〝レジリエンス″とは、〝立ち直る力″〝回復力″などと言われています。
人は困難な状況に陥ったり、失敗しても、前進しようと努力したりそこから立ち上がろうとする力があり、その時に重要となるのが〝レジリエンス″です。
それでは、レジリエンスを高めていくためにはどのようなことが必要になるのでしょうか?
そこで、今回は、レジリエンスを高めるために大切なことについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、感情のコントロールを通して理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「藤野博・日戸由刈(監修)(2015)発達障害の子の立ち直り力 「レジリエンス」を育てる本.講談社.」です。
レジリエンスを高めるために大切な〝感情コントロール″
著書には、レジリエンスは3つの要素から構成されていると記載されています。
関連記事:「【レジリエンスの特徴とは何か?】3つの要素を通して考える」
その中の一つに〝感情コントロール(感情調整)″があります。
〝感情コントロール″とは、自分の気持ちを調整、制御することです。
例えば、テストで悪い点を取って落ち込んだ、友人から嫌なことを言われてイライラしたなど、私たちは日々の生活の中で自分の感情と向き合うことが多くあります。
そんなときに、深呼吸して気持ちを落ち着かせる、考え方・捉え方を変えて気持ちを切り替えるなど、人それぞれの方法で感情をコントロールしているかと思います。
例で見たようなネガティブ感情をうまくコントロールできれば、レジリエンスを高めていくことができます。
それでは、感情コントロールへの支援のポイントにはどのような方法があるのでしょうか?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
感情の調整以前に、まず子どもが家族や発達障害の専門家、友達、先生など、まわりの人からの支援、「ソーシャルサポート」を得ることが重要です。
まわりの人からのサポートを得たうえで、その人たちに手伝ってもらいながら、気持ちを整えていきます。
著書にあるように、感情のコントロールへの支援には、周囲からの支援、つまり、〝ソーシャルサポート″を得ることがまずは重要になります。
〝ソーシャルサポート″を得ることで、イライラした気持ち、不安な気持ちなどを軽減していく経験を重ねていくことが必要です。
こうした〝ソーシャルサポート″を通して、次のステップとして、自分ひとりで感情をコントロールする方法を学んでいっても良いと思います。
もともと、感情調整とは、他者の力を借りて感情をコントロールするという意味があります。
例えば、子どもがイライラしたり泣いたりした際に、親はそうした感情に気づき気持ちを落ち着かせることを自然と行っています。
今回見てきた〝ソーシャルサポート″もまさに、他者の力を借りて自身の気持ちを落ち着かせるという意味で、原初的な感情調整の方法と根源的な方法は似ているように思います。
発達障害児の感情コントロールについて
発達障害児は、特に感情のコントロールを苦手としています。
例えば、ASD児は自分の感情に気づきにくい、ADHD児は思考よりも感情が優位になり衝動的に行動してしまう特徴があります。
様々な特性の違いにより、感情のコントロールへのアプローチは異なるところもあるかと思います。
著者もこれまで様々な子どもたちと関わりがありますが、気持ちを切り替える方法、落ち着かせる方法は個々によって対応が違います。
例えば、静かな空間でクールダウンする方法、深呼吸や水を飲んで落ち着ける方法、散歩やドライブなど気分転換をはさむ方法、別の遊びに誘う方法、興味のある話題や楽しい話を振って気持ちを前向きに転換する方法などよく使う方法です。
そして、少しずつ成長していく中で、自分の感情の気づきが深まり、また衝動的行動を制御する術を他者の力を借りながら身につけることができるのだと実感しています。
そして、感情のコントロールの力が高まることで、確かに〝レジリエンス″の力も高まっていることを、これまでの療育経験を振り返ることで実感できます。
以上、【レジリエンスを高めるために大切なこと】感情のコントロールを通して考えるについて見てきました。
感情にはもちろんネガティブ感情だけではなく、ポジティブ感情もあります。
ポジティブ感情の調整もまた時と場合によっては必要なのかもしれません。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもたちのレジリエンスを高めていけるように、レジリエンスの要素にも目を向けて、子どもたちの育ちを支援していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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