子どもにとって「遊び」は、単なる暇つぶしではありません。遊びを通して子どもたちは、身体を動かし、人と関わり、想像し、考え、感情を調整しながら、様々な力を育んでいきます。
そのため、「遊び」が持つ意味を理解することは、子どもの発達や支援を理解することにも繋がっていきます。
著者は長年、療育現場に携わっていますが、「遊び」によって子どもが様々な力を獲得していく様子を目にしています。
本記事では、「遊びとは何か?」という基本から、遊びの意味や発達段階、遊びによって育まれる力、遊びを支援するポイント、そして療育現場での実践までを総合的に解説します。
※本記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有し、発達障害に関連する大量の書籍を読んできた筆者が執筆しています。
子どもの遊びの理解と支援の全体マップ
本記事では、子どもの遊びの理解と支援に関して、以下の9つの章に分けて解説していきます。
1.遊びとは何か?
2.遊びの発達段階
3.自由遊び・集団遊び
4.遊びによって育まれる力
5.外遊びとゲーム
6.遊びを支援するポイント
7.療育における遊びの実際
8.まとめ
9.参考書籍紹介
遊びとは何か?
この章では、「遊びとは何か?」「遊びの種類」を通して、遊びの本質的意味について見ていきます。
遊びとは何か?
「遊び」とは、主に心を満足させることや楽しむことを目的とした自発的な活動です。
〝○○の活動が遊びである″といった遊びが持つポイント(条件)について見ると、以下の①~③があると考えられています。
「①快の感情を伴う活動であること」「②自由に活動への参加を決められること」「③必要な日常活動から離れたゆとりある活動であること」の3つのです。
また、遊びを成り立たせる特徴として、次の①~⑤があると考えられています。
「①遊びは自己選択的で、自主的」「②遊びは結果よりも過程が大事」「③遊びの規則は、参加者のアイディアに導かれる」「④遊びは想像的」「⑤遊びは、能動的で、注意を怠らず、しかもストレスのない状態で行われる」の5つです。
要点をまとめると、「遊び」の本質的な意味としては、自発的・自主的活動、快の感情を伴うもの、ストレスのないゆとりのある活動だと言えます。
著者の療育現場では、「遊び」がメインであるため、時々、遊びの原点に立ち戻ることで、今の取り組みが子どもに合っているのか?「遊び」として成立しているのか?を見つめるきっかけになると感じています。
以上の「遊びとは何か?」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【子どもの遊びはなぜ大切?】“楽しい・自由・ゆとり”から考える遊びの意味」
関連記事:「【遊びとは何か?】遊びを成り立たせる5つの特徴をわかりやすく解説」
遊びの種類
発達心理学者で有名なピアジェ(Piaget)は、遊びを次の4つの種類に分類しています。
「1.機能的遊び(functional play)」:単純でくり返し身体を動かす遊びであり、ものを使うときも使わないときもある
「2.構成的遊び(constructive play)」:何かをつくったり想像したりすることを目的としてものを操作する遊び
「3.ごっこ遊び(dramatic play)」:個人的な欲求やニーズを満たすために想像上の状況に置き換える遊び
「4.ルール遊び(games with rules)」:事前に取り決められたルールを受け入れ、それによって行動を調整する遊び
また、ピーター・グレイ(著)の中で取り上げている内容として、次の6つの種類に遊びを分類しています。
「1.肉体的な遊び」:走る・跳ね・追いかける・逃げるなどの遊び
「2.言葉遊び」:しりとり・なぞなぞなどに見られる言葉による遊び
「3.探索的な遊び」:自然の観察、虫取りなどの遊び
「4.建設的な遊び」:様々な材料を活用するなど頭の中にある何かを作り出そうとする遊び
「5.空想的な遊び」:お店屋さんごっこ・病院ごっこ・警察ごっこなどに見られるごっこ遊び
「6.社会的な遊び」:他者と目的を共有して協力して行う遊び
以上見てきたように、遊びには様々な種類があり、見る視点によって分類の仕方に違いがあると感じます。
著者は自分が大人になり忘れてしまった幼少期の「遊び」について、様々な「遊び」の種類があり、それぞれに意味があるということを再認識することが、療育実践に生きてくると考えます。
