発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

レジリエンス 育て方

【レジリエンスの育て方について】4つのステップを通して考える

投稿日:2024年2月1日 更新日:

〝レジリエンス″といった概念が注目を集めるようになっています。

レジリエンス″とは、〝立ち直る力″〝回復力″などとも言われています。

人は様々な失敗や困難な状況において、自分自身の状態を見つめ、他者に頼るなどして前進していくことが必要になります。

レジリエンスは、落ち込むことがあってもそこから立ち直ったり、新しいことに挑戦するときに必要な力だと考えられています。

 

それでは、レジリエンスはどのようにして育てることができるのでしょうか?

 

そこで、今回は、レジリエンスの育て方について、4つのステップを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「藤野博・日戸由刈(監修)(2015)発達障害の子の立ち直り力 「レジリエンス」を育てる本.講談社.」です。

 

 

スポンサーリンク

レジリエンスの育て方:4つのステップ

著書には、レジリエンスの育て方について、1.生活習慣を整える2.人を頼って成功する3.興味をいかす、役割をもつ4.サポートを受けて気持ちを切り替える、の4つのステップがあると記載されています。

 


それでは、4つのステップについて詳しく見ていきます。

 

1.生活習慣を整える

著書には、基本的な生活習慣(栄養や睡眠など)を整えることが、レジリエンスの基礎を作るとされています。

その他、生活習慣を整えていくためにも、家庭が安心できる環境となっているかどうかは非常に大切です。

著書にもありますが、発達障害の子どもは特性上、学校のルールや他者に合わせることに多くの労力を費やすなど、外の環境において非常に多くのエネルギーを使います。

そのため、エネルギーを充電できる安心感の持てる家庭環境がとても重要だと考えられています。

 

2.人を頼って成功する

レジリエンスで重要な視点として、〝他者に相談する・頼ること″で〝うまくいった″という経験を重ねていくことです。

人は自分が立てた目標や課題を進めていく際に、うまくいかない場面に出会うことがあります。

特に、発達障害の子どもは、やろうとしている課題がうまく進まない時に、他者の力をかりる事がうまくできない子も多くいます。

そのため、周囲の大人がサポートすることで他者の力をかりて成功できたという経験の積み重ねが、レジリエンスを育んでいく上で重要だと考えられています。

 

3.興味をいかす、役割をもつ

子どもは様々な経験を積み重ねていく中で、自分の好き・嫌い、得意・不得意といった自己理解を深めていきます。

その中で、著書には以下の点が重要だとされています(以下、著書引用)。

その子の長所や興味がいきるような役割を設定し、子どもに選んでもらう。本人の選択を尊重し、その役割を果たせるように手助けする。

自己理解が深まっていく中で、次のステップとして、その子の強みや興味を活かす方法を考えていくことが重要です。

発達障害の子どもは興味に偏りがあるため、ある部分(分野)が強みになる可能性を秘めています。

そうした強みや興味を活かして役割を与えていくことも大切です。

例えば、決まったことを決まった手順で丁寧に行うことができる強みのある子どもは、物の整理・整頓や家事の一部を日々の役割として与えても良いかもしれません。

また、役割をいくつか提示して自分で選択するなど自己選択の力を育んでいくことも必要です。

 

4.サポートを受けて気持ちを切り替える

1~3のステップを通して、子どもは成長していきます。

成長の中で築き上げられた自信があってもうまくいかないことはあります。

そんな時には、次の視点が大切です(以下、著書引用)。

まわりの人にサポートしてもらうことで、そういうときにも気持ちを切り替えられるようになり、ひどく落ちこまなくなる。

人はうまくいかない状態において、頼りになる相談相手から助言を得たり、興味が一致する仲間集団から励ましを受けることにより気持ちを立て直すことができます。

そのため、他者からサポートを受けることで落ち込んだ気持ちを立て直していく経験もまた重要になります。

サポートを受けられる状態を作るためにも、人間関係の中で、頼りになる相手や信頼のおける仲間作りが必要になります。

発達障害の子どもは特に、自分から信頼のおける仲間集団を作ることが難しいため、大人が他児との交流の場を作るなどのサポートが大切です。

 

 


以上、【レジリエンスの育て方について】4つのステップを通して考えるについて見てきました。

これまで見てきた4つのステップについて最後に著書を引用して終わりにします。

4つのステップには順序がありますが、ステップ2以降は同時進行する場合もあります。子どもの様子をみながら進めましょう。

 

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もレジリエンスの育て方について学びを深めていきながら、療育現場にその知見を取り入れていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【レジリエンスとは何か?】療育経験を通して考える

 

藤野博・日戸由刈(監修)(2015)発達障害の子の立ち直り力 「レジリエンス」を育てる本.講談社.

スポンサーリンク

-レジリエンス, 育て方

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【自尊心とレジリエンスの違いとは?】療育経験を通して考える

療育において、子どもの〝自尊心″を育むことはとても大切なことです。 〝自尊心″とは、自分に対する自信や自分を大切に思える感情のことを言います。 一方で、〝レジリエンス″といった立ち直る力を育てていくこ …

【心の理論の育て方について】療育経験を通して考える

「〝心の理論″とは、他者の意図、欲求、願望、信念、知識といった心の状態を推論する能力」のことを言います。 著者は長年、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしています。 その中には、自閉症児 …

【レジリエンスとは何か?】療育経験を通して考える

人は人生の様々な局面において困難さと向き合うことがあります。 困難さを乗り越えることで得られる達成感がある一方で、困難さに直面した後、うまくいかないことももちろんあります。 そんな時に、落ち込んだまま …

【レジリエンスの特徴とは何か?】3つの要素を通して考える

〝レジリエンス″とは〝立ち直る力″のことを言います。 人は様々な困難に直面しうまく行かないことがあっても、そこから前に進もうとします。 〝レジリエンス″が高いとうまく行かないことがあっても、そこからう …

【発達障害の子どもにはレジリエンスが必要】療育経験を通して考える

〝レジリエンス″とは、失敗をしても〝立ち直る力″、〝回復力″だと言われています。 レジリエンスが低いと、様々な困難に向き合うことが難しくなり、チャレンジ意欲も低下してしまいます。 発達障害の子どもたち …