〝ゲーム依存″やネット依存が最近話題となることが増えています。
コロナになりステイホームが増えたこと、魅力的なゲームが増えたこと、など背景要因は様々かと思います。
また、ADHDやASDといった発達障害の人たちは、〝ゲーム依存″に陥りやすい傾向があることがわかっています。
関連記事:「【発達障害とゲーム依存の関連について】ADHDとASDを例に考える」
それでは、ゲーム依存に陥りやすいゲームの使用時間はあるのでしょうか?
そこで、今回は、ゲーム依存に陥りやすいゲームの使用時間はあるのか?について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「森山沙耶(2023)専門家が親に教える子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド.Gakken.」です。
ゲーム依存と使用時間の関係について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
ゲーム時間が長くなるにしたがって、学業や仕事のパフォーマンスが低下した人の割合が高くなっています。
どのくらいの時間で依存になるかということは明らかになっていません。
著書に内容から、〝ゲーム依存″になる使用時間は明確にはわかっていないとされています。
一方で、ゲームの使用時間が長くなるに伴い、学業や仕事のパフォーマンスが低下するなど、生活に支障が出ることが分かってます。
ちなみに、このデータは、〝国立病院機構久里浜医療センター(2019)ネット・ゲーム使用と生活習慣についてのアンケート結果″になっています。
2019年のデータですので、その後のコロナの影響で、平均のゲームの使用時間も増加している可能性も考えられます。
一方で、平均的な使用時間はどの程度なのでしょうか?
以下、インターネット使用の平均時間について著書を引用しながら見ていきます。
小学生では平均140分、中学生では平均162分、高校生では193分となっています。
著書の内容から、ネットの平均使用時間は、小学生→2時間20分、中学生→2時間42分、高校生→3時間13分、といった年齢が上がるごとに増加傾向が見られています。
だいたい、2時間~3時間、平均として使用していることになります。
もちろん、平均値であり、中央値ではないので、個人差があることも考えられます。
ちなみに、このデータは、〝内閣府 令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査″になります。
2021年のデータであり、コロナが始まった以降のものになります。
書著では、平均使用時間を見ながら、家庭の中でゲームやネット使用のルールを考えていけると良いと記載されています。
一般的な〝依存″となる使用時間はまだわかっていませんが、平均使用時間を参照しながら、子どもが納得できる使用時間を大人と一緒に考えてくことが必要になります。
著者の経験談
著者が療育現場で関わる子どもたちと接していて感じることは、ゲームの魅力が非常に高まっているということです。
子どもたちの中には、ゲームの話を知識豊富な博士のように非常にイキイキと楽しそうに話す様子がよく見られます。
ゲームの魅力が高まることで、子どもたち一人ひとりの興味関心に合ったゲームを選択する幅が広がり、質も高いことからゲームの世界に没入する体験を多く得ることができるのだと思います。
そのため、著者が関わっている子どもたちの多くはゲームが大好きです。
また、発達障害に見られる特性が影響して、過度にゲームに集中する様子もあります。
大切なことは、ゲームを思う存分できる時間を補償しながらも、ゲーム使用の際には、事前にルールを設定しておく必要があると感じています。
この〝事前にルールを決めておく″が非常に大切だと思います。
なぜなら、発達障害の子どもたちにとって、後からのルール変更を苦手とするからです。
もちろん、ルール変更は不可能ではありませんし、一度、ルールを決めても守れないこともあります。
しかし、過度なゲーム使用を回避するためには、事前の大人とルールを決め合意を取っていくことが大切です。
以上、【ゲーム依存に陥りやすい使用時間はあるのか?】療育経験を通して考えるについて見てきました。
いつの時代にも、ゲームは子どもにとって魅力的なものだと思います。
一方で、過度な使用は〝依存″のリスクを高め、健康を害する可能性もあります。
日々の生活の中で、ゲームを楽しく使用していくためにも、使用時間などルールを決めていくこともまた大切です。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もゲーム・ネットとの付き合い方、使用時間などについて、現状のデータや研究についての情報も取り入れていきながら、日々の療育に活かしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
森山沙耶(2023)専門家が親に教える子どものネット・ゲーム依存問題解決ガイド.Gakken.