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【不適応行動の自己刺激行動への対応】発達障害児支援の経験を通して考える

投稿日:2024年10月15日 更新日:

不適応行動″とは、例えば、他害、暴言、かんしゃく、パニック、逃避行動など望ましくない行動を指します。

問題行動″とも言われる〝不適応行動は、長期化すると〝二次障害″に繋がる可能性もあり(すでに二次障害が見られるケースもあります)、早期の理解と対応が必要です。

著者は療育現場(発達支援の現場)で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちを長年見てきていますが、その中には、少なからず〝不適応行動″を見せている子どもたちもいます。

 

〝不適応行動″への対応をしていく際に、まず大切なことは、行動の意味(〝機能″)を理解した(見当をつけた)上で関わるという視点です。

そして、様々な不適応行動は4つの機能に分類できると言われています。

 

関連記事:「【不適応行動の原因について】4つの機能を通して考える

 

 

それでは、不適応行動への対応として、どのような方法があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、不適応行動の自己刺激行動への対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「渡辺道治(2024)特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST.東洋館出版社.」です。

 

 

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不適応行動の自己刺激行動への対応について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

  • 合法的に刺激を入力させてあげる

・座学に終始するだけでなく学習作業にバリエーションを持たせる

・学習環境や扱う教材を工夫して代替刺激を入れる道を探る

・教師の対応に頼らずともできる刺激の入力方法を教える

 

〝不適応行動″の一つである自己刺激行動″とは、自らの身体に刺激を与える行動を指します。

例えば、高い所から繰り返し飛び降りたり、体をコマのようにして回るなどの行動があります。

〝自己刺激行動″への対応として、著書には〝合法的に刺激を入れてあげる″といった方法が記載されています。

〝自己刺激行動″とは、感覚の未発達や感覚刺激の不足などが背景要因となっているため、刺激を入れることで安定・安心を保つことができます。

そのため、単純に禁止するのではなく、特定の場所や状況においてはやっても良いといったルールを考えていくこと(合法的に)が必要です。

その他、学習内容(活動内容)の工夫代わりの刺激を入れる工夫自ら必要な刺激を取り込む方法を教える、などの方法があると著書には記載があります。

感覚刺激に関するアイテムは一昔前に比べると非常に増えてきています。

その子にあったアイテムを探していくことも大切です。

 

 

著者の経験談

著者がこれまで療育現場で見てきた子どもたちの中にも、少なからず〝自己刺激行動″が見られるケースがありました。

例えば、①じっと椅子に座っていることが難しくどこか落ち着きのない子ども②口の中に指や物を入れて噛む様子が多い子ども③高い所からジャンプを繰り返す子ども、など、こうした行動はどれも不足している感覚刺激を欲している行動、つまり、〝自己刺激行動″の場合もあると思います。

もちろん、他の背景要因がこうした行動の引き金となっている場合もあるかもしれません。

一方で、〝不適応行動″の中の〝自己刺激行動″といった視点から行動を分析し対応を考えていくことも必要だと思っています。

対応として、①の場合において、バランスボールの活用②の場合において、噛んでも安全なアイテムの活用(ゴム製の素材で飲み込むリスクがないものなど)、③の場合において、安全にジャンプができる場所を設けたり公園の遊具の活用、などを実際に試したことがあります。

すべてのケースではないにしても、実践したことで〝自己刺激行動″が軽減した例や、著書で見た〝合法的″に〝自己刺激行動″を行う学習に繋がっていった例もあります。

また、子どもの好きな身体遊びを活動中に取り入れることで、その後は静かに〝自己刺激行動″があまり見られずに過ごすことができた例もあります。

つまり、ある程度、感覚刺激が満たされることで、その後、一時的に落ち着いたのだと思います。

活動中に、身体を発散する活動を取り入れることも大切だと思います。

このように、〝自己刺激行動″への対応は、ケースによって異なり、対応方法も様々あると感じています。

 

 


以上、【不適応行動の自己刺激行動への対応】発達障害児支援の経験を通して考えるについて見てきました。

自己刺激行動を止めようとする対応は少し前まで多くの教師や療育に携わる人たちがやっていたように思います。

一方で、最近では、自己刺激行動の背景が徐々に理解される機会が増えてきたこともあり、対応方法にもバリエーションが出てきていると感じています。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不適応行動に対する背景を分析する目を養っていきながら、より良い発達支援に繋げていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【自己刺激行動とは何か?】固有感覚と前庭感覚をキーワードに考える

 

 

渡辺道治(2024)特別支援教育に学ぶ 発達が気になる子の教え方 The BEST.東洋館出版社.

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