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【ゲーム依存への対応方法】放課後等デイサービスの役割と対応方法について考える

投稿日:2023年12月27日 更新日:

著者は放課後等デイサービスで療育をしています。

放課後等デイサービスでの活動には〝ゲーム″活動もあります。

しかし、メインの活動はゲーム以外が大半を占めているため、ゲームをすること自体は決して多くはありません。

一方で、放課後等デイサービスといった支援施設において、ただ子どもにゲームをさせ続けている事業所になってしまうと〝ゲーム依存″へのリスクを高めてしまうこと、さらに、療育の意味が軽減することに繋がってしまいかねません。

 

それでは、ゲーム依存に対して、放課後等デイサービスといった支援施設にはどのような役割と対応方法があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、ゲーム依存への対応方法について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、放課後等デイサービスの役割と対応方法について理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「森山沙耶(2023)専門家が親に教える子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド.Gakken.」です。

 

 

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ゲーム依存(傾向)のある子どもにとって放課後等デイサービスの役割とは?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

フリースクールや放課後等デイサービス、学童保育クラブなど子どもの支援施設や居場所の役割は、ネット・ゲーム依存においても重要です。

 

著書の内容から、放課後等デイサービスといった支援施設において、ネット・ゲーム依存の子どもたちを支援する重要な居場所であると記載されています。

つまり、自宅でネットやゲームでの過ごしが多くなりがちな子どもたちに対して、自宅以外で安心して過ごせる場所やゲーム以外の活動の提供が支援上大切だということです。

こうした支援を届けていくために、放課後等デイサービスは重要な居場所機能を果たしている可能性があるということです。

 

著者の放課後等デイサービスでも子どもたちが安心して家庭や学校以外に過ごせる場の提供、そして、放課後等デイサービスでしかできない活動内容の工夫などを試行錯誤しています。

活動内容には、ゲームを部分的に組み込むプログラムもありますが、プログラムの全体からみると少ない割合になっています。

また、ゲームを一人で黙々とやるというよりも、他者とゲームを通して情報を共有したり、ゲームの話で他者と盛り上がるなど、他者との交流の媒体として活用している面が大きくあります。

 

 


一方で、〝ゲーム依存″になっている子ども対しては支援施設で必要となるルールや関わり方のポイントはあるのでしょうか?

 

次にこの点について見ていきます。

 

ゲーム依存(傾向)のある子どもへの支援施設での対応方法

以下、著書を引用しながら見ていきます。

ネット・ゲームの使用にかかわらず、子どもに関わる→子どもが好きなネットやゲーム関連の話題や活動を取り入れながら関係を築く→それ以外の話題を話すことや活動の頻度を段階的に増やす→ネットやゲームをせずに過ごせる時間を増やし、活動のレパートリーを広げる

 

著書の内容から、ゲーム依存(傾向)のある子どもへの支援にはいくつか段階があることがわかります。

つまり、最初はある程度ゲーム使用を禁止せずに柔軟に対応していきながら、子どもとの関係づくりを優先させます。

関係づくりの際には、子どもが夢中になっているゲームの話を通して興味関心の世界を理解していく関わりが必要になります。

次に、ゲーム以外の話題やゲーム以外の他の活動に誘ってみることを少しずつ増やしていきます。

 

もちろん、上記に見た対応方法がスムーズに進んでいくかどうかには個人差があるかと思います。

著者も放課後等デイサービスで子どもとの関係づくりや活動のレパートリーを増やしていく時には上記のような対応方法を取ることがあります。

つまり、子どもが夢中になっている活動を通して子どもが何に興味があるのかを把握していきながら、少しずつ距離を縮めていきます。

そして、興味関心に関連する遊びを一緒にやっていきながら、活動の幅を広げていけるように試行錯誤していきます。

こうした対応方法は比較的うまくいくケースも多くありますが、中には、もともと興味関心の幅が狭い子どもや活動のエネルギーが低下している子どももいるため、スムーズに進んでいかないこともあります。

どちらにせよ、長期を見据えての支援が必要だということは言えるかと思います。

 

 


以上、【ゲーム依存への対応方法】放課後等デイサービスの役割と対応方法について考えるについて見てきました。

ネットやゲームは決して悪いものではありません。

あくまでも過度な使用と生活への支障がでていること、そして、リアルな活動の幅を狭めてしまうことが懸念事項としてあると思います。

子どもたちが様々な経験を積み重ねていくためにも、放課後等デイサービスといった家庭や学校以外の居場所は非常に大切だと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も放課後等デイサービスで子どもたちが様々な経験を積み重ねていけるように活動内容を工夫していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【デジタルディバイドとは何か?】子どもの発達格差について考える

 

森山沙耶(2023)専門家が親に教える子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド.Gakken.

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