つの原因だと言えます。

著者の身近にも、睡眠リズムの乱れから登校渋りが見られ始めたケースがあります。

 

 

3.身体症状

以下、著書を引用しながら見ていきます。

発達障害の子どもの中には、PMDD(月経前不快気分障害)やOD(起立性調節障害)を併発するケースがあることも知られています。

 

著書の内容から、発達障害の子どもにPMDD(月経前不快気分障害:情緒が安定せず日常生活への影響も大)やOD(起立性調節障害:起立時にめまい・動悸・失神などが生じる自律神経の病気)が併発することもあり、こうした身体の問題が影響することも〝不登校″に繋がるきっかけになると言えます。

 

 

4.対人関係の問題

以下、著書を引用しながら見ていきます。

対人関係の問題は、ASDの子どもにも、ADHDの子どもにも関係します。

 

著者の療育現場には、ASD・ADHD児が多くいますが、本来持っている発達特性(対人・コミュニケーションの困難さ、多動性・衝動性など)が影響して、対人関係をうまく築くことができないケースは多くあると実感しています。

適切な支援を受けることができないと、学校でうまくいかない状態に陥り、結果、不登校に繋がることもあると言えます。

 

 

5.社会性の欠如

以下、著書を引用しながら見ていきます。

幼少期、同学年の子に興味がなく、気持ちを交流させたり、けんかしてから仲直りしたりという人間関係の基礎を構築する練習がまったくできていないケースがあります。

 

社会性の欠如が多いのがASDの子どもです。

著者の実感としても、幼少期から対人場面をほとんど経験していないケースにおいて、特に、その後の人間関係の構築に時間がかかる印象があります。

一方で、ASD児であっても、様々な対人場面を支援が行き届く環境下で過ごすことで、社会性の力は非常に高まっていくことも実感しています。

 

 

6.統合失調症

以下、著書を引用しながら見ていきます。

統合失調症の初期症状として、引きこもるようになるお子さんもいます。

 

統合失調症とは、自分のこころや考え、行動などをうまくまとめることができなくなる病気のことであり、こうした症状が悪化することもまた不登校の原因に繋がっていると考えられています。

 

 


以上、【子どもが不登校になる原因とは何か?】発達障害児支援の経験を通して考えるについて見てきました。

子どもが不登校になる原因には様々なものがあります。

また、その原因も単一のものもあれば、複合的なものもあります。

そして、不登校の原因ははっきりとはわからないこともよくあります。

一方で、今回見てきたように、様々な原因を事前に理解しておくことで、現状の子どもに状態像を把握しやすくなり、適切な対応に繋げていくことができると言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害児と不登校の関連性や子どもが不登校になる原因についてさらに理解を深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【不登校の原因について①】学校に行き渋る要因について考える

関連記事:「【不登校の原因について②】発達障害と心の病気を通して考える

関連記事:「【不登校の原因について③】学校に行きたくない理由について考える

 

 

てんねんDr.(2025)子どもの発達障害がよくわかる本 これ1冊で理解もサポートも!SB Creative.

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