発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

パニック 対応 発達障害

【〝パニック″の際に絶対にしてはいけない対応とは何か?】発達障害児支援の現場から考える

投稿日:2023年7月14日 更新日:

著者は療育現場で、子どもの〝パニック″行動への対応に迫られることがあります。

〝パニック″への対応には、事前に環境を調整するといった予防的な視点に加え、〝パニック″が起こった直後の対応もまた重要になります。

 

それでは、様々ある〝パニック″への予防や対応の中で、絶対にしてはいけない対応はあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、〝パニック″の際に絶対にしてはいけない対応とは何か?について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.」です。

 

 

スポンサーリンク

〝パニック″の際に絶対にしてはいけない対応とは何か?

以下、著書を引用しながら見ていきます。

発達障害の子どもがパニックになったとき、大人が絶対にしてはいけないことがあります。それは、パニックになったことを責めるという対応です。

 

著書には、〝パニック″の際に絶対にしてはいけない対応として、〝パニックになったことを責める″といったことが記載されています。

そして、その理由について、子どもは自分の気持ち(感情)をコントロールする力が未成熟であるからだとしています。

そのため、〝パニック″になったことを指摘すること(責めること)は、本来その子どもにとって難しいハードルに対して〝なぜ、できないのか?″と言っている対応とも言えます。

こうした対応を繰り返すことは、子どもから感情のコントロールの仕方を学ぶ機会を奪い、さらには、自己肯定感を下げてしまうことに繋がります。

 

 

著者の経験談

子どもが〝パニック″を起こす背景には様々な理由があります。

そして、その理由を把握し環境調整を行いながら、少しずつ〝パニック″への対応を学んでいく力を育てていく必要があります。

 

著者はこれまで療育現場で、子どもたちの〝パニック″行動に関わってきましたが、関わり始めた当初は無理に落ち着かせようとしたり、責めるまではいかないまでも〝共感的態度″が欠けていたと今振り返って見て感じることがあります。

しかし、今になって思うことは、〝パニック″になったことを責めずに、長いスパンで支援していくという視点に立つことで、子どもの感情のコントロールは少しずつ育っていくという実感です。

それは、以前は感情のコントロールが苦手でよく〝パニック″を起こしていた子どもの成長の道筋と周囲の関わり方を振り返って見ての感じるところでもあります。

感情のコントロールの育ちには、関わる大人との信頼関係を基盤として、様々な感情を共有していく中で、感情を言葉にしていく経験が必要です。

また、イライラした際への対処法を本人が学習していくこともまた重要です。

対処法については、例えば、静かなスペースにいくと落ち着く、○○さんに相談してみる、発散系の遊びでイライラを解消するなど様々な方法があるかと思います。

私たち大人もイライラした感情を自分なりの方法でコントロールしています。

著者はイライラした際に、イライラの要因を考え分析する、気分を変えるために他の刺激を得る、呼吸をする、他の視点に立って物事を考えてみる、運動するなど無意識的に取っている行動も多くあります。

そして、子どもはイライラした際の感情コントロールへの対処がまだまだ未成熟であるため、長い期間をかけて育てていくという視点がとても大切だと思います。

特に、発達障害児は特性からくる影響もあり感情のコントロールを苦手とするケースが多くあります。

そのため、長期で育てていくという姿勢に加えて、発達特性への理解と対応もまた必要不可欠な視点であると感じています。

 

 


以上、【〝パニック″の際に絶対にしてはいけない対応とは何か?】発達障害児支援の現場から考えるについて見てきました。

〝パニック″行動は子どもからすると本来は望んでやっている行動ではありません。

そうせざるをえない要因があるからこそ起こしているのです。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もパニックへの理解を深めていきながら、パニック行動を取らなくてもいいような行動への支援や感情のコントロールへの支援について学びを深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【発達障害児の〝パニック″への対応について】予防的視点から考える

関連記事:「【発達障害児の〝パニック″直前の基本対応】〝パニック″を予防するために大切な関わり方

関連記事:「【発達障害児の〝パニック″直後の対応について】療育経験を通して考える

 

小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.

スポンサーリンク

-パニック, 対応, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【発達障害児支援で必要なすぐに飽きる子への理解と対応】療育経験を通して考える

著者は長年、発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしてきています。 子どもたちの中には、活動の中で集中力が続かないなど、すぐに〝飽きる″子どももいます。 また、学校の先生や保護者から勉強への …

【不登校の子どもへの初期対応】〝子どもが学校に行きたくない″といった場合の対応

子どもが急に〝学校に行きたくない″と言えば当然親は戸惑います。 子どもが学校に行き渋ることは急に起こることもあるかもしれませんが、子ども自身が悩み抜いた末に出すSOSだとも考えられます。   …

発達障害の診断名はなぜ変わることがあるのか

著者は現在に至るまで発達障害関連の仕事を多くしてきました。 その中で、発達障害の診断名が変わる人がいるということを時々耳にします。 しかし、発達障害とは、先天性の脳の機能障害であるため、生育歴を含め、 …

【認知処理スタイル(継次処理・同時処理)の特徴について】発達障害児支援の現場から考える

著者は発達障害など発達に躓きのある子どもたちに対して、療育(発達支援)を行っています。 また、著者の周囲には当事者スタッフと言って、発達特性のある方も多くいます。 こうした子どもから大人まで、発達障害 …

【ゲーム依存への対応方法】放課後等デイサービスの役割と対応方法について考える

著者は放課後等デイサービスで療育をしています。 放課後等デイサービスでの活動には〝ゲーム″活動もあります。 しかし、メインの活動はゲーム以外が大半を占めているため、ゲームをすること自体は決して多くはあ …