著者は放課後等デイサービスで子どもたちに療育を行っています。
その中で、子どもたちの興味関心から、タブレットなどデジタル機器を活用する頻度が年々高まってきていると実感しています。
デジタル機器の過度な使用は健康を害するといった懸念事項がある一方で、デジタル機器の使用は、今、そして今後の社会に適応していく上では必須の能力だとも言われています。
つまり、デジタル機器の使用は子どもの発達において、プラスとマイナスになる要因があると言えます。
それでは、子どもがデジタル機器を活用する上で、どのような要因が〝発達格差″を生むと考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、デジタルディバイドとは何かを通して、子どもの発達格差について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「森口佑介(2021)子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か.PHP新書.」です。
デジタルディバイドとは何か?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
デジタルディバイドと言われる、デジタル機器の使用に関する格差です。情報格差とも言われています。
子どもの文脈では、経済的な理由で、デジタル機器を持つことができる子どもと、持つことができない子どもの間でみられる格差のことを指していました。
著書に内容から〝デジタルディバイド″とは、情報機器の使用によって生じる情報の格差のことを言います。
つまり、情報技術をうまく使用できる人とそうでない人によって生じる差→〝情報格差″といったことを意味します。
そして、著書にあるように、子どもに関して言えば、経済的な理由でデジタル機器を持つことができるかどうかの差→〝情報格差″といった文脈で捉えられています。
一方で、今の日本の学校教育ではパソコンやタブレットなど電子機器が生徒一人に一台普及されるようになってきています。
著者が関わる子どもたちも、学校でパソコンを使用しており、パソコンによる自宅課題もあるため、よく放課後等デイサービスに持ってくる様子を目にします。
このような現状を見ると、現代の子どもたちにおいて、デジタルディバイドは少なくなっているといった印象も受けます。
しかし、著書には、以下の点でデジタルディバイドが生じている可能性があると示唆しています(以下、著書引用)。
「今を生きる」子どもは、特に今を楽しむことを優先させるので、コンテンツ消費が中心となりそうです。
一方、「未来に向かう」子どもも、もちろんYouTubeやゲームに時間を費やすでしょう。しかし、宿題をするときは宿題に切り替えたり、運動をするときは運動に切り替えたりできるのではないか。
ただコンテンツを消費するだけではなく(中略)そこから学んだり、新しい価値を生み出したりできるようになるのではないか。
著書では、〝デジタルディバイド″といった〝情報格差″は、子どもの中では、「今を生きる」ための活用法と「未来に向かう」ための活用法の違いが、その後の将来において〝発達格差″に繋がっていくと示唆しています。
「今を生きる」子どもたちは、デジタル機器の使用は動画鑑賞やゲームといった今に目を向けた活用法を行います。
一方、「未来に向かう」子どもたちは、デジタル機器の使用は動画鑑賞やゲームを行うも、他の優先的な活動がある場合には切り替え可能であり、そして、コンテンツの消費だけではなく、未来に向けて能動的な活用法も行います。
つまり、今を楽しむためにただ受動的に使用する子どもと、未来の自分のために能動的・主体的に使用する子どもに分かれることで、両者には〝情報格差″、つまり〝発達格差″が生じるということです。
〝デジタルディバイド″は、情報をどのように自分の人生に役立てていこうとするのか、情報を活用してクリエイティブなことを生み出そうとするのか、といった活用法が後々〝情報格差″、つまり、〝発達格差″となって現れるということです。
これまでは、貧困問題によりデジタル機器が普及される子どもとそうでない子どもとの間で生じる格差が〝情報格差″となって現れることが強く指摘されていたように思います。
一方で、今回見てきたように、現代社会において、〝デジタルディバイド″はデジタル機器の活用法の違いによって現れる〝情報格差“の面が出てくると考えられるようになってきています。
もちろん、デジタル機器の活用法の背景には、貧困問題も影響している面もあると思います。
ここで大切な点は、デジタル機器は子どもに与えれば良いというものではなく、活用方法についても考えていくことが重要だということです。
以上、【デジタルディバイドとは何か?】子どもの発達格差について考えるについて見てきました。
今回見てきたような〝デジタルディバイド″の観点からの「今を生きる」子ども、そして、「未来に向かう」子どもに関する研究データはないと言われています。
しかし、こうしたデータは療育現場で子どもに関わる著者からみてもとても重要となる感じがしています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で子どもたちと関わる中で、デジタル機器の活用方法について考えていきたいと思いいます。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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