発達障害の子どもたちがここ10数年の間で増加し続けています。
増加の背景には、様々な要因が考えられますが、発達障害の可能性が疑われる人たちの中には、実際には発達障害ではないケースも多く存在すると言われています。
それでは、発達障害ではないが、発達障害だと疑われるケースにはどのような特徴があるのでしょうか?
そこで、今回は、〝発達障害もどき″とは何か?について、発達障害を疑われる人たちの特徴について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「成田奈緒子(2023)「発達障害」と間違われる子どもたち.青春新書.」です
〝発達障害もどき″とは何か?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
「発達障害の診断がつかないのに、発達障害と見分けのつかない症候を示している状態」を指します。
〝発達障害もどき″とは、著書の成田さんがつくった言葉であるため、実際の診断名ではありません。
医師である成田さんが多くの相談を受けていく中で、発達障害に似ているが診断のつかない状態を〝発達障害もどき″と呼んでいます。
一見すると、発達障害の可能性が疑われるも詳細に状態像を見ていくと、発達障害ではなかったというケースも多く存在するそうです。
著書には、〝発達障害もどき″について3つのカテゴリーに分けられるとの記載があります。
つまり、これから述べる3つのカテゴリーに該当すれば発達障害ではない可能性もあるということです。
もちろん、発達障害の有無を調べるためには、医師による診断を受ける必要があります。
以下、著書を引用しながら、3つのカテゴリーについて見ていきます。
〝発達障害もどき″の3つのカテゴリー
1.診断はつけられないが、発達障害の症候を見せるもの
著書には、生育歴には問題はないものの、小学校入学前までの時期に〝発達障害もどき″がよく見られるとの記載があります。
発達障害の診断には、発達歴が必須です。
つまり、生誕後から現在に至るまでに発達障害の徴候が行動上に見られているかが大切なポイントになります。
発達障害とは環境要因ではなく、遺伝による影響、つまり、脳の機能障害です。
そのため、発達歴に発達障害だと考えられる特徴が無ければ他の要因が想定されます。
著書には、〝発達障害もどき″が幼児期に見られる例として、以下の要因の影響を指摘しています(以下、著書引用)。
このような子どもたちによく見られるのが、生活リズムの乱れと、テレビやスマホ、タブレットなどの電子機器の多用です。
2.医師以外から「プレ診断」を受けるもの
繰り返しになりますが、発達障害の診断は医師によって行われるものです。
つまり、医師の診断があってはじめて発達障害と診断されるということです(当然ですね!)。
著書には、医師以外の保育士や教員等から発達障害の可能性を示唆されることで、〝プレ診断″に繋がることが〝発達障害もどき″を生む2つ目の要因だとしています。
最近は、発達障害関連の記事やニュース、書籍などから、発達障害についての情報を簡単に入手することができます。
中でも、保育士や学校の先生などは、発達障害についての勉強をしてきています。
そのため、発達障害の可能性を疑うことは、時と場合によっては出てきてもおかしくありません。
もちろん、こうした試み(疑い)が良い方向に繋がることもありますが、見当違いもあるということです。
こうした医師以外の人が発達障害を疑うこともまた〝発達障害もどき″を生む要因だと考えられています。
3.発達障害の診断をしたものの症候が薄くなるもの
最後のカテゴリーが、一度は発達障害の診断を受けたものの、その後に、症状が軽減したというケースです。
もちろん、診断がついたということは、医師が生育歴や他の要因等を総合的に踏まえて診断をつけています。
しかし、その後の生活の中で症状が目立たなくなるというケースもまた見られるということです。
以上、【〝発達障害もどき″とは何か?】発達障害を疑われる人たちの特徴について考えるについて見てきました。
発達障害は増加の一途を辿っていますが、中には、今回見てきたように、実際には発達障害ではなかったというケースも存在するということです。
私たちは、ある特定の行動を見て軽率に発達障害だとは言えないということを考えていく必要があるのだと思います。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害への理解を深めていきながら、誤った見立てをしないように学びを深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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