〝レジリエンス″といった概念が注目を集めるようになっています。
〝レジリエンス″とは、〝立ち直る力″〝回復力″などとも言われています。
人は様々な失敗や困難な状況において、自分自身の状態を見つめ、他者に頼るなどして前進していくことが必要になります。
レジリエンスは、落ち込むことがあってもそこから立ち直ったり、新しいことに挑戦するときに必要な力だと考えられています。
それでは、レジリエンスはどのようにして育てることができるのでしょうか?
そこで、今回は、レジリエンスの育て方について、4つのステップを通して理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「藤野博・日戸由刈(監修)(2015)発達障害の子の立ち直り力 「レジリエンス」を育てる本.講談社.」です。
レジリエンスの育て方:4つのステップ
著書には、レジリエンスの育て方について、1.生活習慣を整える、2.人を頼って成功する、3.興味をいかす、役割をもつ、4.サポートを受けて気持ちを切り替える、の4つのステップがあると記載されています。
それでは、4つのステップについて詳しく見ていきます。
1.生活習慣を整える
著書には、基本的な生活習慣(栄養や睡眠など)を整えることが、レジリエンスの基礎を作るとされています。
その他、生活習慣を整えていくためにも、家庭が安心できる環境となっているかどうかは非常に大切です。
著書にもありますが、発達障害の子どもは特性上、学校のルールや他者に合わせることに多くの労力を費やすなど、外の環境において非常に多くのエネルギーを使います。
そのため、エネルギーを充電できる安心感の持てる家庭環境がとても重要だと考えられています。
2.人を頼って成功する
レジリエンスで重要な視点として、〝他者に相談する・頼ること″で〝うまくいった″という経験を重ねていくことです。
人は自分が立てた目標や課題を進めていく際に、うまくいかない場面に出会うことがあります。
特に、発達障害の子どもは、やろうとしている課題がうまく進まない時に、他者の力をかりる事がうまくできない子も多くいます。
そのため、周囲の大人がサポートすることで他者の力をかりて成功できたという経験の積み重ねが、レジリエンスを育んでいく上で重要だと考えられています。
3.興味をいかす、役割をもつ
子どもは様々な経験を積み重ねていく中で、自分の好き・嫌い、得意・不得意といった自己理解を深めていきます。
その中で、著書には以下の点が重要だとされています(以下、著書引用)。
その子の長所や興味がいきるような役割を設定し、子どもに選んでもらう。本人の選択を尊重し、その役割を果たせるように手助けする。
自己理解が深まっていく中で、次のステップとして、その子の強みや興味を活かす方法を考えていくことが重要です。
発達障害の子どもは興味に偏りがあるため、ある部分(分野)が強みになる可能性を秘めています。
そうした強みや興味を活かして役割を与えていくことも大切です。
例えば、決まったことを決まった手順で丁寧に行うことができる強みのある子どもは、物の整理・整頓や家事の一部を日々の役割として与えても良いかもしれません。
また、役割をいくつか提示して自分で選択するなど自己選択の力を育んでいくことも必要です。
4.サポートを受けて気持ちを切り替える
1~3のステップを通して、子どもは成長していきます。
成長の中で築き上げられた自信があってもうまくいかないことはあります。
そんな時には、次の視点が大切です(以下、著書引用)。
まわりの人にサポートしてもらうことで、そういうときにも気持ちを切り替えられるようになり、ひどく落ちこまなくなる。
人はうまくいかない状態において、頼りになる相談相手から助言を得たり、興味が一致する仲間集団から励ましを受けることにより気持ちを立て直すことができます。
そのため、他者からサポートを受けることで落ち込んだ気持ちを立て直していく経験もまた重要になります。
サポートを受けられる状態を作るためにも、人間関係の中で、頼りになる相手や信頼のおける仲間作りが必要になります。
発達障害の子どもは特に、自分から信頼のおける仲間集団を作ることが難しいため、大人が他児との交流の場を作るなどのサポートが大切です。
以上、【レジリエンスの育て方について】4つのステップを通して考えるについて見てきました。
これまで見てきた4つのステップについて最後に著書を引用して終わりにします。
4つのステップには順序がありますが、ステップ2以降は同時進行する場合もあります。子どもの様子をみながら進めましょう。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もレジリエンスの育て方について学びを深めていきながら、療育現場にその知見を取り入れていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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