不登校児童の生徒数は年々増加傾向にあることが分かっています。
関連記事:「【不登校の子どもは増えているのか?】不登校の現状について考える」
学校に行きたくない理由には、子どもたちによって様々な違いがあります。
それでは、不登校に多い要因として、どのようなものがあると考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、不登校の原因について、学校に行き渋る要因を通して理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「黒田礼子(2022)不登校・暴力行動に向き合う 小中学校で発達障害に気づいて・育てる支援ガイド.」、「下島かほる(2019)健康ライブラリーイラスト版 登校しぶり・不登校の子に親ができること.講談社.」です。
不登校の要因
著書(黒田,2022)の中では、文部科学省のデータ「令和2年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果の概要」を引用して次の項目が不登校の要因として多いとしています(以下、著書引用)。
本人自身に関するものの中でも、無気力、不安が圧倒的に多く、不登校要因全体のほぼ半分を占めています。
不登校が理由で受診する子どもは多く、なかでも長期化してこじれているケースの背景に、発達障害の特性を感じることが少なくありません。
著書で紹介されている文部科学省のデータを見ると、不登校の要因として多いものが、〝無気力″〝不安感″が大半を占めていることになります。
不登校要因と言えば、いじめや学業不振、教員との関係などが多いと感じる方もいるかと思います。
それ以上に、理由がはっきりとしない、あるいは複数ある、漠然としているといった情緒的な問題の要因が大きいということが文部科学省のデータから分かります。
また、ある要因が原因となって、情緒的な不安感が強くなると、そこから、勉強への意欲の衰退、良好な友人関係を保つことの難しさ、食欲不振、睡眠への影響など生活リズムの乱れなど様々な要因へと発展していくことも考えられます。
小学校の低学年においては、まだ、自分の気持ちをうまく言葉にすることが難しいため、何が原因で学校に行きたくないのかが説明できないこともあります。
さらに、発達障害児(発達障害の傾向がある子も含め)の場合には、自分の気持ちの理解の苦手さがあるため(自閉症など)、小学校の高学年以降にも自分の困りごとをうまく言葉にできないことも多くあります。
著書の内容では、不登校で受診する子どもの中で、不登校が長期化しているケースには発達障害の特性がある子どもも多くいると感じるとの記載があります。
この点ついては、以下の記事を参照して頂ければと思います。
関連記事:「【不登校の原因について】発達障害と心の病気を通して考える」
不登校になる要因として見逃してはいけないのが環境の変化です。
以下、著書(下島,2019)を引用しながら見ていきます。
父親あるいは母親の単身赴任、家族の別居、身内の不幸、親の転職や失業などによる経済的な問題など、生活環境が急激に変化したことをきっかけに、学校を休むようになることもあります。
家族間の不和、虐待など、心に傷を残すようなことが影響していることもあります。
子どもにとっての最大の安全・安心の基地は家庭です。
つまり、家庭環境に上記のような何らかの変化があることは子どもの心理状態に多大な影響を及ぼす可能性があります。
そして、その変化は急激に起こる場合もあれば、少しずつ表面化してくるケースもあるかと思います。
環境の変化には、その他、クラス替え、担任の先生が変わること、転向や進学などもあります。
不登校になる要因として、こうした環境の変化が生じていないかどうかも考えて対応していく必要があります。
最後に、著書(下島,2019)には不登校の〝原因探し″をしながら対応方法を考えていく必要もありながらも、〝原因探し″にこだわりすぎない方が良いとの記載があります。
大切なことは、子どもの心のエネルギーを回復していくことにあります。
仮に〝原因″が分かったとしても、心のエネルギーを充電していかなければ(対応策を考え実行する)、学校にいく意欲は湧いてこないからです。
関連記事:「【不登校・登校しぶりへの対応方法】3つのポイントから考える」
以上、【不登校の原因について】学校に行き渋る要因について考えるについて見てきました。
学校に行きたくない要因には様々なものがあります。
大切なことは、背景となる要因を理解していきながら、子どもの気持ちに寄り添いながら対応方法を考えていくことにあります。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も間接的に学校現場と関わる立場として理解が必要となる不登校についてさらに理解を深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【不登校の原因について②】学校に行きたくない理由について考える」
黒田礼子(2022)不登校・暴力行動に向き合う 小中学校で発達障害に気づいて・育てる支援ガイド.