以上の「遊びの種類」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【〝遊び″の〝内容″について】Piagetを例に考える」
関連記事:「【子どもの遊びはどう分類される?】6つの遊びのタイプをわかりやすく解説」
遊びの発達段階
この章では、「遊びの発達段階」について、Parten理論をもとに見ていきます。
Parten理論では、遊びを次の6つの水準に分類しています。
「水準Ⅰ:何もしていない行動」:子どもたちがどの遊びにも参加していなく、また興味も示していない状態
「水準Ⅱ:ひとり遊び」:周囲の子どもに対して無関心であり、他者との関わりが見られない状態
「水準Ⅲ:傍観的行動」:ひとり遊びとは異なり、子どもは仲間の遊びにも関心をもっている状態
「水準Ⅳ:並行遊び」:近くにいる子ども同士が同じような遊びを行っており、一見すると集団で遊んでいるように見える状態
「水準Ⅴ:連合遊び」:子どもどうしが直接的なやりとりを行なう集団遊びとしての形態をもつが、そこで交わされる会話は断片的であり、目標に向かって協力するような姿はみられない状態
「水準Ⅵ:協同的に組織化された遊び」:いわゆる協同遊びとよばれる形態であり、子どもたちはお互いに遊びのテーマやルールを共有し、時にはそれを調整しながら遊びを展開する状態
これまで見てきた「Parten理論」は後の批判から次の2つの仮説が生まれました。
「ひとり遊びオプション説」:ひとり遊びは発達初期に見られるものでしたが、ひとり遊びはその後の遊びの発達段階の中でも見られるなど、その行動は未熟さから生じたものではなく、適応的な行動だといった考え方がプラスされたという説
「遊びの状況要因説」:遊びの環境・状況によって遊びの内容・形態にも変化が出てくるといった結果から、遊びには環境・状況の影響を強く受けるという説
Parten理論によれば、遊びには6つの発達段階がありますが、その後の研究により、ひとり遊びは発達段階が進んでも見られるということ、遊びは環境や状況の影響を強く受けることで遊びの内容にも変化が生じることが示唆されています。
著者の療育実践を通しても、ひとり遊びは様々な年齢で見られること、また、遊びの内容は、体を使って過ごす環境ならそれにあった遊び、静かに過ごす環境ならそれにあった遊びなど環境の影響を強く受けることも実感しています。
以上の「遊びの発達段階」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【〝遊び″の〝発達段階″について】Parten理論から考える」
関連記事:「【〝遊び″の〝発達段階″について】Parten理論への批判から考える」
自由遊び・集団遊び
この章では、「自由遊び」「集団遊び」について見ていきます。
「自由遊び」と「集団遊び」は、互いに重なり合う部分も多くありますが、両者を分けて見ることで、「自由遊び」と「集団遊び」それぞれの支援のポイントがよりクリアに見えてくるメリットがあると考えます。
自由遊び
「自由遊び」とは、子どもが自分は無力ではない力のある存在であることを認識できるものだと考えられています。
「自由遊び」は、自己コントロール力、自己決定力や問題解決力、ルールを作る・守る力、他者との平等な関わり方を築く力など、様々な能力を獲得することを学ぶものだと考えられています。
子どもが「自由遊び」を満たす上で大切な視点として、子どもの「興味関心」を見つけるということ、そして、「喜び」といった快の感情が伴うことが重要だとされています。
著者の療育実践を通して見ると、「自由遊び」は特に自閉症児にとってハードルが高いことがあります。だからこそ、自閉症児が持つ興味関心(興味関心の領域が非常に狭く・マニアックな場合があります)をより深く理解していきながら、興味関心に寄り添う関わり(そこに喜びが生じる可能性が高くあります)が必要だと感じます。
以上の「自由遊び」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【自由遊びとは何か?育まれる力とは何か?】療育経験を通して考える」
関連記事:「【自由遊びで大切な視点について】子どもの好きを見つけることの重要性から考える」
集団遊び
