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【場面緘黙児への対応】家ではしゃべるが他の場所ではしゃべらないケースへの4つの対応のポイント

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場面緘黙(選択性緘黙)″とは、家などでは問題なく話すことができるが、特定の場所で一か月以上話せないことが続く疾患のことを言います。

著者がこれまで療育現場で見てきた子どもの中には、場面緘黙だと感じる子どももいました。

著者と一対一での会話には概ね問題がないため、一見すると何ら問題が無いように思えることもありました。

一方で、家庭以外の場所、特に集団に入ると自分から言葉を発して集団に参加するなどの困難さが生じていました。

こうした〝場面緘黙″と思われるケースに対して、問題を軽視せずに対応方法を考えていくことが大切だと考えられています。

 

それでは、家ではしゃべるが他の場所ではしゃべらないケースへの対応として、どのような方法が有効だと考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、場面緘黙児への対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、家ではしゃべるが他の場所ではしゃべらないケースへの4つの対応のポイントについて理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「岩永竜一郎(2022)発達症のある子どもの支援入門-行動や対人関係が気になる幼児の保育・教育・療育-.同成社.」です。

 

※幼児を対象として書かれた本ですが、学童期にも活用できる視点も含まれていると思います。

 

 

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場面緘黙児への対応:4つのポイント

著書には〝場面緘黙児″への対応方法として、以下の4つのポイントが書かれています(以下、著書引用)。

無理強いはしない

 

参加の機会を配慮して設ける

 

しゃべること以外の表現から引き出してみる

 

園内・療育施設内で他の人との距離をとった対応から始めてみる

 

 


それでは、次に、以上の4つのポイントについて具体的に見ていきます。

 

1.無理強いはしない

以下、著書を引用しながら見ていきます。

子どもに話すことを無理に強要することがないようにしないといけません。

 

保護者と細かく話をして、どのような場面で誰がいると話せなくなるのか、人に対する緊張や場面に対する不安がないかなど情報を得ることが必要です。

 

まずは、著書にあるように〝無理強いしない″ことが当然必要になります。

その上で、保護者からの情報収集(話しやすい場面や状況・不安が強くなる場面や状況など)を行うことが大切です。

著者も保護者からの情報を集めて、まずは見立てることを大切にしています。

その中で、どのような環境調整を行うことで、子どもが安心して言葉を発しやすいのかを検討していくことが重要だと考えています。

 

 

2.参加の機会を配慮して設ける

以下、著書を引用しながら見ていきます。

子どもがどこまで、どのように参加したいのかをよく把握して、子どもができる形で参加できるように工夫することが大切です。

 

1で見た〝無理強いしない″ことは当然必要ですが、話す機会をすべて排除してしまうことは避ける必要があります。

なぜなら、著書によると、場面緘黙の子どもは本来的に話すことを欲している場合が多いからだと記載されています。

そのため、支援のポイントとしては、子どもの参加のハードルを下げていきながら、その中で、参加できる工夫を考えていくことにあります(〝参加の機会を配慮して設ける″)。

著者は、無理に話すことを強要することはありませんが、話しやすい環境を整える工夫はしています。

例えば、仲の良い・相性の良い他児との関わりの中で、発話を促したり、その子の得意なこと・好きなことをきっかけに話を振ることはよく行っています。

こうした参加の機会の配慮が功を奏して、少しずつ集団の中で自発的に話しができるようになった子どももいます。

 

 

3.しゃべること以外の表現から引き出してみる

以下、著書を引用しながら見ていきます。

言葉以外に関する行動の抑制もよく把握することが必要でしょう。言葉の表出だけが抑制され、他は問題ない場面緘黙児はあまりいないことが知られています。

 

子どもをよく観察し、言葉以外の表現も抑制されているようであれば、その中で比較的やりやすい表現が出せるようにすることを最初の目標にすると良いでしょう。

 

子どもは何も言葉だけで自分の意志を伝えているわけではありません。

いわゆるノンバーバルコミュニケーション(表情・身振り・手振りなど)で自分の意志を伝えることもできます。

著書によれば、場面緘黙のある子どもにおいて、言葉以外のノンバーバルの側面においても抑制が掛かっている場合が多いと記載されています。

そのため、支援のポイントとしては、ノンバーバルの側面のうち、どの部分が比較的表出しやすいのかを見つけ、その部分での表出を引き出す工夫が大切だと言えます(〝しゃべること以外の表現から引き出してみる″)。

著者は、子どもたちとの関わりの中で、うまく発語ができなくても、表情などから子どもの気持ちをくみ取り、その思いを引き出すことはよく行っています。

こうした関わりの継続が、後々、言葉を発することに繋がっていくのだと感じています。

 

 

4.園内・療育施設内で他の人との距離をとった対応から始めてみる

以下、著書を引用しながら見ていきます。

子どもと保護者が自然に話せる状況を作ってみることから始めてみると良いでしょう。

 

子どもを不安にさせないように配慮しながら、ステップアップを図る方法が効果的なこともあります。

 

家庭以外の場所、つまり、場面緘黙児が不安を抱えやすい場所においては、最初の段階として、他者との関わりを遠ざける工夫が必要だと言えます(〝園内・療育施設内で他の人との距離をとった対応から始めてみる″)。

つまり、場所に対する不安感が強い所で、最初は安心できる保護者と二人だけで過ごし、そこに他の大人(保育者・養育者など)が混ざり、次第に、保護者が傍で見守る中で他の大人と二人で過ごす、その後、少しずつ他児との関わりを作るなど、段階を踏まえたアプローチが効果的だと考えられています。

著者も不安感の強い場面緘黙児において、こうした段階を踏んだアプローチは有効だと感じています。

 

 


以上、【場面緘黙児への対応】家ではしゃべるが他の場所ではしゃべらないケースへの4つの対応のポイントについて見てきました。

場面緘黙への理解や支援はまだまだ乏しい状況にあります。

もちろん、そういった著者も学びはじめてまだ日が浅い状況だと言えます。

一方で、場面緘黙児への対応のニーズは年々増していることは事実です。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も場面緘黙児への理解を深めていく中で、より良い療育(発達支援)を目指していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児に見られる不安・緊張が強い場合への対応】3つのポイントを通して考える

 

 

岩永竜一郎(2022)発達症のある子どもの支援入門-行動や対人関係が気になる幼児の保育・教育・療育-.同成社.

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