著者は以前、〝学習性無力感″の状態に陥ったことがあります。
もちろん、当時の著者はこの言葉は知らず、後々、心理学を学んでいく中で、昔の著者はまさに〝学習性無力感″だったと考えさせられました。
それでは、〝学習性無力感″とは一体どのようなものなのでしょうか?
そして、その克服法はあるのでしょうか?
そこで、今回は、〝学習性無力感″とその克服体験について、著者の例を取り上げてお伝えしていきます。
今回参照する資料は「鎌原雅彦・竹綱誠一郎(1999)やさしい教育心理学:第4版.有斐閣アルマ.」です。
〝学習性無力感″とは何か?
〝学習性無力感″とは、セリグマンという人物が動物実験を通して考えたものになります。
セリグマンは、動物実験から、動物が取る行為が結果に繋がらないという状況を作り出しました。
その内容は、電撃を避けることができない環境にイヌを置き、様々な行動で電撃を回避しようとしても逃れることができないことから、イヌはいずれ電撃を回避する行動を取ろうとしなくなるというものです(今の時代であれば倫理的には非常にまずいものですが・・・)。
こうした動物実験から生み出された〝学習性無力感“とは以下の特徴があります(以下、著書引用)。
学習性無力感とは、無力感に陥って自分から何もしなくなるのは、その人がもともと「やる気のない」人間であるからではなく、経験によって学習された結果なのである、という主張です。
つまり、〝学習性無力感“とは、経験によって無力感を学習した結果ということです。
もともとの〝やる気のなさ“ではなく、行動が結果に繋がらないこと、無力感を学習してしまったということになります。
それでは、次に著者の経験談から〝学習性無力感″のエピソードとその克服体験について述べていきます。
著者の経験談:〝学習性無力感″とその克服体験について
著者は昔、学校の勉強が苦手でした。
当時の心境は、自分がやってもやっても成果がついてこない、学んでいる・成長しているという実感が湧いてこないというものでした。
そう感じたピークが大学受験の失敗です。
努力し続ければ必ずいつか成果が出ると信じていた著者は大学受験の失敗を期に、学びに対してやる気をなくしてしまいました。
学ぼうとする意欲を引き出すだけでもひと苦労な状態だったため、少しの勉強時間を取っただけで非常に疲労困憊になってしまう状態でした。
自分の勉強への取り組みの継続は何の効果も生まないと感じていました。
もともと学ぶことへの〝やる気“はありましたが、この時期は本当に無気力感が強いと自分でも実感していました。
これぞまさに、〝学習性無力感″の状態だったと思います。
それでは、どのようにして克服していったのか?
それは、①自分の興味・関心を出発点として、②独学を始め、③日々の継続した学びを少しずつ進めていったことが〝学習性無力感″の克服に繋がったと考えます。
非常に面白くない回答かもしれませんが、この中には重要な要素が多く含まれています。
①まずは、興味・関心を出発点とすることについてです。
それは、周囲からの押し付けや価値観とは関係なく、〝自分が本当に知りたいこと″〝学びたいこと″といった自分という基準や好奇心を大事にすることです。
そのためには、様々な対象に目を向けるという意識、多くの経験や自分の頭で物事を考えることが大切です。
なぜ当時の〝学習性無力感″の自分にこのようなエネルギーがあったのかというと、学びの〝どん底“にいたことで、むしろ開き直ることができたのかもしれません。
ゼロになって初めて、見えてくることもあります。
〝どん底“から湧き起こる力が周囲の目を気にせず、自分なりの学びの道を進んでいこうというある種の覚悟を決めるきっかけになったように思います。
どうせ、このまま同じような学び方をしても成果に繋がらないのなら、いっそのこととことん興味・関心に邁進していこうという強い決意です。
②そして、独学についてです。
行動の結果が悪かったということは、行動を変える必要があります。
そのため、著者は自分にとって適切な学び方を試行錯誤するようになりました。
もちろん、試行錯誤には時間がかかりました。
試行錯誤の結果、徐々に自分の頭の使い方が分かるようになってきました。
自分にとってどのようなインプット方法がよいか?また、どのような思考の整理方法がよいか?そして、どのようなアウトプット方法がよいか?などです。
人の脳はそれぞれ違います。
そのため、その人に合った学び方・やり方があると思います。
著者は独学を通して、自分にとって最適な学び方のコツのようなものを少しずつ習得することができました。
③最後に日々の継続した学びについてです。
何事もそうですが、〝自分が変わる“ためには、長い時間が必要です。
そのためには、日々の学びを習慣化していくことが大切です。
単発の学びでは大きな変化は生じにくいように思います。
学びを日々の生活の中で〝当たり前に習慣化する“ということができるようになってくると、時間が経つごとに自己成長していく感覚を得ることができます。
そして、過去を振り返った際に、膨大な量の学びをこなしてきたという自信もついてきます。
以上の①②③からの取り組みが、著者が考える〝学習性無力感″の克服法です。
もちろん、人によっては克服方法に違いがあると思います。
大切なことは、〝学習性無力感″は〝やり方″さえ本人に合っていれば克服可能ということです。
以上、【〝学習性無力感″とその克服体験について】著者の経験を振り返って考えるについて見てきました。
〝学習性無力感″の状態の当時の著者は非常に暗闇の中におり、何事にも自信を持てずにいました。
そして、〝自分の力で状況を打開することはできない″と感じていました。
しかし、その後、〝学習性無力感″を脱し、学びを継続することで、今では学ぶことが何よりも楽しみになりました!
学びの〝どん底″から、学ぶことが〝最高の喜び!″だと感じるようになった180度の回転の中にもまた、大きな学びがあったと思っています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も学ぶことを続けていきながら、その姿勢・姿を自分が関わる子どもたちに見せていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
鎌原雅彦・竹綱誠一郎(1999)やさしい教育心理学:第4版.有斐閣アルマ.