「集団遊び」は、他者評価、協調性、自己発見、達成感、他者と共にある喜び、安心感、信頼関係、自己調整力、感情調整力など様々な力の獲得に繋がっていくと考えられています。
「集団遊び」例えば、ルール遊びやごっこ遊びは、子どもだけで成立するものと大人の関わりが必要な2つの水準があるとされています。
「集団遊び」では、自分とは異なる様々な他者と関わる機会が持てるため、「多様性」を経験する上で大切な遊びだと言えます。
「集団遊び」を形成ていく上で重要となるのが、「集団的情動(遊びのノリ)」が必要となり、これは様々な子どもたちが遊びに向ける気持ちが重なり合った状態のことを指します。
著者の療育現場では、ごっこ遊びやルール遊びなど、様々な集団遊びが展開されており、子どもたちが、中長期的に上記に見た様々な力を獲得していくのを目にすることができます。
その中で、楽しい気持ちが重なり合う経験を豊富に持てるように遊びをリードしていくことが大切だと感じます。また、自分とは異なる他者との違いを関わりの中でサポートをする視点もまた大切だと言えます。
以上の「集団遊び」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【自閉症児の集団遊びで身に付く力とは?】療育経験を通して考える」
関連記事:「【〝集団遊び″で大切な大人の関わり方】療育現場における〝ごっこ遊び″と〝ルール遊び″に必要な大人の関わりとは何か?」
関連記事:「【〝集団遊び″の大切さについて】〝多様性″と〝安心感″から考える」
関連記事:「【集団遊びで大切なこと】“遊びの流れ”から考える発達支援のポイント」
遊びによって育まれる力
この章では、「遊びによって育まれる力」として「自己コントロール力」「学び・問題解決・創造性」「共感力」をキーワードに見ていきます。
先で紹介した、「自由遊び」「集団遊び」を通して、子どもは様々な力を獲得していきます。
自己コントロール力
遊びの効果はストレスのある状況下で、自分の不安や怒りをうまくコントロールしながら環境に適応することと関連があることが分かってきています。
また、遊びに含まれる危険な行為(例えば、木登りやジャングルジムなど)を通して、自分のことをコントロールする力(危険信号の感知力)を学んでいくと考えられています。
そして、遊びを最大限に提供している社会とそうでない社会との間には、自制心(「自己コントロール力」)をもった人間といった観点から差異が見られると言われています。
つまり、様々な遊びは子どもの自己コントロール力に寄与し、様々な遊びを許容・提供している社会の方が子どもの自己コントロール力が高まると言えます。
著者の療育経験から見ても、様々な遊びを通して子どもたちは、中長期的に見ると自己コントロール力が高まる様子がよく見られます。ここでのポイントは、遊びは自らやりたい!といった内発性が支えになっているため、周囲が強制したものではないことから、仮に遊びの中でうまくいかないこと・失敗したこと・外の環境に対する危険などを自らの内に取り込み、次に進もうとする意欲が生じる中で「自己コントロール力」が身に付くのだと考えます。
以上の「自己コントロール力」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【遊びと自制心の関係とは?】“遊び”を通して育つ自己コントロールの力を考える」
関連記事:「【子どもが危ない遊びをする意味とは何か?】自己コントロール力をキーワードに考える」
学び・問題解決・創造性
遊び心を促進することで、子どもの「学び」「問題解決」「創造性」が高まり、遊び心を妨げることで逆の効果が生じるといった研究結果が出ています。
また、これまでの研究により、子どもが課題を解く際に、前向きな気分、つまり、遊び心を持っている時の方が問題解決力が高まることも分かっています。
さらには、大人から見ると同じ遊びの繰り返しに見えるものでも、子どもにとっての反復性こそ遊びの基礎であり、そして、創造的な行為であると考えられています。
つまり、遊び心は問題解決力を高め、創造的になることができ、学びを進める上で非常に重要なものだと言えます。
著者は子どもたちと遊ぶ際に、遊び心を持って取り組んだ時の方が、遊びが思うようにうまく進みはじめたり、遊びの中で新しい発見が多くあったと感じることがよくあります。逆に、自由で想像的なマインドから外れている状態では、遊びがうまく進まないことが多くあると感じます。
