子どもが不登校になると、親としては焦る思いや不安感が高まります。
〝はやく学校に行ってもらいたい″〝このままでは将来は大丈夫であろうか″〝何かはやく手を打たないと″など、様々な思いがこみ上げてきます。
それでは、このような焦る思いや不安な気持ちを持つ中で、不登校の子どもを育てていくためにはどのようなことが大切になるのでしょうか?
そこで、今回は、不登校の子育てで大切なことについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、子どもの今の幸せに向き合うことから理解を深めていきたいと思います。
※今回見ていく内容は不登校の有無を問わず大切な視点だと思っています。
今回参照する資料は「石井志昂(2021)「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること.ポプラ新書.」です。
不登校の子育てで大切なこと
親の焦りや不安は子育てに少なからず影響します。
親は自分の価値観や教育観からついつい子どもへの手出しが多くなることがあります。
著書の石井さんは、多くの不登校の親の取材の経験を通して以下のことを述べています(以下、著書引用)。
「子どもをコントロールしようとするとうまくいかなくて、子どもの意思を尊重すると親も子どももハッピーになれる」というのは、取材をしてきた保護者の方々が口を揃えて言うことです。
つまり、親の価値観や教育観などにより、子どもをコントロールするよりも、子どもの意思を尊重することの方が、結果として、親と子の両方が幸せになれるということです。
不登校の子どもを抱えている親は、子どもの思いを直ぐに尊重することは難しいかもしれません。
しかし、親子が幸せになるためには、子どもの思いに寄り添う姿勢こそ、遠回りに見えて最大の近道なのかもしれません。
著者の療育現場には、〝本人中心の支援″といった言葉をよく使います。
〝本人中心の支援″とは、子ども自身の意思や思いを尊重することが支援において最も優先的な事項といった考え方だと言えます。
支援がうまくいかないケースには、大人の思い(価値観や教育観なども含む)が強くなりすぎている場合があります。
そのため、子どもたちとの関わりの中で、子ども自身が何を欲しているのか?何に興味があるのか?何に困っているのか?といった、子どもの思いを理解していく態度がとても大切だと感じています。
子どもを親の価値観や教育観でコントロールする意図は、〝将来こうなって欲しい″といった親の願いも含まれています。
一方で、子どもは自然そのものです。
親の願いは大切ですが、コントロールできないところも非常に多くあるのが現実だと思います。
この点について、以下、引き続き著書を引用しながら見ていきます。
発達心理学者の浜田寿美男さんは、「子ども時代というのは大人になるための準備時代だと思われているけれど、子どもは『今』という本番を生きています」とおっしゃっていました。
大人は、ついつい子どもの先々について考えてしまいがちです。
もちろん、子どもの将来について考えることは大切なことです。
一方で、将来にばかり目を向けてしまうと〝今″を大切に生きることが弱くなってしまいます。
特に、子どもは大人と比べると〝今″という時間をとても大切に生きています。
仮に、〝今″を大切に生きていなのであれば、大人が何らかの形で〝今″よりも将来に目を向けることを強調しているのかもしれません。
不登校の子育てにおいて大切なことは(もちろん、子育て全般において)、将来の子どもの姿に標準を絞るのではなく、〝今″を幸せに心穏やかに生きれるようになるこです。
著者は療育現場で子どもと関わる際に、もちろん、将来の姿を想像して関わることもあります。
一方で、〝今″にどれだけ集中して関われているかどうかがその後の子どもの豊かな発達を育む上で、とても大切なことだと実感しています。
その実感は、〝今″を生きている子どものたちの思いや意思を汲みとることが、将来の豊かな発達に繋がっていくということを経験則的に理解できるからです。
以上、【不登校の子育てで大切なこと】子どもの今の幸せに向き合うことを通して考えるについて見てきました。
私たち大人はついつい子どもの将来にばかり目を向けてしまいがちです。
一方で、子どもは〝今″〝ここ″を必死に生きています。
子どもが〝今″を幸せに生きていけることを考えることが子育てや療育においてとても大切なことだと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不登校の子育てにおいて大切なことを学び理解を深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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