発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

弱み 強み 発達障害

発達障害の強みと弱みについて考える

投稿日:2020年9月8日 更新日:

発達障害児・者の中には、特異的な才能を持った人たちがいます。

例えば、見たものを映像のように記憶することができる人(サヴァン症候群の特徴でもあります)、一つの作業に非常に高い集中力を発揮する人、新しいことに次々と挑戦する行動力のある人、など様々な才能が見られます。

こういった人たちの中には、過去の歴史を変える偉業を成し遂げた人たちもいると言われています。

こうした才能を発揮するには、周囲の理解や環境がとても大切になります。特に、同調圧力の強い国では(特に日本など)、突出した才能を伸ばすというよりも、均一化を重視する傾向があります。つまり、周囲に迷惑をかけない、周囲に合わせて行動できることが大切になります。

こうした環境では、せっかくの才能も開花されない可能性が高くなります。

均一化という教育や環境からの脱却こそが重要です。特異的な才能は周囲の環境が伸ばすという側面が非常に大切なのだと思います。

こうした特異的な才能がある人がいる一方で、多くの人はそうでない場合がほとんどかと思います(もちろん自分もそうです)。

発達障害児・者の支援の中で、よく聞く言葉に、「得意な所に目を向けましょう」「強みを活かした支援をしていきましょう」ということをよく聞きます。

私も大学の授業や書籍などでそのような文言をよく聞いたり、見たりしてきました。

しかし、実際の現場で当事者の方と接すると、得意な所を伸ばすという考えに難しさを感じるのが事実です(もちろん間違いではありません)。

彼らの多くは、得意な所以上に自分の「弱さ」と向き合う時間や機会がとても多くあります。そうした弱さが生活の中では困り感を生じさせ、自信の低下を招くことになります。

ですので、大切なのは、そうした「弱さ」に対しての理解と支援です。

正確には、「強み」と「弱み」それぞれへの理解と対応です。

私が療育現場で見てきた多くの人たちは、「弱さ」「苦手さ」を周囲が理解しないと物事が進まないことがほとんどだったと思います。

私が見ている当事者の大人の方は、昔から、自分の「弱さ」「苦手さ」への周囲の理解が足りなかったせいか、大人になるまで「自分はなぜ周囲のようにうまくできないのか?」「困っているのは苦手な所をどうやって理解し、それに対してどう対応するのかということ」と話していました。

この方は、少しずつ自分の「弱さ」への理解を認識していった結果、今では、自分なりの学習方法や周囲の環境への適応方法などを強化していくことができ、徐々にですが、自信もついてきました。さらに、こうした「弱み」と向き合うことで、自分の「強み」への気づきにも繋がっています。

発達障害のある人が得意的な才能があるのはある意味で正しいのですが、それは、周囲の理解や環境からの良い影響があって伸びることだと思います。また、そうした才能がある人が一部であるということへの理解も必要であり、「強み」だけではなく、生活の困り感などの「弱み」への理解も大切です。

重要なのは、当事者感です。つまり、当事者の困難さや苦しみに対して共感し、どのような理解と支援があれば前進していくことができるのかを共に考えることだと思います。

今回は、発達障害の人の「弱み」に比重をおいた内容になりました。それだけ、私が周囲で見ている当事者の方が、自分が「苦手」としていることに対して敏感であり、思考錯誤を繰り返しているからになります。

今後も当事者感をしっかりと持っていけるように、日々の現場の中で、当事者の方が、何が苦手で何が得意であるのかをしっかりと把握していきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

スポンサーリンク

-弱み, 強み, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【発達障害児の〝問題行動″の理解の仕方について】療育経験を通して考える

発達障害のある子どもの中には、癇癪やパニックなど〝問題行動″が見られることがあります。 定型発達の人とは異なり、問題行動の理由がわかりにくいことも特徴としてあるように思います。   それでは …

【発達障害児の〝パニック″直後の対応について】療育経験を通して考える

著者は療育現場で発達障害など発達に躓きのある子どもたちを支援しています。 その中で、対応が難しいものとして〝パニック″行動があります。 〝パニック″の背景は人それぞれ異なりますが、例えば、大泣きや癇癪 …

【発達障害児の問題行動を減らす方法】ファクターマネジメントから考える

療育現場で、発達障害など発達に躓きのある子どもたちと関わっていると〝問題行動″が起こる場面に遭遇することが少なからずあります。 例えば、他害行為や暴言、逃避などです。 こうした問題行動への直接的な対応 …

発達障害が見逃されやすいケースについて考える

発達障害とは、自閉症スペクトラム障害(ASD)や注意欠陥多動性障害(ADHD)や学習障害などを主なものとしています。 日本では、書籍やメディアなどを通して、専門家や当事者、そして当事者の家族による発達 …

【発達障害児の〝他害″行動時の対応について】暴力が出た時にどのように止めれば良いのか?

〝他害″行動とは、他者に対して暴力や暴言を行うことです。 著者の療育現場には、発達障害など発達に躓きのある子どもたちが通所してきていますが、その中にも〝他害″行動が見られるケースが少なからずあります。 …