【愛着とは何か?】発達段階・愛着スタイル・支援のポイントを総合解説

まとめ記事

「愛着」は、子どもが安心して成長していくための土台となる大切な心の働きです。愛着の形成は、人との関わり方や感情の安定、社会性の発達にも大きな影響を与えることが知られています。

著者は療育現場で未就学から学童期までの子どもと関わる機会がこれまで多くありましたが、中でも「愛着」に関する理解と支援は必須だと考えています。

 

本記事では、愛着とは何かという基本から、愛着の発達段階や愛着スタイル、障害のある子どもたちの愛着の特徴、そして支援のポイントまでを総合的に解説していきます。

愛着について理解を深めたい保護者や支援者の方は、ぜひ参考にしてみてください。

 

※本記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有し、発達障害に関連する大量の書籍を読んできた筆者が執筆しています。

 

愛着(アタッチメント)の理解と支援の全体マップ

本記事では、愛着(アタッチメント)の理解と支援に関して、以下の8つの章に分けて解説していきます。

1.愛着とは何か?

2.愛着の発達段階

3.愛着スタイル

4.様々な愛着関係

5.障害児の愛着の特徴

6.愛着に関する支援のポイント

7.まとめ

8.参考書籍紹介

 

 

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愛着とは何か?

この章では、愛着理論を踏まえて「愛着とは何か?」について、愛着の本質的な意味について見ていきます。また、愛着経験が与える発達への影響についても解説していきます。

 


愛着」とは「特定の養育者との情緒的な絆」のことを指します。

愛着理論(アタッチメント理論)は、イギリスの精神科医ジョン・ボウルビィ(Jhon,Bowlby)が提唱したものになります。

愛着(アタッチメント)の原義は、生物が他の個体にくっつく(アタッチメント)という意味があり、個体が生存するために、危機となる状況に対して、他の個体にくっつくことで、不安な情動を制御・調整・回復・維持することをアタッチメント(愛着)とBowlbyは考えました。

つまり、人の不安感が高まった際に、安心感を得ようとして他者に〝くっつくこと″ことが本来的な意味だと考えられています。

Bowlbyは、アタッチメント対象を少しずつ変化させながら、子どもだけではなく生涯にわたって影響するものだと考えました。

 


愛着が与える4つの心理学的特質の発達」については以下の4つがあります。

1.「自他に対する基本的信頼」:養育者を主とした幼少期からの愛着関係は、その後の基本的な対人様式(自他への信頼感:自己モデル・他者モデルと呼ばれる)を作る。

2.「自律性および自分の能力に対する根源的自信」:愛着対象の存在(安全基地となる存在)があることで、外の世界に向けて自律的に振る舞う力が育まれる、その中で、自己効力感も形成されていく。

3.「心の理解能力および共感性」:子ども自身の様々な心情に対して、応えてくれる存在があることで、他者の様々な心情の理解に繋がっていく。

4.「脳や身体生理的メカニズムへの影響」:愛着(アタッチメント)は、恐れや不安などネガティブな情動を回復する機能があり、脳や身体の発達にもかなり大きな影響力を有している。

 


著者の療育現場でも安定した「愛着」関係は非常に重要な意味を持つのものだと実感しています。

また、他者と「折り合いをつける力」など様々な発達(非認知能力の発達)にまで影響することが示唆されています。詳しくはこちらで紹介しています:関連記事:「【〝折り合い″をつける力の根底を支えているものとは?】発達障害児支援の現場から考える」。

以上の「愛着とは何か?」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「愛着(アタッチメント)とは何か【Bowlbyの愛着理論から考える】

関連記事:「【愛着(アタッチメント)の本質的な意味とは?】心理学的視点を通して考える

関連記事:「愛着(アタッチメント)の経験が与える4つの心理学的特質の発達について

 

 

愛着の発達段階

この章では、「ボウルビィの愛着の発達段階」「ライフステージごとの愛着の特徴」について見ていきます。

 

ボウルビィの愛着の発達段階

ボウルビィは愛着の発達段階を以下の4つにまとめています。

第1段階:人物の識別を伴わない定位と発信(出生~生後8~12週頃)」:特定の人物の認識ができず、定位(視・聴覚で人を捉える、手を伸ばす)と発信(泣く・微笑・発声)による愛着行動が見られる。

