発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

療育 集団遊び

【〝集団遊び″がうまくいかない場合の対応方法】〝ルール遊び″を通して考える

投稿日:2023年2月23日 更新日:

著者の療育現場では〝遊び″を通して、子どもたちの成長・発達が非常に多く見られます。

中でも、最近では、〝集団遊び″を通して、様々な子どもたちがお互いを意識し、目標・目的に向けて協力して遊ぶ様子が増えてきています。

一方で、〝集団遊び″に興味関心があるがうまく集団に参加できない、あるいは途中でトラブルを起こしてしまうケースもあります。

こうした背景は、個々に応じて様々な要因が考えられます。

 

それでは、〝集団遊び″がうまくいかない場合にはどのような対応方法が必要となるのでしょうか?

 

そこで、今回は、〝集団遊び″がうまくいかない場合の対応方法について、臨床発達心理士である著者の経験談を踏まえて、〝ルール遊び″を例に考えを深めていきたいと思います。

 

 

スポンサーリンク

〝集団遊び(ルール遊び)″がうまくいかない背景要因と対応方法

今回は、著者の療育現場で多く見られる〝集団遊び(ルール遊び)“がうまくいかないケースについて、次の2つの背景要因とその対応方法について見ていきます。

 

その2つとは以下です。

1.遊びのルールが理解できない

2.衝動的行動をとってしまう

 

 


それでは、次に、2つの背景要因と対応方法について見ていきます。

 

1.遊びのルールが理解できない

〝集団遊び“では、遊びのルールが理解できるという前提が必要となります。

〝ルール遊び“には、ルールを知っている大人や先輩などが予め定めた一定の基準値を理解する力(認知能力・言語能力)が必要となります。

発達に躓きのある子どもたちには、こうした力に凸凹がよく見られます。

そのため、ルールから逸脱してトラブルになってしまうなどがよくあります。

 

ルール理解の難しさにおける対応方法で著者が気を付けていることは、その〝集団全体にとってわかりやすいもの“であるかということです。

ルールはシンプルであればあるほどうまくいくという印象があります。

時々、複雑なルールを好む子どももいますが、それに合わせることができる集団でないと結果うまくいかなくなってしまいます。

そして、〝ルールは遊びの初めに伝える″ということが必要です。

発達に躓きのある子どもたちは、遊び途中での修正・変更など臨機応変さを苦手としています。

そのため、事前に遊びのルールの見通しを伝えていくことがとても重要だと感じています。

さらに、忘れてはいけないことは、子どもたちの興味関心を通して、遊びのルール作りを考案していくというものです。

そのため、ルールを作る際には、子どもたちのルールへの理解力の把握に加え、ルールがあると楽しく遊べるという創意工夫が必要です。

その上で、日頃の子どもたちの興味関心を抑えておくことはとても重要だと思います。

 

 

2.衝動的行動をとってしまう

発達に躓きのある子どもたちは、状況の変化に臨機応変に対応する難しさがあるため、わかりやすいルールがあった方がうまく遊べることがあります。

しかし、ルールがある程度理解できていても、遊びの途中で、自分の都合のいいようにルールを作り変えようとしたり他の刺激に注意が向いてしまうことでルールから逸脱したり、集中力を欠いて遊びのルールを忘れてしまうなどのケースもあります。

こうした行動は、周囲から見ると〝衝動的行動″にも見えます。

そして、こうした状態が長引いてしまうとトラブルに発展する可能性が高まります。

 

衝動的行動から生じるトラブルの可能性を回避するために著者がとっている対応方法は、〝個別の理解と配慮に立ち戻る″ということです。

衝動的行動の背景要因には、状況や文脈を読み取る苦手さからくるものや、感覚過敏・鈍感さなど感覚の問題、そして、短期記憶の苦手さなどがあります。

〝個別の理解と配慮に立ち戻る″とは、〝集団遊び″から一度、他の遊びに移すなどの環境設定をしたり、個別にルールの確認などをしていくということです。

〝集団遊び″の中でうまくいくように無理矢理調整するというより、一度、環境を分けて個別に対応していくというイメージです。

どんな時でも大切なのは、〝個別の理解と配慮″だと著者は実感しています。

個別の理解を抑えていくことで、例え、その日の〝集団遊び″がうまくいかなくても、次回に向けて必要な対策を講じることができます。

こうした〝予防的関わり″もまたとても重要だと思います。

 

 


以上、【〝集団遊び″がうまくいかない場合の対応方法】〝ルール遊び″を通して考えるについて見てきました。

発達に躓きのある子どもたちにとって、〝ルール遊び″は想像以上に難しいものです。

しかし、〝ルール遊び″などの〝集団遊び″によって得られる力は、その後の成長・発達においてとても重要なものだと思います。

そして何より、ルールがあると人とうまく遊ぶことができたという経験は自信に繋がっていきます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も〝集団遊び″をさらに発展していけるように、ルール作りを実践していくことや併せて個別の理解も深めていくことを大切にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

スポンサーリンク

-療育, 集団遊び

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【療育で活かせるワーキングメモリへの支援】療育経験を通して考える

〝ワーキングメモリ(working memory)″とは、情報を記憶し、処理する能力のことを言います。〝脳のメモ帳″とも言われています。 ワーキングメモリの機能として、〝言語性ワーキングメモリ(言語的 …

【療育で大切なこと】学童期までに育てたい〝アナログ脳″について

著者は療育現場で発達障害など発達に躓きのある子どもたちと関わっています。 関わっている子どもの年齢層は小学生といった学童期が中心です。 この時期の子どもたちには〝アナログ脳″を育てることがとても大切だ …

発達支援(回想編):療育施設での四年を振り返る

今回は私が療育施設に勤務した最後の年である四年目を中心に、療育施設の四年間を振り返りながらその中で学んだことや課題についてお伝えしていこうと思います。 冒頭にも紹介した通り、この年が療育施設での勤務の …

発達支援で大切なこと-生活療法的視点について考える-

発達支援(療育)では、日々の子どもたちの困り感・生きづらさを支えることがとても大切です。 関連記事:「発達障害の「生きづらさ」について-療育経験を通して考える-」 それは、発達障害を生活障害と捉えなお …

発達支援(遊び編):「変装ごっこ」

私が以前いた療育施設では様々な遊びを行っていました。子どもたちはハマったものはじっくり取り組む一方で、すぐに飽きるという特徴があります。 私も遊びが飽きないように、そして、新しく興味をもってもらえる遊 …