人口減少が叫ばれる中で、〝不登校″の子どもが増加していると言われています。
文科省の定義によれば、〝不登校″とは、「なんらかの心理的、情緒的、身体的あるいは社会的要因・背景により、登校しないあるいはしたくともできない状況にあるために年間30日以上欠席した者のうち、病気や経済的な理由による者を除いたもの」と定義されています。
〝不登校″に至る要因には様々なものがあり、子ども自身も何が原因かがよく分からない場合もあります。
それでは、実際の所、不登校の子どもは増えているのでしょうか?
そこで、今回は、不登校の子どもは増えているのかについて、不登校の現状について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「下島かほる(2019)健康ライブラリーイラスト版 登校しぶり・不登校の子に親ができること.講談社.」です。
不登校の現状について
以下、文科省の調査を参照しながら不登校の現状について見ていきます。
令和2年度の文部科学省の調査のよれば、不登校の生徒数は増加傾向にあり、中でも、中学生が最多であり、令和2年度には20万に達する勢いになっています。
また、小学生の不登校児の数も年々増加しています。
詳細は、文部科学省の「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」に載っています。
冒頭にも述べましたが、不登校に至る原因ははっきり分かっていません。
もちろん、その要因が多様であるためでもあります。
一方で、初期の訴えとして、疲労感や頭痛や腹痛などの体の痛みを訴えるケースが多いと言われています。
一方で、不登校ではないが、不登校の傾向が見られる児童も見過ごせない点です。
それでは次に、〝不登校傾向″について見ていきます。
不登校傾向について
先に見てきた文科省のデータは〝不登校″の児童の数値ですが、これに加え〝不登校傾向″の児童を含めると、さらに数値が増大すると著書には記載されています。
それでは、〝不登校傾向″にはどのような状態の児童が含まれるのでしょうか?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
仮面登校
登校し、教室で過ごしているが、授業中、ひとりで別のことをしていたり、みんなと同じことをしていても、心のなかでは「学校に行きたくない、学校はつらい、いやだ」などと感じている
部分登校
基本的には教室で過ごすが、遅刻や早退が多く、保健室の利用も多い
教室外登校
登校するが教室には入らず、保健室や図書室などで過ごす
著書の内容から、〝不登校傾向″の児童には、〝仮面登校″〝部分登校″〝教室外登校″などがあると記載されています。
その内容を見ると、先に見た〝不登校″の数と足すと非常に多くの児童が〝不登校″並びに〝不登校傾向″があるといったことが推測できます。
著書には、〝不登校傾向″の児童は〝不登校″の児童よりもさらに多いと記載されています(日本財団の2018年の「不登校傾向にある子どもの実態調査」より)。
このように〝不登校傾向″の児童を見ていくと、潜在的に〝不登校‟になる可能性のある児童が非常に多いことが分かります。
〝不登校″は氷山の一角としても捉えることができます。
さらに、著書には以下のことが記載されています(以下、著書引用)。
学校に行かない、行きたくても行けないと言っている子どもを無理に登校させる義務が課せられているわけではありません。
つまり、子どもが学校に行き渋っているのに対して、法律上、親が何としてでも無理に子どもを学校に行かせなければいけない義務はないということになります。
そして、子どもが学校に行きやすくなるための工夫を考えること、子どもが安心して家で過ごすことで心と体のエネルギーを充電することがとても大切です。
以上、【不登校の子どもは増えているのか?】不登校の現状について考えるについて見てきました。
これまでの文科省等のデータを見ても、年々、小中学生の不登校児童の数は増加し続けている現状があります。
さらに、不登校傾向の数も合わせるとその数はさらに増大します。
私たち大人は、こうした不登校の現状を見つめていきながら、子どもたち一人ひとりにどのような対応をしていく必要があるのかをじっくりと考えていく必要があると思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不登校の現状を踏まえて今自分ができる取り組みを考えていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【不登校・登校しぶりへの対応方法】3つのポイントから考える」