〝二次障害″への支援で大切になるのが〝アセスメント(評価・査定)″です。
つまり、〝二次障害″の内容・特徴について、その背景も含めて見立てを行うことが必要です。
〝発達障害″のある人は〝二次障害″が併発しやすいと言われています。
著者も療育現場を通して、発達障害のある子どもに〝二次障害″がある(疑われる)ケースを少なからず目にしてきました。
それでは、二次障害のアセスメントには決まった方法はあるのでしょうか?
そこで、今回は、二次障害のアセスメントについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、発達障害児支援の領域から二次障害のアセスメントについての理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「前田智行(2023)子どもの発達障害と二次障害の予防のコツがわかる本.ソシム.」です。
二次障害のアセスメントについて
以下、著書を引用しながら見ていきます。
発達障害のアセスメントには決まった方式がありません(2023年現在)。二次障害を含めて、発達障害の人への支援は世界中で話題ですが、アセスメントからの支援の流れが定まっていないのは、実は大きな課題です。
著書の内容から、二次障害を含めて、発達障害のアセスメントには決まった方式がないと記載されています。
つまり、二次障害のアセスメントには現在のところ決まった手順・方法がないと言えます。
もちろん、アセスメントには、様々なアプローチがありますが、医療・福祉・教育の領域において、まだまだ統一された方法はとられていないのが現状だと思います。
以上を踏まえて、〝アセスメント″には次の二つの方法が必要だと考えられています(以下、著書引用)。
フォーマルアセスメント:標準化された検査ツールを使った分析
インフォーマルアセスメント:日常生活での行動観察など
→2つを組み合わせて行う:包括的アセスメント
〝包括的アセスメント″の実際として、大きく〝フォーマルアセスメント″と〝インフォーマルアセスメント″の二つを組み合わせて評価を行う方法になります。
〝フォーマルアセスメント″には、知能検査・発達検査など標準化されたツールを活用した情報収集の方法がとられています。
田中ビネーやウェクスラー式知能検査、K-ABC、新版K式発達検査などがよく使用されています。
〝インフォーマルアセスメント″とは、家庭や学校での様子を行動観察し情報を収集する方法になります。
〝インフォーマルアセスメント″よりも、生活での実際の様子を記録することに優れていますが、行動観察する個人の主観の影響が入るなどの客観性が不足するデメリットもあります。
このように、2つの方法には、メリット・デメリットがありますが、両者の良い点や足りない点を統合して評価に繋げていくことが必要です。
著者のコメント
〝二次障害″のアセスメントは療育現場でも非常に課題だと感じています。
その理由として、発達障害のある子どもたちの中には、二次障害のある子どもから、二次障害が疑われる子どもまで多様な子どもたちがおり、多様な状態像をアセスメントするニーズがあるからです。
例えば、虐待経験あり→二次障害からくる行動の表出など、明確に二次障害だと分かるケースもあれば、愛着障害の可能性あり(?)や環境への不適応あり(?)→マイナス行動の表出が見られる、など二次障害の可能性が疑われるケースまで様々あります。
著者の療育現場では実際のところ、〝フォーマルアセスメント″は行ってはおらず、他機関で行ったものをお借りするのにとどまっています。
そのため、二次障害のアセスメントの中心は〝生育歴″〝療育現場での行動観察″〝学校や家庭の情報″といった〝インフォーマルアセスメント″から評価している現状です(もちろん、これも大切です)。
決まったやり方がない分、アセスメントはアセスメントを行う個人の技量に依存している傾向があると感じています。
もちろん、様々なスタッフ間での情報共有や見立てのすり合わせなども行うこともありますが、アセスメントのやり方・手順が決まっていない分、情報不足や意見の統一の難しさを感じることが少なくありません。
そのため、今後ますますアセスメントへの知識の理解に加えて、包括的アセスメントに向けての取り組みが必要になってくると感じています。
以上、【二次障害のアセスメントについて】発達障害児支援の領域から考えるについて見てきました。
今後ますます発達障害児支援の領域は〝オーダーメイド化″していくと考えられています。
そうした中で、支援の統一を図るためにも、〝アセスメント″のやり方・手順などのスタンダード化は必要になってくると思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害及び二次障害へのアセスメントについての理解を深めていきながら、より良い療育に繋げていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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