発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

大人の愛着障害 診断

【大人の愛着障害は診断可能なのか】大人の愛着の問題について考える

投稿日:

愛着‟とは〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

幼少期の愛着形成は、対人関係の基盤を作る上でも非常に大切だと考えられています。

さらに、愛着は生涯に渡り持続するなど、その人の後々の対人関係や社会適応に影響するほど重要であると言われています。

 

一方で、愛着に問題があると、〝愛着障害″へと繋がる場合もあります。

 

一般的に〝愛着障害″と言えば、子どもに適応される診断名ですが、大人の愛着障害の診断は可能なのでしょうか?

 

そこで、今回は大人の愛着障害は診断可能なのかについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、大人の愛着の問題について理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「村上伸治(2024)心のお医者さんに聞いてみよう 大人の愛着障害 「安心感」と「自己肯定感」を育む方法.大和出版.」です。

 

 

スポンサーリンク

 

 

大人の愛着障害は診断可能なのか

〝愛着障害″に関する診断には、ICD-11とDSM-5-TRに診断基準が記載されています。

以上を踏まえて、以下、著書を引用しながら見ていきます。

どちらの基準でも愛着障害は子どもの障害として位置づけられており、大人に対する「愛着障害」という正式な疾病概念は存在しません。

 

著書の内容から、〝愛着障害″に関する正式な診断基準は子どもにのみ適用されているものとなっています。

つまり、〝大人の愛着障害″という疾病概念は存在しないということです。

 

一方で、最近では、〝大人の愛着障害″など、大人になってから愛着に問題のあるケースが多く見られるようになってきています。

今回は特段取り上げませんが、精神科医の〝岡田尊司さん″に関する書籍には、大人の愛着障害の事例が数多く記載されています。

また、発達障害(ASD・ADHDなど)の診断に紛れて、愛着障害(愛着の問題の含めて)が隠れているケースが非常に多くあると言われています。

 

 


それでは、診断といった疾病概念はないにしても、大人の愛着障害を考える視点はあるのでしょうか?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

近年、幼少期の愛着障害が大人になってさまざまな精神疾患を引き起こすことはわかってきました。しかし、精神疾患で受診する患者さんの背景に愛着障害があるかどうかを診断するのは容易ではありません。

 

著書の内容から、大人の愛着障害の診断は容易ではないと考えられています。

それには、幼少期の愛着障害の診断に該当しているかを、本人の語りなどを中心に見ていく難しさがあるからです(つまり、子どもの愛着障害に照らし合わせて診断をする必要性がある)。

幼少期といった過去の体験でもあるため、本人の語りなどから、どれだけ正確な情報を収集できるのかが診断をつける上での難点だと言えます。

一方で、著書にあるように、過去の愛着の問題が、後々になってから、様々な精神疾患に繋がるケースが多いことも分かってきています。

そのため、大人においても、愛着の問題といった対人関係へのアプローチの重要性またとても大切だと考えられるようになってきています。

 

 

スポンサーリンク

 

 

著者のコメント

著者はこれまで、発達障害などの子どもを対象に長年にわたり療育をしてきています。

発達障害の診断を受けている子どもの中にも、愛着障害が潜んでいると思われるケースも少なからずあったように思います。

もちろん、正確な愛着障害の診断を受けたわけではありませんので、著者の仮説の域を出ることはありません。

一方で、愛着障害が潜んでいると思われるケースに限っては、発達障害といった特性への理解と支援の継続をしても、なかなか支援の効果がでないといった印象があります。

そのため、今回見てきた大人の愛着障害に関しても、愛着障害に関する理解と支援をしていかなければ、本人の困り感に関する根本的な問題解決が難しいのではないかと思います。

 

 


以上、【大人の愛着障害は診断可能なのか】大人の愛着の問題について考えるについて見てきました。

愛着の問題は、その人の生涯の人生を左右するほど大きな問題です。

大人になればなるほど、過去の養育者との関係性を意識することが難しくなる一方で、トラウマや精神疾患など様々な症状として顕在化してくることがあります。

そのため、できるだけ早期に愛着の問題に対する介入が大切だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で関わる子どもたちにとって、安全・安心の基地であり続けていられるように、自身の療育スタイルを振り返っていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「なぜ今愛着障害が増えているのか【愛着形成を阻害するものとは?】

関連記事:「疑似ADHDとは何か【ADHDの背景には愛着障害が潜んでいる】

 

 


愛着・愛着障害に関するお勧め関連書籍の紹介

関連記事:「愛着障害に関するおすすめ本【初級~中級編】

関連記事:「愛着(アタッチメント)に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

村上伸治(2024)心のお医者さんに聞いてみよう 大人の愛着障害 「安心感」と「自己肯定感」を育む方法.大和出版.

スポンサーリンク

-大人の愛着障害, 診断

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

発達障害の診断名はなぜ変わることがあるのか

著者は現在に至るまで発達障害関連の仕事を多くしてきました。 その中で、発達障害の診断名が変わる人がいるということを時々耳にします。 しかし、発達障害とは、先天性の脳の機能障害であるため、生育歴を含め、 …

【大人の愛着障害の原因】愛着形成がうまくいかない養育者の7つの特徴

〝愛着‟とは〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。 愛着に問題があると、〝愛着障害″へと繋がる場合もあります。 最近では、子どもだけではなく〝大人の愛着障害″についても関心が高まってきていま …

【大人の愛着障害の特徴について】2つの思考のクセを通して考える

〝愛着‟とは〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。 愛着に問題があると、〝愛着障害″へと繋がる場合もあります。 最近では、子どもだけではなく〝大人の愛着障害″についても関心が高まってきていま …

【発達障害の診断は100%正確なのか?】診断をする際の〝主観性″〝流動性″を通して考える

発達障害を特定するためには医師による診断が必要です。 診断する医師は、生育歴、発達特性の検査、知能検査、家庭環境、などの情報を踏まえて診断を行っています。 また、診断内容によってはある程度年齢がいかな …