〝二次障害″への対応で重要となるのが〝アセスメント″及び〝環境調整″です。
そして、最後に〝本人への支援″が必要になってきます。
二次障害を抱えている子どもたちの多くは、誤った行動を学習しているケース、そして、そもそも困り感への対応についてどうすればよいか教えてもらった経験がないケースも多くあります。
それでは、二次障害に対する本人への支援にはどのような対応方法が重要だと考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、二次障害への対応について、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら、誤学習と未学習を通して理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「前田智行(2023)子どもの発達障害と二次障害の予防のコツがわかる本.ソシム.」です。
二次障害への対応:誤学習と未学習について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
①誤学習=困り事に対して誤った解決方法を覚えてしまっている
②未学習=困り事に対する対処方法を教えられていない
〝二次障害″を抱えている子どもたちは、困り事に対して、誤った行動を学習していたり(誤学習)、そもそも解決策を知らない(未学習)場合が多くあります。
そのため、〝二次障害″への〝本人への支援″として大切となる対応方法として、①誤学習に対して正しい解決方法を教えること、そして、②未学習に対して対処方法を教えること、の2点が重要だと考えられています。
誤学習と未学習への対応方法として、具体的な内容として以下のようなものがあります(以下、著書引用)。
ABA(応用行動分析)、SST(ソーシャル・スキル・トレーニング)、LST(ライフ・スキル・トレーニング)、CBT(認知行動療法)、ストレスコーピングスキル、アサーション、アンガーマネジメント、AAC(補助代替コミュニケーション)、ペアレントトレーニング
以上の内容以外にもありますが、著者が代表的だと思うものについて著書を参考に記載しました。
著者のコメント
著者はこれまで療育現場を通して発達障害など発達に躓きのある子どもたちを数多く見てきました。
その中には、〝二次障害″を抱えている、あるいはその可能性が疑われる事例も少なからずありました。
彼らに対して、難しいのは〝本人への支援″がなかなかうまく進捗しないということです。
冒頭でも記載の通り、〝二次障害″への支援で大切なことは、〝アセスメント″及び〝環境調整″です。
特に〝環境調整″は非常に重要だと著者も実感しており、その子に合った環境を整えることで、〝二次障害″からくるマイナスな行動は比較的落ち着くことがこれまでの経験上多くあったように思います。
その上で、〝本人への支援″といった、〝誤学習″や〝未学習″への支援を行った方がさらに効果が得られると感じています。
著者は先に見た誤学習と未学習への具体的な内容について、特に活用はしていませんが、以下の点を大切にしてます。
①イライラ感の増大及び感情が爆発した際には、クールダウンの取り方を教えていくこと(例:イライラの原因になっている場所から距離をとる、他の事へと注意を促すなど)。
②イライラが起こりそうな出来事を先読みして、事前に見通しを伝える。その上で考えられる解決方法を提案する、あるいは、一緒に考える。
③大人に相談することで事がうまくいったという経験を作ること。(例:困ったら相談するように事前に伝えておくなど)。
など、他にもありますが、よく使用する方法は上記のものが多いと思います。
長い目で見ると、子どもに合った環境を整えていくこと、そして、信頼できる大人との関係性を作っていくことで、上記の①~③の方法は有効に機能するように思います。
学習といった観点から、〝二次障害″のある子どもたちは、〝誤学習″と〝未学習″があるのだといった理解を持つことが、その後の支援の方向性を分けるほど大切になるのだと感じています。
以上、【二次障害への対応】誤学習と未学習を通して考えるについて見てきました。
〝二次障害″を抱えている子どもへの〝本人への支援″はとても難しくもありますが、必要不可欠なものです。
その一方で、〝二次障害″になる前に、〝予防″するという観点がまずはとても重要です。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も二次障害への予防に努めながら、二次障害へのアセスメント及び環境調整、そして、本人への支援についても理解を深めていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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