第2段階:一人または数人の特定対象に対する定位と発信(生後12週頃~6ヶ月頃)」:人物の認識が少しずつ可能となり、馴染みのある人への愛着行動が増える。

第3段階:発信および移動による特定対象への近接の維持(生後6ヶ月頃~2,3歳頃)」:特定の人物(親など)とそうでない人物の識別がより顕著になり、愛着行動にも移動を伴うなどレパートリーが出てくる。

第4段階:目標修正的な協調性形成(3歳前後~)」:相手の行動動機や感情などが少しずつ理解できるようになるため、相手の状態に応じて自分の愛着行動を修正するといった協調性に基づく関係性が出てくる。また、内的作業モデルの発達によりイメージによって重要な他者を思い浮かべることができる。


内的作業モデルの発達により、人は物理的な接近を要さなくても、心の中に安全基地を持つことが可能になっていきます。この視点は、母子分離の理解や、子どもが外の世界に飛び込んでいく基盤となることへの理解を深めていく上で重要なキーワードだと言えます。

以上の「ボウルビィの愛着の発達段階」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「ボウルビィの4つの愛着の段階について【大切な人との関係づくりには段階がある】

関連記事:「愛着で重要な内的作業モデルについて【心の中に大切な人がいることの重要性】

 

ライフステージごとの愛着の特徴

ここからは「ライフステージごとの愛着の特徴」について、「幼児期の愛着の特徴」「学童期の愛着の特徴」「青年期の愛着の特徴」について見ていきます。

 

幼児期の愛着の特徴

「幼児期」に愛着に躓きを抱えると、情動調整力の困難さや自己有能感の低さが見られると考えられています。

逆に、「幼児期」に安定した愛着関係が構築されることで、情動調整力、自己有能感の力が安定していくと言えます。

また、「幼児期」以前の人生早期の愛着関係は非常に重要であり、生涯発達の視点から愛着を見た際に、人生早期の関係性が最も重要であると考えられています。

以上の「幼児期の愛着の特徴」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【幼児期の愛着の特徴】愛着に躓きを抱える子どもを通して考える

関連記事:「【愛着で大切なこと】生涯発達から見た人生早期の愛着の重要性

 

学童期の愛着の特徴

「学童期」の愛着の特徴として重要なものとして、自己有能感と仲間関係における有能さがあります。

「学童期」になると、親から離れる時間が増え、その中で仲間関係との関わりが増えていくため、仲間関係がうまく形成されることが大切であり、その中で、自己の有能感をしっかりと持てることが大切だと言えます。

これは、「学童期」までの愛着関係が大きく影響していると考えられています。

以上の「学童期の愛着の特徴」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【学童期の愛着の特徴①】〝自己有能感″について発達的視点を通して考える

関連記事:「【学童期の愛着の特徴②】〝仲間関係″について発達的視点を通して考える

 

青年期の愛着の特徴

「青年期」の愛着の特徴としてキーとなるものとして、学業不振・問題行動・親密さや信頼などがあると考えられています。

つまり、「青年期」までに、安定した愛着関係が形成されていることは、学業に対してポジティブに働き、問題行動を起こす割合が減少し、他者と親密な関係性を築くことに繋がっていくと言えます。


これまで見てきたように、安定した愛着関係は様々なライフステージにおける発達課題を乗り越える力や環境への適応力に大きく影響していきます。

また、愛着関係は人生早期の発達が非常に重要であり、その後も、人生後期に至るまで、それまで育まれた対人様式が関係していくと言えます。

以上の「青年期の愛着の特徴」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【青年期の愛着の特徴】〝学業不振″〝問題行動″〝親密さや信頼″を通して考える

 

 

愛着スタイル

この章では、「愛着スタイル」の特徴について4つのタイプから解説していきます。

子どもは養育者との情緒的な交流を通して、徐々に「愛着スタイル」といった「人が他者と関わる際の対人様式(方略)」が形成していきます。

そして、「愛着スタイル」には、「安定型(Bタイプ)」「回避型(Aタイプ)」「不安型(Cタイプ)」「無秩序・無方向型(Dタイプ)」の4つがあると考えられています。

「愛着スタイル」のアセスメント方法として、大人では質問紙調査(ECR)や面接法(AAI)、子どもでは「ストレンジ・シチュエーション法(SSP)」などが有名です。以下、4つのタイプについて見ていきます。

