不登校の子どもにとって、学校に行きたくない理由は様々あるかと思います。
無理をしてまで学校に行きたくない理由を聞き出し対策を考えることは難しい場合も多いため、まずは、子どもの思いに寄り添っていくことが重要です。
一方で、不登校児に見られる一般的な背景要因を知ることは、学校に行きたくない理由を漠然とでも把握する上でとても重要な情報かと思います。
それでは、不登校の子どもが学校に行きたくない理由にはどのような要因があるのでしょうか?
そこで、今回は、不登校の原因について、学校に行きたくない理由について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「石井志昂(2021)「学校に行きたくない」と子どもが言ったとき親ができること.ポプラ新書.」です。
不登校の原因について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
学校に行きたくない理由は、ひとつではなく、いくつも重なり合っています。
学校に行きたくない理由が平均3つほどあがっています。
一番多いのが「友人との関係」で53.7パーセント。次が「生活リズムの乱れ」で34.7パーセント。「勉強が分からない」が31.6パーセント。「先生との関係」が26.6パーセントと続きます。
著書で引用されている調査は「不登校に関する実態調査 平成18年度不登校生徒に関する追跡調査報告書」になります。
なお、この調査は中学生(3年生)を対象に行われたものとなっています。
著書には、〝不登校のきっかけ″には、様々な理由があるとして、調査内容には平均3つほどあると記載されています。
つまり、複数の理由が重複して不登校になっているケースが多いということです(仮に最初は一つであっても徐々に増えていくこともある)。
そして、不登校の原因は、1.友人との関係、2.生活リズムの乱れ、3.勉強が分からない、4.先生との関係、と続いていくと結果が出ています。
大半の子どもが友人との関係を不登校の理由に上げていることがわかります。
こうした結果を見ても不登校の背景要因は複雑であると推測できます。
例えば、友人との関係に問題が生じたとしましょう。そうなると学校の過ごしへの意欲が低くなり、勉強にも熱が入らなくなり勉強が分からないといったことに繋がるかもしれません。
また、学校の勉強がよくわからなくなり、本人なりに色々と悩んでいる時に、先生に相談したところ先生への信頼を失うような言葉をもらったなどのケースもあるかもしれません。
その他、小中学生を対象とした文科省の調査では、最も不登校の背景要因となっているのが〝無気力″〝不安″といった漠然とした心理状態を上げている調査結果もみられます。
もちろん、この調査でも次いで高いのが〝友人関係をめぐる問題″や〝生活リズムの乱れ″などになっています。
詳細は以下の記事に記載しています。
関連記事:「【不登校の原因について】学校に行き渋る要因について考える」
不登校の背景要因を考えたときに、真っ先に思い浮かぶものとして〝いじめ″だと思う方も多いと思います。
しかし、上記に見てきた調査結果では、〝いじめ″は割合少ない数値になっています(少ない数字の背景にも様々な要因があるのかもしれません)。
一方で、〝いじめ″のピークの年齢には変化が見られます(以下、著書引用)。
いじめ発生のピークも10年前は中学1年生でしたが、今はなんと小学2年生がピークです。不登校の小学生の人数も2016年頃から急増し、この5、6年の間に倍増しました。
いじめ発生のピークが現在は小学生2年生だという事実は驚くべきことです。
著者の過去を振り返って見ても、小学2年生頃は比較的クラスが平和だった印象があるからです(〝いじめ″とは無縁の生活を送っていた感じもします)。
そして、著者の実感としては、小学校高学年~中学校頃から〝いじめ″の増加が見られるという感じがしていたからでもあります。
〝いじめ″の現状や不登校の児童生徒数はここ10年程度で大きく変化していることがデータから見て取れます。
以上、【不登校の原因について②】学校に行きたくない理由について考えるについて見てきました。
これまで見てきた通り、不登校の理由には様々な要因があり、重複している場合も多くあります。
そして、データから不登校の理由を知ることで、漠然とでも不登校児童がなぜ学校に生きたくないのかといったことを考えるヒントを得ることができるのだと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も不登校の子どもたちを深く理解していけるように、様々な情報を集めていきながら対応策についても考えを深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。