〝二次障害″は、療育現場において対応すべき最重要課題とも言えるほど重要なものです。
そのためには、〝二次障害″についての理解を深めることと同時に、〝二次障害″への対応方法についても学んでいく必要があります。
それでは、二次障害への対応としてどのような方法があると考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、二次障害への対応について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、4つの支援ステップを通して理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「前田智行(2023)子どもの発達障害と二次障害の予防のコツがわかる本.ソシム.」です。
二次障害への対応:4つの支援ステップ
著書には次の4つの支援ステップが記載されています(以下、著書引用)。
ステップ① アセスメント
子どもの性格、趣味嗜好、発達特性を行動観察や心理検査等で把握
ステップ② 構造的環境の調整
教室の配置、感覚刺激への配慮、サポート道具の使用等の物理的な環境を変える
ステップ③ 人的環境の調整
家族、親族、学校の先生、クラスメイト等の周囲の人の理解を進める
ステップ④ 本人への支援
適切な行動の獲得、誤学習した行動の教え直し
それでは、次に著者の意見も踏まえて、以上の4つについて具体的に見ていきます。
ステップ① アセスメント
〝二次障害″への対応方法として、最初に取り組むことは、行動分析です。
子どもの問題となる行動を観察しその背景を分析していくことで、問題行動がなぜ生じているのか見当をつけることが大切です。
いわゆる〝アセスメント(評価・査定)″と言われるものです。
〝アセスメント″の実施には、行動観察や生育歴、性格(好き・嫌い、得意・不得意など)、心理検査、発達特性の影響など様々な側面からの理解が必要になります。
著者も療育現場で子どもの問題行動を見立てる際には、上記の視点を他のスタッフと共有することを大切にしています。
ステップ② 構造的環境の調整
ステップ①で〝アセスメント″をすることで、問題行動の見立てが終わったら、次に取り組むべきことは〝環境調整″になります。
〝環境調整″には、大きく〝物的環境″と〝人的環境″があると言われています。
〝物的環境″とは、つまり〝構造的環境″のことを指します。
〝構造的環境″を整えるとは、例えば、聴覚過敏があれば静かな環境へと調整する、トラブルになりやすい他児がいる場合には環境をできるだけ分ける、不器用さがあれば使いやすい道具に変更する、時間へのこだわりが強い場合にはスケジュール表を提示し見通しを立てる、など様々な環境調整の方法が考えられます。
ステップ③ 人的環境の調整
〝人的環境″として大切なことは、共感性が高いこと、そして、子どもを中心としたものの見方・考え方ができる人を配置すること(育成していくこと)です。
言い方を変えると、どれだけその子の周りにその子のことを真摯に理解しようとしてくれる人が整っているかが大切だということです。
例えば、家庭なら親、学校なら先生やクラスメイト、放課後等デイサービスなら支援者などが挙げられます。
一人でも多くの理解者を子どもの周りに作っていくこと、そして、その中でキーパーソンとなる人物を決めていくことが重要だと著者は感じています。
関連記事:「【発達障害児への環境調整について】人的環境の特徴を通して考える」
ステップ④ 本人への支援
最後にくるのが〝本人への支援″です。
著書にもありますが、〝本人への支援″とは、適切な行動の学習、誤学習を修正するなどがあります。
また、自尊心や自己効力感といった心を育てることもまた大切な視点だと著者は実感しています。
〝本人への支援″は、ステップ①~ステップ③について取り組んだ上で実行していかないと支援が思うように進まないと考えられています。
この点に関して、著者も同感であり、例えば、問題行動として暴力・暴言が多い子どもに対して、問題行動へのアセスメント、そして、問題行動が発生しないための環境調整を行い、ある程度子どもへの理解が深まり子どもの状態が落ち着いた状態でないと、〝本人への支援″が難しいと実際の療育経験を通して感じています。
以上、【二次障害への対応】4つの支援ステップを通して考えるについて見てきました。
著書には、ステップ①~④は場合によっては、同時進行していくこともあると記載されています。
つまり、早急な対応が必要となるケースにおいては、アセスメントから順を追ってというプロセスが難しいためです。
また、ステップ①~④のうち特に重要なのは〝環境調整(物的環境・人的環境)″だと記載されています。
それだけ人は自分が置かれている環境によって行動の出方が異なると言えます。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で子どもの二次障害を予防し支援していくために、様々なアプローチについて理解を深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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