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大人のワーキングメモリを鍛えるための実践方法について振り返る

投稿日:2022年12月26日 更新日:

ワーキングメモリとは、作動記憶とも呼ばれ、聞いた情報を一時的に記憶に保持し、その情報を操作する力なります。

著者は昔からワーキングメモリを苦手としていました。

人との会話の中でも、固有名詞など聞いた情報を直ぐに忘れてしまいます。

また、読んだ文章の理解や聞いた情報もどんどん抜け落ちてしまうことがよくありました。

そのため、何度も聞き返したり、メモを取ったり、するなど、様々な代償方略を試してきました。

 

それでは、大人になってからワーキングメモリを鍛える方法はないのでしょうか?

 

そこで、今回は、大人のワーキングメモリを鍛えるための実践方法について、臨床発達心理士である著者のこれまでの経験で効果があったと感じるものを振り返っていきたいと思います。

 

 

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大人のワーキングメモリを鍛えるための実践方法

大きくは、1.読書、2.文章を書く、3.会話、の3つです。

 

 


それでは、次にそれぞれについて見ていきます。

 

1.読書

昔の著者は大の読書嫌いでした。

今思うと、自分自身にディスレクシ傾向(診断は受けていませんが)があったことが読書嫌いの最大の要因だったと思います。

しかし、20代前半に読まざるおえない危機的状況に陥ったことがその後の人生の転機となり、20代・30代と継続して読書を行ってきました(読書三昧な生活です)。

もちろん、昔は一冊読み終えても、ほとんど話の内容がわからいことが多いという状況の中、試行錯誤を重ね、読み方の〝コツ“のようなものをつかんでいきました。

読み方の〝コツ“は部分ではなく全体の感じを感覚としてつかむこと、心に響いた特定の文章に着目すること、自分が好きな同じ著者の本を多読すること、とにかく自分が興味関心の高い本を探して読んでいくこと、覚えることは目的としないこと(あえて忘れる)、などの読み方をしていきました。

こうした読み方をしていく中で、読みながら考えるという行為が多くなっていきました。

つまり、自分の興味関心を動機とした読書の継続から、徐々に自分の興味の領域の知識が増えていき、その知識を活用しながら思考する好循環が生まれたように思います。

これこそまさに、ワーキングメモリの練習になっていたのだと思います。

その結果、今では読書が楽しみになり、内容もだいぶスムーズに頭に入っているようになりました。

 

 

2.文章を書く

ディスレクシ(読み書き障害)の人たちは、読みに困難があれば当然書きにも困難が生じます。

もちろん、私も文章を書くことが苦手でした。

今も得意ではありませんが、書くこと自体は好きになりました。

文章を書こうとした動機は、〝書きたい“という単純な動機でした。

これは、文章を書く前に多くの読書を積み重ねてきた結果、インプット量が増えたことにより、その内容・情報をどこかにアウトプットしたいということが動機の源泉だったのかもしれません。

いざ、文章を書こうとすると、億劫になってしまうため、最初は簡単な日記から始めました。

始めは手書きで行いましが、数日で挫折しました。あまりにも、字が汚い(後で読み返すことができない)、文字変換に時間がかかり、書こうと思っていたことが抜けてしまうことがよくありました。

しかし、タイピングにしてからこうした困難な要因はなくなり、それを何年か継続していく中で、長い文章を書くことや、思考した内容を書くということが徐々にできるようになってきました。

これも、先の読書と同じで、ある程度のアウトプット量が増えてくると、文章の構成や言葉を選ぶ力が鍛錬され、その結果、思考しながら書くという行為が可能となるように思います。

考えながら書く、頭の中で書きたい情報を記憶にとどめ・操作するという意味で、これもまさにワーキングメモリのトレーニングだと思います。

 

 

3.会話

最後に会話です。

冒頭でも述べましたが、著者は固有名詞など単純な記憶力を要するものが苦手です。

そのため、日々の会話でも、相手の名前を筆頭に、話の内容が抜けてしまうことがよくあります。

先に見た、読み書きよりは苦手さはありませんが、単純な物の名称・人の名前などは覚えることが苦手です。

しかし、会話も経験を重ねていく中で、〝コツ“をつかめるようになってきました。

話の概要を理解できれば、細かい点などは最悪メモをすることで保管していくという方法です。

話の全体像を抑えるということに意識をフォーカスしたことで、そこから、話の細かい点についても思い出したり、細部同士の関連性についても理解・予測することができるようになってきました。

これには、自分の認知傾向が全体理解の方が有意であるという特徴があるからだと思います。

また、読書や文章を書くという行為同様に、会話も、回数を重ねていくと、音声による知識のネットワークが強化されること、そして、アウトプットを自然と行う量も増えていきます。

それにより、相手の話を聞きながら(一時的に記憶に保持し)、その情報を自分で思考(操作)し、相手に伝え返す、という一連の流れが強化されていった感じがあります。

こうした自分の認知傾向を踏まえ、話の全体像の理解から思考をしていくという行為もまたワーキングメモリのトレーニングに繋がっていると感じます。

 

 


以上、大人のワーキングメモリを鍛えるための実践方法について振り返るについて見てきました。

ワーキングメモリを鍛えるための方法は様々あるかと思います。

今回は、著者の経験をもとに、読書・文書を書く・会話の3点から見てきました。

振り返って見て新ためて感じることは、ワーキングメモリは鍛えることができるのだという実感です。

そして、重要なことは、自分に合った方法、学習動機を大切にした継続した取り組みだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もワーキングメモリへの理解を深めていきながら、今携わっている療育現場に還元できる視点を考えていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

関連記事:「ワーキングメモリの概要:活用されているモデル・学習や発達障害との関連性について

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