 

安定型(Bタイプ)

安定型(Bタイプ)の子どもは、不快な感情が発生した際に、大人はその状態を迎い入れ安心させてくれる存在といった対人方略(適切に愛着行動を実行できる方略)を持っています。

また、自身の愛情行動(欲求)を適切に使用できるといったルールも持っています。

つまり、他者は自分を助けてくれる存在だという他者への確信(他者モデル)、自分が困ったら他者から助けを得ることができるという自己への確信(自己モデル)がしっかりと育まれているタイプだと言えます。

 

回避型(Aタイプ)

回避型(Aタイプ)の子どもは、愛着行動(欲求)を最小化するといった方略を持っています。つまり、自分の困り感に対して、重要な他者はすぐに助けてくれる存在ではないといった他者へのイメージ(他者モデル)を持っているため、愛着行動を回避する傾向があります。

このタイプの人は、大人になっても、他者と距離を置いた対人関係を好みます。そのため、自立自存の状態を好み、他者との衝突を避け、自己開示や自己表現にも苦手さがあります。

背景は異なりますが、ASDと似ている特徴を有していると考えられています。

 

不安型(Cタイプ)

不安型(Cタイプ)の子どもは、愛着行動(欲求)を常に最大化して表現するといった方略を持っています。つまり、自分の困り感に対して、重要な他者は助けてくれる時もあればそうでない時もあるなどアンビバレントな心理状態を抱えているためです。

このタイプの人は、大人になっても、相手の顔色や反応を強く気にすることがあるなど、他者からどう思われているかに強く意識が向きやすい特徴があります。また、自己肯定感が低く、他者に依存する傾向もあります。

 

無秩序・無方向型(Dタイプ)

恐れ・不安型」とも呼ばれています。無秩序・無方向型(Dタイプ)の子どもは、愛着対象への一貫性のない(ルール・方略のない)行動を見せるといった特徴があります。

その他の愛着スタイル(A・B・Cタイプ)と比較すると「組織化された対人方略がない=未組織化」と考えられています。

このタイプは大人になると、対人関係はより錯綜し、不安定な状態になりやすいのが特徴としてあると考えられています。

また、このタイプの人は、これまで虐待を受けたケースや親が精神疾患を抱えているケースもあるなど、支援の可能性が高いことが多いと言えます。

 


ここまで見てきたように「愛着スタイル」が持つ意味は、これまでの愛着関係は生涯に渡り影響するということです。

また、安定型以外の愛着スタイル(回避型・不安型)であっても、環境にうまく適応できないというわけではなく、その子なりの方略を使用している中で、ある程度、環境に適応できていれば良いといったことが示唆されています。詳しくはこちらで紹介しています:関連記事:「【愛着スタイルの意味について】不安定な愛着スタイルを通して考える」。

以上の「愛着スタイル」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【愛着スタイルの特徴について】愛着スタイル(A・B・Cタイプ)を通して考える

関連記事:「【愛着スタイルの特徴について】愛着スタイル(Dタイプ)を通して考える

関連記事:「愛着スタイルとは?4つの愛着スタイルの特徴について考える

 

 

様々な愛着関係

この章では、「アタッチメントネットワーク」「母親との愛着関係」「父親との愛着関係」「保育者・先生との愛着関係」について見ていきます。

子どもは母・父を中心に愛着関係を育みながらも、他に様々な重要な他者と関わる機会があります。「アタッチメントネットワーク」は様々な対人関係の中で人は育つということを理解する一つのキーワードだと言えます。

 

アタッチメントネットワーク

アタッチメントネットワーク」とは、様々な大人との愛着関係の中で安心感を持つことで、その後の人生をより意欲的により幸せに生きていく基盤となる概念です。

「愛着(アタッチメント)」は、一人の重要な他者との関わりを基点として育まれるものです。一方で、「アタッチメントネットワーク」は、様々な愛着関係を抱くことのできる複数の他者との関わり・ネットワークが意味を持つという視点になります。


それでは、様々な愛着関係にはどのようなモデルがあると想定されているのでしょうか?

