発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

大人の愛着障害 特徴

【大人の愛着障害の特徴について】2つの思考のクセを通して考える

投稿日:

愛着‟とは〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

愛着に問題があると、〝愛着障害″へと繋がる場合もあります。

最近では、子どもだけではなく〝大人の愛着障害″についても関心が高まってきています。

一方で、〝大人の愛着障害″については、正式な疾病概念は存在していません。

 

関連記事:「【大人の愛着障害は診断可能なのか】大人の愛着の問題について考える

 

そのため、今回は、〝大人の愛着障害″を〝愛着の問題″という形で捉えながら話を進めていきます。

 

それでは、大人の愛着障害(愛着の問題)にはどのような特徴があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、大人の愛着障害(愛着の問題)の特徴について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、2つの思考のクセを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「村上伸治(2024)心のお医者さんに聞いてみよう 大人の愛着障害 「安心感」と「自己肯定感」を育む方法.大和出版.」です。

 

 

スポンサーリンク

 

 

大人の愛着障害の特徴:2つの思考のクセ

著書には、〝大人の愛着障害(愛着の問題)″に見られる2つの思考のクセについての記載があります(以下、著書引用)。

自己犠牲&自責思考になりやすい

 

他人には徹底的に気をつかってしまう

 

 


それでは、以上の2つの思考にクセについて具体的に見ていきます。

 

自己犠牲&自責思考になりやすい

自己犠牲・自責思考″の人とは、人に迷惑をかけずに自分を犠牲にしてでも頑張ろうとしたり、何かあると自分側に問題があると考えてしまうといった特徴があります。

つまり、ネガティブ感情の対処の仕方が常に〝自分を責める″方向に向いてしまいがちだと言えます。

そのため、自分の身体を極限まで追い込んでも、〝悪いのは自分である″〝誰の力も借りずに自分で何とかしよう″と考え・行動しがちになります。

仮に、愛着が安定していれば、ネガティブ感情が生起した場合でも、自分を責めすぎてしまうことはせず、誰かに頼ろうとする行動などが見られるはずです。

こうした思考・行動がとれないことが〝大人の愛着障害(愛着の問題)″のある人たちに見られる一つの特徴であると考えられています。

 

 

他人には徹底的に気をつかってしまう

他人に対して徹底的に気をつかってしまう″人とは、自分の感情を押し殺してでも、相手やその場の雰囲気を壊さないように、常に周囲に気をつかってしまう特徴があります。

このタイプの人は、常に他者の感情に目が向いており、他者の感情をできるだけネガティブな状態にしないように心がけるクセがあると言えます。

そのため、子どもの頃から、人に迷惑をかけずに行動したり、人の期待に全力で応えようとしたり、誰かの相談役として傾聴する機会が多いことが特徴としてあります。

仮に、愛着が安定していれば、他者のことも大切にする一方で、自分自身を大切にしようとする感情もしっかりと育まれているため、自分自身の思考や行動を優先することもよくあるはずです。

こうした思考・行動がとれないことが〝大人の愛着障害(愛着の問題)″のある人たちに見られるもう一つの特徴であると考えられています。

 

 

スポンサーリンク

 

 

著者のコメント

〝大人の愛着障害(愛着の問題)″に関する2つの思考のクセについて見てきましたが、問題となるのは、以上の2つの思考のクセが日常生活を進めていく上で、大きな支障となる(精神的にも・肉体的にも)ことだと思います。

もちろん、部分的には(ある場所・環境・状況などにおいて)、多くの人に上記の特徴は見られる所もあるかもしれません。

一方で、生活を円滑に進めていくための大きな弊害となっていること、それが幼少期の愛着の問題に起因している可能性がある場合には、愛着の問題へのアプローチが必要だと言えます。

子ども以上に大人になると、愛着の問題は非常にわかりづらくなる傾向があります。

今回見てきた、2つの思考のクセは愛着の問題への理解のヒントをくれるものだと思います。

 

 


以上、【大人の愛着障害の特徴について】2つの思考のクセを通して考えるについて見てきました。

愛着の問題は、生涯にわたり人の人生を左右するほど大きな影響があります。

一方で、愛着の問題はいつからでも、改善・解決が可能であるとも考えられています。

そのため、できるだけ早期に改善への対策を考えていくことが重要です。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も愛着の問題を子どもから大人までの生涯発達の視点として位置付けられるように学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「愛着形成で大切なこと【愛着障害の支援に手遅れはない】

関連記事:「愛着アプローチとは何か【「医学モデル」と「愛着モデル」の違いから考える】

 

 


愛着・愛着障害に関するお勧め関連書籍の紹介

関連記事:「愛着障害に関するおすすめ本【初級~中級編】

関連記事:「愛着(アタッチメント)に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

村上伸治(2024)心のお医者さんに聞いてみよう 大人の愛着障害 「安心感」と「自己肯定感」を育む方法.大和出版.

スポンサーリンク

-大人の愛着障害, 特徴

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

ADHDの特徴【大変な時期とは?予後は?反抗挑戦性障害の視点から考える】

ADHD(注意欠陥多動性障害)によく発症する二次障害として、反抗挑戦性障害があります。   関連記事:「【反抗挑戦性障害とは何か?】療育経験を通して考える」   反抗挑戦性障害の特 …

行動障害について【特徴・症状の程度・発症しやすいタイプ】 

〝行動障害(Challenging Behaviour)”とは、自傷や他害、パニックや癇癪、器物破損など、その行動が自他に悪い影響を及ぼすものだとされています。 行動障害と強度行動障害とを、定義上分類 …

安定型愛着スタイルの人の特徴【メタ認知と振り返る力から考える】

愛着に問題を抱えている人への支援・介入にとって大切なことは、「安全基地」となる人の存在です。 「安全基地」となる人の多くは、安定型愛着スタイルの人が多いことも様々な書籍などで書かれています。 &nbs …

【愛着スタイルの特徴について】愛着スタイル(A・B・Cタイプ)を通して考える

〝愛着(アタッチメント)″とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。 養育者と子どもとの間で交わされる情動交流の積み重ねは、後の〝愛着パターン″さらには、〝愛着スタイル″を形成していくと考 …

行動障害の特徴について【発展段階をキーワードに考える】

‟行動障害(Challenging Behaviour)”とは、自傷や他害、パニックや癇癪、器物破損など、その行動が自他に悪い影響を及ぼすものだとされています。 行動障害と強度行動障害とを定義上分類し …