発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

折り合い 発達障害

【〝折り合い″をつける力の重要性】発達障害児支援の現場から考える

投稿日:2023年11月21日 更新日:

 

著者は、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしています。

その中で、個別支援計画を立てる際に、〝折り合い″という言葉をよく使います。

よく使用される言葉ではありますが、〝折り合い″をつけるためには、様々な能力の育ちや関わり方の工夫が必要です。

 

それでは、〝折り合い″をつける力とは、そもそもどのような意味で重要となるのでしょうか?

 

そこで、今回は、〝折り合い″をつける力の重要性について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は「森口佑介(2021)子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か.PHP新書.」です。

 

 

スポンサーリンク

 

 

〝折り合い″とはそもそも何か?

折り合い″とは、自分と他者との間で〝双方が納得できる妥協点を見つける″などとも言われています。

例えば、AさんがAプランを提案してきたのに対して、BさんがBプランを提案してきたとしましょう。

この際に、両者が話し合いの中で、AプランとBプランの内容をすり合わせて、お互いの妥協点を見つけながら、より良いプランを作っていくときにも〝折り合い″の要素が入ってきます。

子どもにおいては、大人が介入する必要が多くあります。

発達障害など発達に躓きのある子どもたちにとってはさらに〝折り合い″への支援が必要です。

 

 

〝折り合い″をつける力の重要性

以下、著書を引用しながら見ていきます。

子どもの将来に大事なスキルは「自分もしくは他者と折り合いをつける力」として総称が可能なものとなりました。

 

ここで強調したいのは、「自分や他者とうまくやっていくこと」は必ずしも必要ではないということです。

 

著書の内容から、子どもが将来的に必要な様々なスキルの中で、〝自分もしくは他者と折り合いをつける力″が大事なスキルだと記載されています。

自分もしくは他者と折り合いをつけるためには、様々な能力が必要です。

また、著書の中では、自分もしくは他者と折り合いをつけることとは、うまくやり続けるといった完璧な関わり方ではなく、〝ある程度″〝ほどほどに″といったレベルのスキルを想定しています。

 

 


それでは、次に、〝折り合い″に関して、よく発達障害児支援の現場で見られる光景と支援内容について見ていきます。

 

著者の経験談

それでは、以下、3つの事例を中心に見ていきます。

 

事例1:物の貸し借りを例に

物の貸し借りによるトラブルは療育現場において少なからず見られるものです。

例えば、A君が使いたいものとB君が使いたいものが重なるときに、お互いが譲らないといった状態などです。

著者はこうしたトラブルを少しでも回避するために、使いたい物が重りそうな物、あるいはよく重なる物については、使用上のルールを設けるようにしています(代替えになるものがあればそれで対応することもあります)。

例えば、一人30分まで使用できる、その後は使いたい人がいれば交代するといった感じです。

事前にルールを設定することで、格段にトラブルが少なくなることがあります。

 

 

事例2:ルール遊びを例に

ルール遊びをはじめ遊びの中で、子どもの意見が食い違うことはよくあります。

例えば、C君は○○のルールで遊びたい、一方、Dは●●のルールで遊びたい、など意見が嚙み合わない状態です。

著者は、こうした事態を少しでも解決するために、両者にとって納得がいく、楽しむことができるルールを提案するようにしています。

その中で、お互いの妥協点を探していく方法を取っています。

また、もともとルールへの合意が難しい場合には、事前にルールを決めておくようにしています。

子どもたちの相性や理解度などに応じてルールへの適応には個人差があるため、できるだけハードルを上げずに、分かりやすさを重視したルールを考案するように心がけています。

 

 

事例3:順番へのこだわりを例に

順番へのこだわりは特に自閉症の特性のある子どもによく見られます。

例えば、E君とF君は帰りの送迎でお互いに一番で帰りたいなど順番へのこだわりなどがあります。

著者は、こだわりはもともと持っている特性だと実感しているため、妥協してもらう必要がある際には、事前に合意を取るように心がけています。

こだわりの対象や強度などにもよりますが、強度が比較的弱いケースであれば、妥協点を見出せることがよくあります。

 

 


以上、【〝折り合い″をつける力の重要性】発達障害児支援の現場から考えるについて見てきました。

〝折り合い″をつけることは、自己認識や他者認識を深めることでもあるため、発達上非常に大事なスキルです。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で様々な〝折り合い″をつける場面に向き合いながら、どういった関わり方があればうまく〝折り合い″をつけていけるのかを考えていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

折り合いをつける力の正体について以下の記事で紹介しています。

関連記事:「【〝折り合い″をつける力の根底を支えているものとは?】発達障害児支援の現場から考える

 

 

森口佑介(2021)子どもの発達格差 将来を左右する要因は何か.PHP新書.

スポンサーリンク

-折り合い, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【発達障害児を持つ保護者支援】子どもの発達上の問題の理解について必要な5つのポイント

  発達障害児への支援と言えば、本人への直接的な支援も重要ですが、それに加えて、〝保護者支援″もまたとても必要です。 発達障害児(その傾向のある子どもも含め)、特に、年齢が小さい子どもの場合 …

発達障害児の感覚の問題への支援【感覚鈍感(過小反応)について】

  発達障害児は、様々な感覚の過敏さや鈍感さといった感覚の問題を持つことが多いと言われています。   関連記事:「発達障害の感覚調整障害について【4つのタイプから考える】」 &nb …

【発達障害児に見られる低反応とは?】支援で重要な視点も踏まえて考える

  発達障害児・者には様々な感覚の問題が見られると言われています。 そのため、発達障害児・者支援に携わる人たちにとって、感覚の問題への理解と対応に関する知識は必須であると言えます。 中でも、 …

【発達障害の診断は100%正確なのか?】診断をする際の〝主観性″〝流動性″を通して考える

  発達障害を特定するためには医師による診断が必要です。 診断する医師は、生育歴、発達特性の検査、知能検査、家庭環境、などの情報を踏まえて診断を行っています。 また、診断内容によってはある程 …

【境界知能と発達障害の違いについて】知的障害との違い・発達障害との併存も含めて考える

  〝境界知能″とは、〝知的機能が平均以下であり、かつ「知的障害」に該当しない状態″の人たちのことを指します。 IQ(知能指数)で言うと、70~84のゾーンに当たります(71~85と記載され …