子どもが不登校になれば、保護者の心配としては将来への不安です。
中でも、勉強が遅れてしまうことに強い不安感を抱えている保護者の方も多いと思います。
それでは、子どもが不登校になった際に、勉強とどのように向き合っていけばよいでしょうか?
そこで、今回は、不登校の子どもの勉強について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、勉強への向き合い方について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「石井志昂(2021)「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること.ポプラ新書.」です。
不登校の子どもの勉強について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
ずっと不登校を取材してきた立場から言いますと、いったん勉強は置いておいてほしいと思います。
まずは、休息をとること。つらいままだと、結局何も進みません。
勉強の遅れを取り戻すためには、「自分が受けてきた傷や苦しさがケアされていること」が前提条件となります。心も体も休息できていれば、勉強の仕方次第で遅れは取り戻せます。
著書の石井さんは長年多くの不登校を取材してきた経験から、不登校の子どもにおいて、まずは、勉強は脇においておく必要があると記載されています。
つまり、心身の休息が第一優先であり、回復した後に勉強について向き合っていけばいいという考え方です。
保護者の中には非常に勉強熱心な方もいると思います。
しかし、保護者からの勉強のプレッシャーがあると、不登校の子どもは休みたくても休めない状態が続いてしまいます。
ただでさえ、勉強以外のことで思い悩んでいる中で、そこに新たな問題を付け加えられたのでは身が持たないのだと思います。
そのため、まずは保護者が今は勉強のことは考えないようにしようといった割り切った考え方の方が著者も良いと思います。
ただし、注意点もあります。
それは、不登校の背景要因が勉強での躓きが中心になっている場合です。
最近よく聞く境界知能や学習障害の子どもたちは、周囲の理解がないと勉強に躓きやすいとされています。
そして、当の本人からしても、〝なぜ頑張っているのに勉強ができないのか?″といった漠然とした不安を抱えていることも多くあります。
そのため、勉強での躓きが不登校の主訴になっているケースにおいて、その子に合った勉強方法を考えていく必要があると思います。
また、例えば、宿題の内容や分量を調整するといった個別の配慮も必要かと思います。
著者のコメント
ここからは先は少し著者が考える勉強への向き合い方についてお伝えしていきたいと思います。
子どもが勉強を行うためには、ある程度のエネルギーが必要です。
エネルギーが枯渇した状態で勉強を無理にすると勉強そのものが嫌いになったり、勉強から意味を見出すことができなくなってしまうと思います。
そもそも、勉強は自分が知らなかったことを知る喜び、世界が開けていく感覚や楽しさを実感するものだと思います。
つまり、これまでの自分とは違う自己の発見とも言い換えることができます。
その意味でも、不登校といった経験がその後の学びに繋がることもあると思います。
例えば、不登校経験を通して、対人関係や学校といった社会について考えるきっかけになることも十分にあります。
人は何か悩みや問題があると、それをきっかけに物事を考える習慣がついていくことも多くあるからです。
学校で習う勉強をすべてとは捉えずに、もう少し広い視野を持って勉強(この場合、学びといった言葉の方が適切かもしれません)を捉えていくこともまた大切なことだと思います。
以上、【不登校の子どもの勉強について】勉強への向き合い方について考えるについて見てきました。
子どもが不登校状態の中で、保護者の方が学校の勉強を一度横において考えることは難しいことなのかもしれません。
だからこそ、不登校経験者の体験や言葉、その後の生き方などには強い説得力があるのだと思います。
今回参照した書著の石井さんの本を読むことで気持ちが軽くなった、別の視点を獲得できた方も多くいたのではないでしょうか(著者もその一人です)。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不登校への理解を深めていけるように、不登校経験のある方のエピソードなどからも学びを深めていきたいと思いいます。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【不登校の子どもの将来について】進学率・就職率から考える」