以上の「学び・問題解決・創造性」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【遊び心の大切さとは?】“学び”と“創造性”を支える力を考える」
関連記事:「【遊び心の大切さとは?】‟問題解決力”を支える力を考える」
関連記事:「【子供が遊びを繰り返すことの意味について】療育経験を通して考える」
共感力
子どもたちの自由な遊びの低下は、不安、落ち込み、無力感の継続的な上昇をもたらしており、これらの結果と同時に、自己中心主義の増大と「共感力」の低下も明らかになっています。
つまり、自由な遊びの減少は子どもの発達全般においてネガティブな影響を与え、中でも、「共感力」の低下とも関連していることが分かっています。
著者の療育現場では、様々な自由遊びが展開されています。遊びを通して子どもたちは楽しい体験だけではなく、他者とうまく関わることが難しい場面も少なからず経験することになります。
一方で、うまくいく経験といかない経験があるからこそ、自分と他者の違いを理解する経験に繋がり、こうした経験値が「共感力」の向上にも寄与するのだと感じます。
ここでのポイントは、他者と関わる根底には他者と繋がる喜びを豊富に経験する基盤を持つことだと考えます。この基盤があるからこそ、様々な他者の心情を感じたり考える力、つまり、「共感力」が育まれていくのだと思います。
以上の「共感力」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【遊びは“共感”を育てるのか?】他者理解との関係を療育経験から考える」
外遊びとゲーム
最近の子どもたちは「外遊び」をしなくなったと感じる方も多くいるのではないでしょうか?
子どもは「外遊び」を通して、自然と触れ合い、自ら好奇心を持って外の世界を探求し、体を使って他者と様々な遊びをするなど、様々な力の獲得に「外遊び」は寄与していると言えます。
ここで気になる点が「ゲーム」の影響です。「ゲーム」の使用頻度や魅力的なゲームの増加などが影響して「外遊び」が減っていることはあるのでしょうか?
この章では、「外遊びとゲーム」の関連性について見ていきます。
まずは、ゲームをする子どもとしない子どもの間には、外遊びの時間に顕著な差がないということがわかっています。つまり、ゲームをする子どもも外遊びを行うということであるため、ゲームの有無そのものが直接的に外遊びの減少に繋がっていない可能性があると言えます。
子どもの外遊びの減少の理由には、「親の不安の増大(例:道路での事故、犯罪に巻き込まれる危機感など)」「他の社会的な変化(例:地域性の衰退)」があると考えられています。
ゲーム使用時間が増えた理由として、ゲームそのものが面白さを増していることや、バーチャルな世界を通して子どもたちは自由なスペースを獲得しているといったことが考えられています。
もちろん、ゲームのやりすぎは心身にネガティブな影響を与える可能性がある一方で、ゲームを操作する力などコンピュータースキルの向上が必要となってきていることから、ゲームの肯定的側面が注目されるようにもなってきています。
著者が療育現場で見ている子どもたちもまた、ゲーム好きな子どもが多くいます。一方で、外遊びは昔と変わらず欲している子どもが非常に多くいるため、安全性に配慮して取り組むことを大切にしています。
以上の「外遊びとゲーム」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【外遊びとゲームの関係】子どもの遊びの“バランス”を療育経験から考える」
関連記事:「【外遊びはなぜ減ったのか?】親の不安・社会の変化・ゲームとの関係を考える」
関連記事:「【外遊びとゲームの関係】どちらも大切にする“共存的視点”を考える」
遊びを支援するポイント
この章では、「遊びを支援するポイント」について、「遊び心」「認知発達の把握」「興味関心の把握」をキーワードに著者の経験も交えながら見ていきます。
遊び心
遊びは決して他者から強制されたものではなく、自らの内発性(○○をしりたい!○○をやってみたい!)に基づく自発的な行動です。
