発達障害のある子どもたちは、ASD(自閉スペクトラム症)やADHD(注意欠如多動症)といった単発の症状だけで説明できるとは限りません。
実際には、知的障害や発達性協調運動障害(DCD)、境界知能、愛着の問題(二次障害や疑似ADHD)など、複数の特性が重なり合って見られることも少なくありません。そのため、「何が背景にあるのか分かりにくい」「似ている行動でも支援がうまくいかない」と感じる場面も多くあります。
これまでの研究や文献、そして、著者の経験を踏まえて見ても発達障害は単独の症状で発症しているケース以上に重複(併存)していることが多いと感じます。
本記事では、発達障害の重複(併存)とは何かを整理しながら、ASD・ADHD・知的障害などの違いや重なり、見立てのポイント、支援で大切な視点について、療育経験も踏まえて総合的に解説します。
※本記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有し、発達障害に関連する大量の書籍を読んできた筆者が執筆しています。
【発達障害の重複(併存)とは?】ASD・ADHD・知的障害などの違いと支援を総合解説
本記事では、発達障害の重複(併存)や様々な発達特性の違いと支援に関して、8つの章に分けて解説しています。
1.発達障害の重複(併存)について
2.発達障害の重複(併存)の理解はなぜ難しいのか
3.ASDとADHDの共通点と違い
4.ASDと知的障害の関連性
5.発達障害(ASD・ADHD)と愛着障害の違い
6.発達障害の重複(併存)の支援のポイント―二次障害・愛着障害への理解を含めて―
7.まとめ
8.参考書籍紹介
発達障害の重複(併存)について
この章では、「1.「重複」と「併存」の用語について」「2.発達障害の重複(併存)の割合」「3.発達障害の「重複(併存)」と「強弱」の理解の重要性」「4.成長と環境要因から見た重複(併存)」について見ていきます。
「重複」と「併存」の用語について
「重複」と「併存」の意味の違いですが、両者はほとんど同じ意味合いで使用されていますが、少しニュアンスが異なると考えられています。
「重複」とは、2つ以上の発達障害の診断特性が「重なっている」ことを指します。
「併存」とは、「一人の人に複数の診断が同時に存在する」ことを指します。
ほとんど同じ意味ですが、「重複」が現場や保護者向けの説明で使用されることが多く、「併存」が学術論文や診断基準などで使用されるといった違いがあります。
今回は、明確な分類はせずに使用していきたいと思います。
発達障害の重複(併存)の割合
ここでは、発達障害の併存割合について研究知見を基に見ていきます。
ASDのある人の概ね10人に4人(約40%)はADHDを併存しており(生涯併存率)、特に学齢期・思春期にはその割合が約50%近くまで高まる(Rong, Y., Yang, C. J., Jin, Y., & Wang, Y. ,2021)。
ADHDのある子どもや青少年のうち、約21%がASDの診断基準を満たすことが、大規模なメタアナリシスによって示されている(Hollingdale et al., 2019)。
ASDの約3分の1に知的障害が併存し、残りの約3分の2は知的な遅れを伴わないという理解が最も有力な根拠に基づいた見解である(Zeidan et al., 2022、Shaw et al., 2025)。
ASDにおける境界知能(IQ 71〜85の領域)の併存割合について、米国CDCによる最大規模の最新サーベイランス報告(Shaw et al., 2025)では、ASD児全体の22.5%(約5人に1人)がこの知能領域に該当することが示されている。
ASDにおける発達性協調運動障害(DCD)の重複は極めて普遍的であり、実に86.9%がDCDの明確なリスクを有していることが示されている(Bhat, 2020)。
ADHDのある子どもにおける発達性協調運動障害(DCD)の併存率は極めて高く、系統的レビューに基づく国際的なコンセンサスでは約30%〜50%(おおむね2人に1人)の割合で重複しているとされる(Goulardins et al., 2015)。
以上の研究知見からも分かるように、発達障害は単独で発症することもありますが、併存割合も高いケースが多いことが分かります。
発達障害の「重複(併存)」と「強弱」の理解の重要性
