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【ワーキングメモリとディスレクシアの関係について】弱さ・強さの特徴について考える

投稿日:2023年10月29日 更新日:

ワーキングメモリ(working memory)″とは、情報を記憶し、処理する能力のことを言います。〝脳のメモ帳″とも言われています。

ワーキングメモリの機能として、〝言語性ワーキングメモリ(言語的短期記憶)″と〝視空間性ワーキングメモリ(視空間的短期記憶)″とがあり、両者を統合する司令塔的役割が〝中央実行系″と言われています。

ワーキングメモリは様々な発達障害によって違いがあることが研究によって分かってきています。

 

それでは、発達障害の中でディスレクシアの人たちは、ワーキングメモリにどのような特徴があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、ワーキングメモリとディスレクシアの関係について、ディスレクシアの人が抱えるワーキングメモリの弱さと強さの特徴について理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「トレイシー・アロウェイ・ロス・アロウェイ(著)湯澤正道・湯澤美紀(監訳)上手幸治・上手由香(訳)(2023)ワーキングメモリと発達障害[原著第2版]: 教師のための実践ガイド.北大路書房.」です。

 

 

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ディスレクシアのワーキングメモリの特徴について

以下、著書を引用しながら見ていきます。

ワーキングメモリの特徴:読字障害の子どもは、言語性ワーキングメモリは小さいものの、視空間性ワーキングメモリは平均レベルです。

 

著書の内容から、ディスレクシア(読字障害)の子どものワーキングメモリの特徴として、言語性ワーキングメモリが弱く、視空間性ワーキングメモリは平均レベル(強みにもなる)ことが分かっています。

ディスレクシアの人たちは、読みに関して多大な労力を費やします。

それは、文字を音に変換することに躓きがあるからです。

そのため、文章を流暢に読むことが障害され、読むことに多くの負荷がかかることで意味理解もまた困難となっていきます。

言語性ワーキングメモリ″とは、音声情報を処理しながら保持する働きのことを言います。

つまり、文章を読む際には、文字情報を音声情報に変換する作業が必要となるため、ディスレクシアの人たちは、ここに苦手さがあるため、言語性ワーキングメモリが弱いと言えます。

 

ディスレクシアの人たちが言語性ワーキングメモリに弱さを抱える理由について少し具体的に見ていきます(以下、著書引用)。

その理由の一つは、彼らが情報をすばやくリハーサルする(頭の中でくり返す)ことがむずかしいので、記憶できないということです。

 

私たちは、文章を読む際に頭に定着させる方法として、リハーサル(繰り返し)を行っています。

ディスレクシアの人たちにとって、リハーサルが困難であるため(上記の理由から)、言語性ワーキングメモリがうまく機能していないと言えます。

例えば、言語性ワーキングメモリがうまく機能している人ならば、初めて読む文章で話の内容を理解するために、言語情報を繰り返すことで記憶に保持して、その保持した情報を元に次に進むことで文章全体を理解していくことができます。

一方で、ディスレクシアの人たちは、リハーサルが困難あるいはできても、リハーサルに多大なエネルギーを費やすため、多くの言語情報を記憶に保持しながら次に進む事が難しいといった違いが出てきます。

 

 


一方で、ディスレクシアの人たちには強みもあります(以下、著書引用)。

ディスレクシアの子どもは視空間性ワーキングメモリに強みがあります。

 

前述した通り、ディスレクシアの子どもの強みは視空間性ワーキングメモリであるケースが多いと考えられています。

視空間性ワーキングメモリ″とは、視空間情報を処理しながら保持する働きのことです。

そのため、絵や図、写真、動画などの方がうまく物事を理解できると言えます。

 

 


以上、【ワーキングメモリとディスレクシアの関係について】弱さ・強さの特徴について考えるについて見てきました。

ワーキングメモリは学習を支える非常に重要な機能です。

そして、ワーキングメモリの能力は発達障害の特性によっても違いがあります。

そのため、発達支援を行う場合には、ワーキングメモリの特徴を踏まえた配慮や支援を行っていくこともまた大切な視点だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もワーキングメモリの機能について理解を深めていきながら、療育現場でできる支援を考えていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【言語性ワーキングメモリとは何か?】学習活動との関連性について考える

関連記事:「ディスレクシアとは何か?:読み書きに困難のある人たちについて考える

 

 


参考となる書籍の紹介は以下です。

関連記事:「ワーキングメモリに関するおすすめ本6選【中級編】

 

 

トレイシー・アロウェイ・ロス・アロウェイ(著)湯澤正道・湯澤美紀(監訳)上手幸治・上手由香(訳)(2023)ワーキングメモリと発達障害[原著第2版]: 教師のための実践ガイド.北大路書房.


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