子どもの内発性・自発性からくる思いや行動を引き出す上で、関わり手が「遊び心」を持って接することが大切です。この姿勢は簡単なようで容易ではありません。
その理由は、遊びはある程度決まった形やフォーマットがある部分ももちろんありますが、遊びを遊びにするものは「遊び心」の中にあり、形の中にはないからです。つまり、○○さえやっておけば、どんな子どもでも楽しく遊べるといった万能のアイテムはないからだと考えられています。
著者は子どもたちに接する際に、決まったルールのある遊びをすることもありますが、それ以上に、その場・その状況に応じて、様々な遊びを試みることがよくあります。既存の遊びのルールを作り変えることもよくあります。
こうした様々な遊びを試みるといった姿勢、例えば、○○君と○○の遊びをしてみたい!○○さんは○○に興味があるかもしれないから○○のように誘いかけてみよう!といった関わり手の思いや意図、想像性もまた大切だと感じています。
こうした行為が、実際に子どもの内発性を刺激して、新たな遊び(時には型破りなものもあります)に発展することがよくあります。
そして、「遊び心」を持って接する際に、前提として重要なものとして、次に見る「認知発達の把握」と「興味関心の把握」があります。
認知発達の把握
「認知発達の把握」とは、子どもが外界の世界をどのように理解しているかを知ることです。
例えば、感覚と運動を通して世界を理解している時期、言葉による理解が出始めた時期、イメージ力がついてきてごっこ遊びなどができるようになってきた時期、他者とルールのある遊びに興味を持ちだした時期など、発達段階によって外の世界の捉え方にも違いが出てきます。
認知発達にはある程度の順序性・方向性があると考えられているため、子どもの発達段階を知ることが大切だと言えます。
認知発達の段階によっても、活用できる遊び、例えば、「感覚・身体あそび」「手でものを操作するあそび」「創造あそび」などアプローチ方法にも違いが出てきます。
著者は、これまで重度の障害児療育や学童期の発達に躓きを抱えている子どもと接してきていますが、様々な子どもたちと関わる中で、子どもたちの認知発達の違い(分かり方の違い)は実に多様であると実感することが多くあります。
つまり、認知発達の把握が不十分であると、子どもに合った遊びが提供できないことに繋がっていきます。そのため、ここでのポイントは、子どものとって分かる!を把握していくことだと言えます。
興味関心の把握
子どもの興味関心は、一人ひとり多様です。そして、子どもは自分の興味関心をきっかけに様々な遊びを見つけ・発展させていきます。
そのため、関わり手は子どもの「興味関心の把握」が大切になります。「興味関心の把握」には、子どもをよく観察することや、様々な遊びにトライしてみることが必要です。
そして、関わり手が子どもの興味関心の幅を深く理解していくことは、大人の一方的な思い込みによって遊びを押しつける状態を避け、一人ひとりの子どもの視点に立って、何を楽しむことができるかを考える姿勢に繋がっていきます。
子どもの興味関心を把握していく姿勢を強く持つことで、関わり手は子どもに合わせた対応が徐々にできるようになっていきます。そして、子どもの興味に大人が合わせていくこは(共感的姿勢)で、「共同注意」の機会を増やしていくことにも繋がっていきます。「共同注意」の豊富な経験は、子どもが関わり手(大人・支援者)から様々な「意味の世界(言葉の世界)」を学習していく上で大切だと考えられています。
著者は自閉症児との関わりを通して、彼らが持つ独特な興味関心の領域を深く知り、興味関心を通した遊びをしていくことで、自閉症児の多くと「共同注意」を豊富に持つ経験ができ、その過程で、様々な「意味の世界」を伝えていくことができたと感じることが多くあります。
そして、「意味の世界」は著者と子どもがある時期・ある場所を共にしたという「物語」を作る上でも大切なものだと感じます。
以上の「遊びを支援するポイント」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【子どもの遊びを見る上で大切な2つの視点】認知発達と興味関心について療育経験から考える」
関連記事:「【遊びの中での発達支援で大切な2つのこと】“子どもの興味”を活かす支援を療育経験から考える」
関連記事:「【遊びが広がらない発達障害児への対応】応用行動分析学の視点を通して考える」