以下、3つのモデルを紹介していきます。

階層的組織化モデル」:母子関係などの主たる養育者が愛着関係の基盤を形成しているといった考え方であり、主たる養育者との関係が安定していれば、その後の対人関係における鋳型(内的作業モデル)も安心したものへと発展していくと考えられています。

総合的組織化モデル」:両親、祖父母、親戚、先生など様々な対人関係(上位関係、下位関係など優劣はない)における経験を通して、一つの対人様式(内的作業モデル)を形成していくといった考え方になります。

独立並行的組織化モデル」:他者との関係性(両親、祖父母、親戚、先生など)は、それぞれ独立した対人様式(内的作業モデル)として形成されていくといった考え方になります。


著者は放課後等デイサービスで療育をしていますが、家庭や学校以外で関わる大人との関係性を持つ意味は非常に大切なものだと実感しています。地域の中で子どもたちを支える・育てるといった理解もまた、アタッチメントネットワークの視点を深める上で大切なものだと考えます。

以上の「アタッチメントネットワーク」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【アタッチメントネットワークとは何か?】療育経験を通して考える

関連記事:「【愛着の発達に関するモデル】階層的組織化モデル・総合的組織化モデル・独立並行的組織化モデル

 

母親との愛着関係

愛着関係で中心的や役割になるのは母親であることが多いと言えます。

一方で、母親との愛着が不安定になる要因として、両親の不和や離婚・過度な支配やコントロールがあると考えられています。

愛着関係で中心的な役割となることの多い母親ですが、環境の変化や養育スタイルなどによって、不安定な愛着関係に繋がる場合も示唆されています。

以上の「母親との愛着関係」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【母親との愛着が不安定になる要因】〝両親の不和や離婚″〝過度な支配やコントロール″を通して考える

 

父親との愛着関係

父親との安定した愛着関係は、子どもの発達に対して肯定的な影響を及ぼすと考えられています。

例えば、自己肯定感、仲間との繋がり、行動・情緒の制御、後の社会適応など様々な面でポジティブな影響があるとされています。

一方で、父親が不在の場合には、様々なネガティブな影響が出る場合があると言われています。詳しくはこちらで紹介しています:関連記事:「【父親との愛着について】父親不在が与える7つの影響を通して考える」。

以上の「父親との愛着関係」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【父親との愛着関係の特徴について】療育経験を通して考える

 

保育者・先生との愛着関係

保育者」例えば、幼稚園や保育園の先生との愛着関係は、親などの特定の養育者との愛着関係とは別に、子ども自らの経験で作っていくと考えられています。

そして、幼稚園における園児の振る舞いは、親子関係によるものではなく、幼稚園にいる保育者との関係がより強く影響していると考えられています。

先生」例えば、学校の担任の先生との愛着関係は、学業への意欲的な取り組みや、挑戦意欲などに繋がり、先生をモデルとした価値観の獲得や向社会的行動(社会的振る舞い)などにポジティブな影響を及ぼすと考えられています。

つまり、家庭以外における重要な愛着対象となる保育者・先生との関係性もまた重要な意味を持っていると言えます。

以上の「保育者・先生との愛着関係」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「保育者との愛着関係について【親子との違いはあるのか?】

関連記事:「先生との愛着関係について【先生との愛着の重要性と親との違いについて考える】

関連記事:「【先生との愛着関係の大切さについて】療育経験を通して考える

 

 

障害児の愛着の特徴

この章では、「障害児との愛着形成」「自閉症児との愛着形成」「自閉症児の愛着の発達」について見ていきます。

 

障害児との愛着形成

障害の種別にかかわらず、愛着形成は可能なことが明らかになっています。

視覚・聴覚などある特定の感覚が遮断されたケースにおいて、他の感覚によって遮断された感覚を補償することで愛着を形成することは可能となっています。

知的障害の子どもの愛着形成は、定型児よりも遅れる場合があるが、愛着形成の質は定型児と同じように進むと考えられています。

以上の「障害児との愛着形成」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「障害児との愛着形成について【定型児との違いはあるのか?】

 

自閉症児との愛着形成

自閉症児との愛着形成は可能だと考えられています。

その中で、定型児や他の障害児と比べて遅れて愛着形成が行われるといったこと、また、安定した愛着を形成するためには認知能力(言語能力など)が影響していると考えられています。

