発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

ゲーム依存 対応

【ゲーム依存への対応方法】基本対応と回復の過程について考える

投稿日:2023年12月25日 更新日:

ゲーム依存″への対応方法には様々なものがあります。

例えば、ルール作りや他に楽しめる活動を探し増やしていくなどがあります。

 

関連記事:「【ゲーム依存にならないためのルール作りについて】療育経験を通して考える

関連記事:「【ゲーム依存への対応方法】ゲーム以外の楽しみの作り方

 

一方で、〝ゲーム依存″といっても個人差があります。

そのため、関わり方・支援内容もまた個別の方法が必要です。

 

それでは、ゲーム依存に共通する基本的な関わり方にはどのようなものがあるのでしょうか?

そして、依存から回復までの道のりにはどのような過程があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、ゲーム依存への対応方法について、基本となる対応について見ていきながら、依存から回復までの過程についても併せて理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「森山沙耶(2023)専門家が親に教える子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド.Gakken.」です。

 

 

ゲーム依存への基本対応について

著書には3つの基本となる対応が記載されています(以下、著書引用)。

❶本人が夢中になっているネットやゲームを否定せずに、身近な人(多くの場合は家族)との信頼関係をつくっていく。

 

➋ネットやゲームをしなくても、それなりに心地よく過ごせる時間を少しずつ増やしていく。

 

❸食事、睡眠、入浴、着替えなど基本的な生活習慣が乱れている場合は、スモールステップで整えていく。

 

著書の内容には、〝ゲーム依存″への基本対応として、①ゲーム行為を否定せず他者と信頼関係を作っていくこと②ゲーム以外の時間を充実させていくこと③基本的生活習慣を整えていくこと、の3つが記載されています。

①に関しては、周囲の人(主に家族)が当人と信頼関係を作っていくためにも、のめり込んでいるゲーム行為をまずは否定しない態度・関わりが必要です。

そして、信頼関係ができてくると、周囲の人の声にも少しずつ耳を貸すようになり、心配している周囲の人の話の内容にも目を向けることができるようになるのだと思います。

②に関しては、例えば、音楽を聴いたり、散歩をしたり、読書をするなど、他にリラックスできる時間を相対的に増やしていくことが重要です。

③に関しては、ゲーム依存になると生活習慣が乱れていきます。そのため、生活改善を少しずつ心がけ、できる所から着実に取り組んでいく必要があります。

基本的生活習慣が整うことはあらゆる依存症からの回復に必要な取り組みだと思います。

 

 

ゲーム依存からの回復過程について

著書には〝行動変容ステージモデル″といった回復過程のプロセスが記載されています。

それでは以下に、回復に向けてどのような行動変容があるのか、著書を引用しながら見ていきます。

無関心期:行動を変えようと思っていない

関心期:行動を変えようと思っているが今すぐではない

準備期:今すぐにでも行動を変えようと思い手助けやきっかけを求める

実行期:実際に行動を変える

維持期:行動を変えて6ヶ月以上経つ

 

著書には、〝行動変容ステージモデル″の回復過程のプロセスとして、無関心期→関心期→準備期→実行期→維持期、といった5つがあると記載されています。

これら5つの過程は直接的に進むのではなく、進んだりも戻ったりを繰り返すこともあると考えられています。

仮にAさんが無関心期にいたとしましょう。

無関心期とは、行動を変えようと思っていない状態の時期ですが、この時期にも〝行動を変えてみたい″といった思いが見られることもあると著書には書かれています。

つまり、ある状態・ある段階において、その心理状態は固定化しているわけではなく、揺れ動いている場合もあるということです。

こうした5つの段階をアセスメントしながら(どの段階なのか)、揺れ動く当人の心理状態も把握していき、先に見た基本対応を踏まえて、できる所から少しずつ改善していくことが大切です。

 

 


以上、【ゲーム依存への対応方法】基本対応と回復の過程について考えるについて見てきました。

依存症からの改善・回復には時間がかかります。

また、回復過程もスムーズにいかないこともあります。

そのため、今回見てきた基本対応や行動変容のプロセスについて理解を深めていくことはゲーム依存への理解や支援においてとても重要であると思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もゲーム依存への理解を深めていきながら、療育現場で見られる子どもたちのゲームも含めたメディアとの付き合い方について考えていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

森山沙耶(2023)専門家が親に教える子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド.Gakken.

-ゲーム依存, 対応

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【〝パニック″の際に絶対にしてはいけない対応とは何か?】発達障害児支援の現場から考える

著者は療育現場で、子どもの〝パニック″行動への対応に迫られることがあります。 〝パニック″への対応には、事前に環境を調整するといった予防的な視点に加え、〝パニック″が起こった直後の対応もまた重要になり …

【不登校の子どもへの対応方法】友達との問題はどのように解決していけばいいのか?

不登校の子どもが学校に行きたくない理由の一つに、〝友達″との問題があります。 理由は様々ありますが、友達関係は学校生活を楽しく歩んでいくためにとても大切なものです。   それでは、友達関係で …

ゲーム依存と愛着障害の関係について

依存症(アディクション)という言葉を最近よく聞くようになりました。 例えば、ギャンブル依存、ゲーム依存、ネット依存、アルコール依存など、依存の対象は様々です。 著者は小学生を対象に放課後等デイサービス …

【発達障害児の二次障害への対応】療育経験を通して考える

発達障害とは、もともと生来的に持っている脳の機能障害のことです。 一方、〝二次障害″とは、愛着障害や適応障害、PTSD、反抗挑戦症、不登校など周囲の環境要因が影響することで生じるものです。 発達障害児 …

【ゲーム依存に陥りやすい使用時間はあるのか?】療育経験を通して考える

〝ゲーム依存″やネット依存が最近話題となることが増えています。 コロナになりステイホームが増えたこと、魅力的なゲームが増えたこと、など背景要因は様々かと思います。 また、ADHDやASDといった発達障 …