私が以前勤めていた療育施設はクラスや廊下、ホールなどが非常に広く設計されており、そこで子どもたちとたくさん体を動かして遊びました。
施設内が広いとその空間を有効に活用することで様々な遊びができます。
今回は、こうした広い空間を活用して頻繁に行った「乗り物遊び」について、具体的な遊びの内容などをお伝えしていこうと思います。
まず、療育施設にあった乗り物ですが、コンビカー、三輪車(小・大)を中心にそれぞれ何台かあり、タイヤクローラー(タイヤの下に板と車輪がついたもの)、大きなカゴの乗り物(数人入れるカゴの下に車輪がついたもの)などがありました。
そのため、個々に応じて乗り物が変わってきます。例えば、一人でバランスをとってこぐことができる子は三輪車、両足で力強く地面をけることができる子はコンビカー、こいだり、地面をけることが難しい子はタイヤクローラーや大きなカゴの乗り物などにしていました。
肢体不自由児など姿勢がうまく取れない子どもには、安定して姿勢が取れるように作業療法士の方などに環境調整などサポートして頂いてました。カゴの乗り物の中に、椅子やクッションなどを入れ、まずは姿勢の安定、安全性の確保というところを行うなどの指導を受けました。
私が見てきた子どもたちの多くは乗り物遊びが好きでした。乗り物を見るとすぐに集まり、自分から乗ってきます。すぐに定員オーバーになるため、どの子が何が好きかなど事前に考え準備しておきました。
また、タイヤクローラーは頑張れば二人乗り可能であり、大きなカゴの乗り物は4人前後は乗れるので、こうした他児と一緒に乗ることを楽しむ子もいました。
こうした「乗り物遊び」ですが、大人の体力勝負なところも大きくあります。特に、カゴの乗り物などけっこう重たいので、男性職員が押す担当になります(必然的に私です)。ですが、スピードを徐々に出して加速すると子どもたちが喜ぶため、勝手に力が入ってしまうのが不思議です。
次に、「乗り物遊び」で具体的に行った遊びについてお伝えします。
乗り物と言えば「レースごっこ」です!
クラスや廊下を完全に開放し、スタート位置にテープなどをはって競争します。子どもたち以上に大人の方が力が入ります。廊下が広いため、途中で抜かしたりすることが可能です。体力を使いますが、大人・子どもともにとても楽しめる遊びでした。
私は時々毛布を活用し、毛布を乗り物に見立てて引っ張って遊ぶこともしました。レース時にも登場しましたが、すべて人力なので数回が限界でした。
次に、「電車ごっこ」があります!
これは先ほど、お伝えしたカゴの乗り物を複数用意し、それにみんなで乗って、少しクラス内を走ってから、みんなで列になって廊下を電車のように回るという遊びです(クラスでということもあります)。
この時に、事前にカゴの乗り物には電車の装飾などをしておくと子どもたちの興味関心を引きます。準備が少し大変ですが、頑丈な段ボールなどで電車の装飾を一度作れば、つけたり外したりなど、何度も繰り返して使うことができます。
その他、大人二人がそれぞれ部屋の端に立ち、タイヤクローラーや大きなカゴの乗り物を押して遊ぶ遊びが人気でした。人数制限があるので、交代や順番待ちなどを子どもに伝えながら行います。中には、大人と一緒に押す役をやろうとする子もいました。
このように乗り物遊びはクラス全体で楽しめるものの一つでもありました。
「乗り物遊び」は、何かに乗って揺れやスピードを感じて楽しむ子、自分で乗り物を動かして楽しむ子など様々な遊び方があります。中には大の車輪好きという子もおり、車輪が回転する様子を真剣に見続ける子もいました。
徐々に高度になると、バランスの取り方、全身の力の協調性など、色々な能力が必要になってきます。私が見てきた子の中には、三輪車に乗れないから→乗れる→こげる、など段階を踏んでいった子も何名かいました。
私が「乗り遊び」を通して感じたのは、体を使う経験の楽しさを感じてもらうことです。それは乗り物ならでは、環境からの刺激(揺れやスピードなど)や体の使い方があるからです。
今後も様々な遊びの中にどういった意味があるのかを考えながら、子どもたちと一緒に楽しい遊びを考えていきたいと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。