自閉症児は、社会性に質的な困難さを抱えているため、独自の(定型児とは異なる)愛着形成のプロセスと辿っていることが示唆されています。

以上の「自閉症児との愛着形成」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「自閉症児との愛着形成は可能か【定型児との違いはあるのか?】

 

自閉症児の愛着の発達

白石雅一さんは、「愛着4段階説」として、混沌段階(愛着行動が見られない)→道具段階(道具的安全基地の出現)→快適段階(特定の大人に注意・関心が向く)→依存段階(愛着行動が見られる)の4段階を提唱しています。

つまり、定型児とは異なるプロセスを経て愛着が発達していくこと、そのため、愛着形成の「わかりにくさ」から、親の不安や高まることが示唆されています。

以上の「自閉症児の愛着の発達」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【自閉症児の愛着の発達について】〝愛着4段階説″を通して考える

 

 

愛着に関する支援のポイント

この章では、「愛着に関する支援のポイント」として、「メンタライジング」「安心感の輪」「個別的敏感性と集団的敏感性」をキーワードに見ていきます。

以上のキーワードは、著者の療育経験を踏まえて見ても重要かつ活用頻度が多いものだと考えています。

 

メンタライジング

メンタライジング」とは、「心を使って心を考える、心を思う、心を扱う」ことだと考えられています。

つまり、、人の行動の背景にある心の存在に目を向けていくことであり、子どもとの愛着関係において非常に重要なキーワードだと言えます。

同じ意味合いで「洞察性」といった用語があります。こちらも、子どもの行動そのものではなく、子どもの心に対する養育者の捉え方に着目しているものとなっています。同じく、安定した愛着関係において重要だと考えられています。

著者は療育実践の中で、様々な子どもの行動の背景にまで目を向けることを大切にしています。

それは、行動レベルでみると似ている現象でも、心のレベルにまで落とし込むと子どもたちそれぞれに違った思いがあり、その思いを想像していくこと、その思いに対して子どもが安心したり、納得のいく応答をしていくことが、子どもと良い愛着関係を築く上で大切だと感じます。

子ども側から見て「この人は自分のことを分かってくれる人、分かろうとしてくれている人」といった認識をもってもらうことが大切だと思います。

さらに、その中で大切なことは、子どもの思いを言い当ててお終いにするのではなく、その気持ちに対してどのような応え方をしていくかが重要になります。つまり、想像力をもって応えていくという姿勢を持つことだと言えます。

愛着関係で大切なことは、あくまでも子どもから見て○○の大人が信頼に値する人だという絆を作っていくことにあります。そのためにも、「メンタライジング」を意識した関わりは大切だと実感しています。

以上の「メンタライジング」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【愛着で大切な〝メンタライジング″とは?】安定したアタッチメントを築くために大切な視点

関連記事:「【愛着で大切な〝洞察性″について】療育経験を通して考える

関連記事:「【愛着(アタッチメント)で大切なこと】子どもの気持ちを想像することの大切さ

 

安心感の輪

安心感の輪」とは、子どもが親を「安全な避難所」として心のエネルギーを充電し、そこを「安心の基地」として外の世界へ元気に探検に出かけるという、心の動きと行動のサイクルを指した愛着理論に基づく子育ての概念になります。

子どもは、「安全基地・安心基地」を基点に、「探索基地」を発展させていきます。この「安全基地・安心基地」、さらには「探索基地」となる存在が愛着対象になります。

著者の療育実践を踏まえて見ても、「安心感の輪」は重要であり、その理由として、療育現場で著者と子どもとの関係性が深まることで、子どもたちの心のエネルギーが充電され、新しいこと(他者との関わり、遊びといった活動など)に挑戦することに繋がる様子をこれまでよく見てきたからです。

また、不安になった時、何かうまくいかないことがあった時、イライラした時なども「安全基地(信頼できる大人)」に戻ることで、少しずつ心のエネルギーが充電されていく様子もまた見られることが多くあります。

つまり、「安心感の輪」は、親子以外の場面にも応用がきく重要な概念だと実感することができます。

このように、「安心感の輪」について理解を深めていくことで、日々の子どもが安心して楽しく過ごすために、保育者・先生が持つ愛着の役割もまたとても重要なものだと実感することができます。

