子供は自分の興味・関心のあることを通して様々な事を学んでいきます。
モンテッソーリ教育では、興味・関心から学びを深めていくプロセスを、〝学びのスパイラル″〝学びの道筋″〝学びの法則″などと表現し説明しています。
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こうした〝学びに関する法則″を理解していく上で大切なことがあります。
それは、〝発達の法則性″を知るということです。
発達にはある程度、一定の道筋・順序があると言われています。
そこで、今回は、モンテッソーリから見た子供への関わり方について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら〝発達の法則性″の重要性から理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「相良敦子・池田政純・池田則子(1990)子どもは動きながら学ぶー環境による教育のポイント-.講談社.」です。
モンテッソーリ教育から見た〝発達の法則性″の重要性について
冒頭で紹介した〝学びに関する法則″では、子供たちの興味・関心を見つけ、興味・関心を通して様々なことを学ぶプロセスを説明しています。
一方で、興味・関心を見つけ(一緒に大人が探す手伝いをし)、その対象に集中していく(集中できる環境の工夫)ために、周囲の大人の関わり方が大切になってきます。
ここでは、子供たちが興味・関心を示すために周囲の大人が提案・提示する活動の示し方の注意点について見ていきます(以下、著書引用)。
子どもになんでもよいから、ただ活動させればよい、というのではありません。後々の発展にまで連なるもので、しかも子どもが自発的に喜んで、繰り返しやりたがる活動とは、数学的構造を含んでいるのだという、人間の知性と運動に伴う法則を知っておかなければなりません。
モンテッソーリ教育では、〝繰り返し″の活動の重要性を指摘しています。
子供たちが特定の活動を〝繰り返し″飽きるまで行うことで、知性や運動機能の向上、達成感からくる意欲のエネルギーの向上、集中力など自己コントロールの向上などが得られると考えられています。
関連記事:「【モンテッソーリから見た〝運動と知性″の関係】〝繰り返す″行動の意味について考える」
こうした〝繰り返し″の行動の意味を深く理解し、その環境を作りだすためには、関わる大人(専門家といえるスタッフ)は、子供たちが飽きないように様々な活動を提案するのではなく、特定の活動に集中できるような活動を創意工夫していく必要があるということです。
そして、子供たちの〝繰り返し″の行動には、背景となる〝数学的構造″といった〝知性と運動の法則″〝発達の法則性″が影響しているということを理解していく必要があります。
〝発達の法則性″にも様々ありますが、モンテッソーリ教育で大切な点は、教材・教具となる様々な事物を自分の身体を使って〝繰り返し″操作することで、様々な能力の基礎を磨いていくことにあります。
そのため、その子の発達段階にあった活動を整えていくために、〝発達の法則性″を理解していくことがとても重要だということです。
著者のコメント
モンテッソーリに関する書籍の多くは、こうした〝数学的構造″といった発達の順序性・法則性についての発達段階とそれに関連する教材・教具などの説明があります。
子供たちがなかなか活動にハマることができない、今関わって子供たちはどのような発達段階にいるのか、などの悩みや疑問を持たれている専門スタッフ(保護者の方も含む)は、非常に参考になるヒントがあると思います。
私自身、未就学児を対象に療育現場で仕事をしていた際に、モンテッソーリ教育から、子供たちの運動と知性はどのような発達段階にいるのか?そして、それに相応しい教材・教具はどのようなものか?などの疑問に対する多くのヒントを頂いたことを思い出します。
当時の著者が〝繰り返し″の行動の意味を理解せずに、とにかく目新しいもの、子供が飽きないような遊びを考えることに全力だったことを思い出します。
そのため、〝繰り返し″の行動を子供たちがしている際に、それを遮ってしまう関わり方を無自覚にしていたかもしれません。
つまり、大人の思いを重視してしまい、子供たちが今・何に興味・関心を示し、集中して取り組もうとしているのか、という理解が不足していたように思います。
〝発達の法則性″を知ることは、子供たちの発達の道筋を知ること、そして、様々な発達段階に応じた活動の工夫のヒントに繋がります。
著者自身も日々勉強中ですが、モンテッソーリ教育をはじめ、〝発達の法則性″を理解していくことで、子供からの目線を重視した関わり方が増えてきたと感じています。
以上、【モンテッソーリから見た子供への関わり方】〝発達の法則性″の重要性から考えるについて見てきました。
〝発達の法則性″の理解は、現場での実践と理論からの学びの両方が必要不可欠です。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子供たちの発達について現場での経験と理論の双方を大切に学びながら実践することを大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
相良敦子・池田政純・池田則子(1990)子どもは動きながら学ぶー環境による教育のポイント-.講談社.