療育における遊びの実際
著者は、これまで様々な療育現場で様々な遊びをしてきていますが、ここでは「ごっこ遊び」を例に「療育における遊びの実際」について見ていきます。
「ごっこ遊び」とは、ふり遊び・象徴遊びとも言われ、目の前にあるモノや自分の身体に「別の意味」を付与して遊ぶ活動だと言われています。
「ごっこ遊び」はメージ力を使う遊びであり、同時にイメージ力を育てる遊びだと言えます。
著者は療育現場で、例えば、お店屋さんごっこ、戦いごっこ、野球ごっこ、サッカーごっこなど、様々なごっこ遊びを子どもたちの興味関心に応じて展開しています。
ごっこ遊びの過程において、初めは大人と子どもを中心とした遊びから、徐々に様々な子どもたちや大人が混ざるなど、ごっこ遊びの規模が広がっていく様子がよく見られます。
著者はごっこ遊びを発展させる上で、子どもの「興味関心の把握」と「認知発達の把握」をベースに、どのようなごっこ遊びができ、また、誰となら可能かかを工夫して遊びを組み立てるようにしています。
また、子どもたちの規模が増えてくると、子どもが好きなこと・得意なこと・理解しやすいことを中心にそれぞれに役割を付与することもしています。
そして、著者が「遊び心」を持って関わることで、子どもたちの「集団的情動」が増え、それに伴い「共同注意」が増えていくことで、同じ体験を楽しく共有できた(「意味の世界(言葉の世界)」の学習)といった基盤が増えていきます。
こうした経験を通して、子どものイメージ力はさらに育まれていき、イメージ力の育ちは、遊びのさらなる発展や柔軟性(臨機応変さ)の向上、対人コミュニケーション能力や認知機能の向上にも影響していくことを、中長期的な取り組みを通して実感しています。
子どもは「遊び」を通して、様々な力を獲得していくのだと療育実践を踏まえて見ても感じることができます。
以上の「療育における遊びの実際」の内容は、以下の記事を参照しています。
関連記事:「【経験×理論で読み解くごっこ遊び】発達障害児のイメージ力を引き出すアプローチ」
まとめ
「遊び」の本質的な意味としては、自発的・自主的活動、快の感情を伴うもの、ストレスのないゆとりのある活動だと言えます。
遊びの種類の例としては、「機能的遊び」「構成的遊び」「ごっこ遊び」「ルール遊び」があります。遊びの発達段階には、「何もしていない行動」から「協同的に組織化された遊び」まで様々な過程があります。
「自由遊び」とは、子どもが自分は無力ではない力のある存在であることを認識できるものであり、「自由遊び」を満たす上で大切な視点として、子どもの「興味関心」を見つけるということと「喜び」といった快の感情が伴うことが重要だとされています。
「集団遊び」では、自分とは異なる様々な他者と関わる機会が持てるため、「多様性」を経験する上で大切な遊びだと言えます。
「遊びによって育まれる力」として「自己コントロール力」「学び・問題解決・創造性」「共感力」があると考えられています。
外遊びが減少し、その一方でゲーム使用の増加が懸念されている中で、ゲームを操作する力などコンピュータースキルの向上もまた必要となっていることから、ゲームの肯定的側面が注目されるようにもなっています。
「遊びを支援するポイント」として重要なものとして、「遊び心」「認知発達の把握」「興味関心の把握」があり、実際に著者の療育実践においても大切であると痛感しています。
参考書籍紹介
今回の記事内容をさらに深める上でお勧めする書籍紹介記事を以下に載せます。
療育における遊びを含め発達障害領域を網羅的に学びたいと考えている人には次の書籍紹介記事がお勧めです:関連記事:「臨床発達心理士が厳選:発達障害を理解するための体系的読書ガイド【完全版】」。
療育(発達支援)に役立つ遊びに関するお勧め書籍紹介はこちらで紹介しています:「【臨床発達心理士が厳選】療育(発達支援)に役立つ遊びに関するおすすめ本:初級~中級者向け」。
遊びのヒントを得る上でモンテッソーリ教育も大変参考になります。お勧め書籍紹介はこちらで紹介しています:関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】モンテッソーリ教育に関するおすすめ本:初級~中級者向け」。

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