以上の「安心感の輪」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【愛着で重要な〝安心感″について】〝安心感の輪″を通して考える

関連記事:「愛着形成には何が必要か?:3つの基地機能から考える

 

個別的敏感性と集団的敏感性

保育者・先生は、時に個別の対応を求められながらも、多くの場合は集団を見ることが多くあります。

著者の療育現場でも、時には個別の対応もありますが、一方で、集団を一斉に見ることもあります。ここで重要となるのが、「個別的敏感性」と「集団的敏感性」です。

個別的敏感性」とは、集団規模が小さい場合において、先生が子どもに個別で関わる際の敏感性のことを指しています。

集団的敏感性」とは、集団規模が大きい場合において、先生が子どもたち集団に見せる敏感性(声掛けや眼差しなどの関わり方)のことを指しています。

大切なことは、子どもたちは何も個別の対応(〝個別的敏感性″)からのみ安心感を得ているわけではなく、大人が集団に向ける眼差しや声がけなどから子どもたちは安心感を得ているといった理解です。

著者の療育実践を通して感じることは、子どもたちは、大人が集団に対してどのような声掛けをしているか、どのような眼差しを子どもたち全体に向けているかということをよく見ているということです。

つまり、様々な子どもの気持ちを想像し、高い敏感性を持って大人が関わる姿勢は、子どもたち全体(その場の集団)にとっても非常に良い影響を及ぼしているのだと感じます。

さらには、温かい眼差しや声掛けを多く行っている支援者集団に子どもたちがいることで、良いコミュニティが形成されていくことも実感としてあります。

以上を踏まえると、子どもたちは一対一での大人との愛着関係だけではなく、集団・コミュニティ内における大人たちの振る舞いからも安心感を得ているのだと考えます。

以上の「個別的敏感性と集団的敏感性」の内容は、こちらの記事を参照しています。

関連記事:「【先生と子どもの愛着関係の特徴について】〝個別的敏感性″と〝集団的敏感性″を通して考える

 

 

まとめ

「愛着」とは「特定の養育者との情緒的な絆」のことを指します。愛着理論(アタッチメント理論)の提唱者ジョン・ボウルビィ(Jhon,Bowlby)は、愛着は生涯にわたって影響するものだと考えました。

愛着の発達段階は、初めは物理的接近によるものから、徐々に内面化されることで心理的な安全基地を持つようになっていきます。

ライフステージによる愛着の特徴はありますが、中でも、発達初期の愛着は非常に重要であり、愛着は過去から積み上げられることで、その後のライフステージに影響を及ぼすものだと考えられています。

「愛着スタイル」には、「安定型(Bタイプ)」「回避型(Aタイプ)」「不安型(Cタイプ)」「無秩序・無方向型(Dタイプ)」の4つがあると考えられており、回避型・不安型においては、その子どもなりの対人方略を活用することで環境にうまく適応できていれば必ずしも問題にはならないと言われています。

愛着は特定の一人の他者との関係性の中で育つといった捉え方もあれば、「アタッチメントネットワーク」に見られる周囲の様々な関係性の中で育っていくといった理解も進んできています。

障害児との愛着形成は可能なことが明らかになっていますが、様々な障害の種類によって、愛着形成の遅れや質的な違いが生じることが示唆されています。

愛着に関する支援のポイントとして、「メンタライジング」「安心感の輪」「個別的敏感性と集団的敏感性」といったキーワードを踏まえて療育実践にあたることが大切です。

 

 

参考書籍紹介

今回の記事内容をさらに深める上でお勧めする書籍紹介記事を以下に載せます。

愛着を含め発達障害領域を網羅的に学びたいと考えている人には次の書籍紹介記事がお勧めです:関連記事:「臨床発達心理士が厳選:発達障害を理解するための体系的読書ガイド【完全版】」。

愛着の理解に関するお勧め書籍紹介はこちらで紹介しています:「【臨床発達心理士が厳選】愛着(アタッチメント)に関するおすすめ本:初級~中級者向け」。

愛着障害の理解に関するお勧め書籍紹介はこちらで紹介しています:関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】愛着障害に関するおすすめ本:初級~中級者向け」。

 

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