著者は放課後等デイサービスで長年療育をしています。
その中で、子どもたちの中には、相手を意識して一緒に遊ぶ様子が多く見られます。
もちろん、子どもたちの発達段階など状態像によっても関わり方に違いがあります。
それでは、療育現場において、集団遊びはどのように発展していくのでしょうか?
そこで、今回は、療育現場において、集団遊びの発展の仕方と、集団をつくる上で著者が大切にしている点をお伝えします。
集団遊びの発展の仕方について
興味関心から考える
時間をおって子どもたち同士の関わり方を見ていくと様々な発見があります。
最初は人への関心が薄かった子も、自分が興味のあることをしている子を見てから人への興味が湧いたり(その子の真似をしてみたり)、興味のあることで繋がるということもよくあります。
このように集団遊びの発展の発端として特に多いのが、興味関心から繋がるということです。
これは工作遊びでも運動遊び(ボール遊び、鬼ごっこ、戦いごっこなど)でも、興味のある話題(鉄道・車・ゲーム・学校の話など)から繋がるなど様々なところで見られます。
興味関心から少しずつ繋がることで、その興味を通して徐々に仲間集団ができてきます。
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縦横の年齢から考える
放課後等デイサービスには、異なる年齢層の子どもたちが同じ空間で活動しています。
そのこともあって、特に高学年の子がリーダー的な存在となることもよくあります。
下の学年は高学年の行動にとても興味があり、ある種の憧れを持って関わる様子もよく見られます。
一方、高学年の子の中には、年下の面倒をよく見てくれる人もいます。
自分ができること・知っていることを丁寧に教えようとするなど、とてもやさしい姿を見せてくれます。
このように、療育現場では、同年代集団との関わりだけではなく、縦横の異なる年齢の繋がり・関わりから、真似る、教えるなどの関わりも発展していくことがあります。
それでは、次に、こうした集団遊びが発展していく中で著者が集団をつくる上で大切にしていることをお伝えします。
集団をつくる上で大切なこと
事前の対策
事前の対策はとても大切です。
○○くんと、○○くんは同じような興味があるので、大人が仲立ちとなって繋げることはできないか?そして、そのためにはどのような環境の設定や物を準備する必要があるのか?などを考えることです。
また、子どもたちは関わり手、ある種の集団をまとめる大人のこともよく見ています。
まずは大人との関係づくりが基本ですが、大人には、子どもたちの興味関心をよく把握していくこと、そして、子どもたちの状態や感情などを理解していくこと、そして、子どもたちのモデルとなるような存在であると子どもたちの方から徐々によってきて集団が作りやすくなると感じます。
このように、様々な観点から事前に人・もの・空間などから集団をつくる対策を練ることを著者は大切にしています。
事後(過程)の対策
事前の対策はある程度の経験や子どもたちの状態を知ってる必要があります。
そのため、他のスタッフなども情報を持っていなければ、事後や活動を進める過程で対策を練る必要があります。
著者もその日の活動やその週、その月の活動などを振り返りながら、子どもたちが集団として活動していくための情報を感覚的に収集しています。
事前と事後(過程)の対策はどこかで区切れるものではなく、常に同時進行していくものだと思います。
以上、著者の経験をもとに、療育現場での集団遊びの発展の仕方と、集団をつくる上で大切にしていることについてお伝えしてきました。
もちろん、子どもたちの中には、一人遊びをとても好む子もおります。
そうした子には、個別で遊べるものや大人との関わりが大切かと思います。
集団遊びは発達に躓きのある子どもたちにとっては思いのほか難しいものだと思います。
しかし、集団での関わりを通して人が発達・成長していく面も多くあるため、私自身、子どもたち同士が集団での関わりから何に躓き、何を欲し、何を学んでいるのかなどを考えていきながら、より良い発達支援を目指していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。