これまで見てきたように発達障害は様々な形で「重複(併存)」していることが多く、また、それぞれの発達障害(発達特性)には「強弱(グラデーション)」があります。
この視点を持つことの重要性について以下のことが言えます。
先に見た重複(併存)のデータも含めて、発達障害の専門家の見解も交えると、発達障害の重複例はひとつの障害特性を持つケース以上に多い印象があり(本田秀夫さんの意見を筆頭に)、その状態像は、様々な発達特性の強弱(グラデーション)や重なり方によって様々な違いがあると考えられています。
著者の療育経験を踏まえて見ても、ASD単独、ADHD単独といったケースもありますが、両者が重複していると想定されるケースや他の症状(知的障害、DCD、境界知能など)との重複が見られるケースが思いのほか多いといった印象があります。
そのため、ASDやADHDといった単独のケースも含めて、発達障害の「重複(併存)」と「強弱」の理解の重要性が今後ますます必要になってくると考えます。
以上の「発達障害の「重複(併存)」と「強弱」の理解の重要性」の内容はこちらの記事を参照しています。
関連記事:「【発達障害の発症の頻度と重複(併存)について】療育経験を通して考える」
関連記事:「【発達障害の特性の「強弱」について】療育経験を通して考える」
成長と環境要因から見た重複(併存)
発達障害の特性は成長や環境要因によって変化する場合があります。
例えば、ASDとADHDが併存した場合において、初めはADHDの特性が優位であり、思春期以降からASDの特性が優位になる(ADHDの症状は不注意が残り)といった順序があります。
さらに、ASDとADHDが併存した場合には、単独よりも症状が重くるなるとも考えられています。
また、ASDとADHDとLDが併存していた場合において、幼児期に多動、不注意などが目立つとADHDの診断がつきやすく、小学校に上がると、学習面での躓きが顕著になりLDの診断がつきやすくなり、小学校高学年以降になると、対人関係の問題が浮上しASDの診断がつきやすくなるといったケースもあります。
実際に、著者が見てきたケースでも2つ以上の発達障害の特性が重複しており、それぞれの特性が強まる時期に違いがあると感じることはよくあります。
つまり、成長や環境要因(集団場面、学習場面、対人場面など)によって、発達障害の特性の現れ方にも変化が生じることが分かります。
以上の「成長と環境要因から見た重複(併存)」の内容はこちらの記事を参照しています。
関連記事:「【発達障害の強弱・重複(併存)について】療育経験を通して考える」
関連記事:「【ASDとADHDの併存】発達過程の中で症状がどのように現れるのかを解説」
関連記事:「【発達障害の診断名はなぜ変わるのか?】発達時期による特性の現れ方の違いを解説」
発達障害の重複(併存)の理解はなぜ難しいのか
この章では、「1.発達障害の重複(併存)の理解の難しさ」「2.発達障害の「重複」「強弱」を重視した知見」について見ていきます。
発達障害の重複(併存)の理解の難しさ
発達障害の重複の理解がなぜ難しいのかについて、その背景として様々な要因があると考えられています。
中でも、「研究が専門分化している」といったことが挙げられます。医学や心理学の研究者、特に、アメリカの人たちは、自分の専門としてる分野に特化した研究を行う傾向があります。
著者が発達障害に関する研究をしていた時期に、文献等を見渡して見ても、発達障害の重複を扱っている文献等はほとんどなく、ASDの○○に関する研究、ADHDの○○に関する研究など専門領域が特化していることがほとんどだったと思います。
一方で、次に見るように、発達障害の「重複」「強弱」を重視した知見もあります。
以上の「発達障害の重複(併存)の理解の難しさ」の内容はこちらの記事を参照しています。
関連記事:「【発達障害の重複(併存)を理解する難しさについて】療育経験を通して考える」
発達障害の「重複」「強弱」を重視した知見
ここでは、発達障害の「重複」「強弱」を重視した知見として、「DAMP症候群」「ESSENCE」「MSPA」について見ていきます。
「DAMP症候群」とは、クリストファー・ギルバーグ教授が提唱したもので、例えば、ADHDの特性にDCDやASDの特性が重複しているといった研究結果から、注意や運動、知覚、会話などの各領域に困難さが見られるという領域間の関連性を包括的に捉えた考え方になります。
「ESSENCE」とは、同じくクリストファー・ギルバーグ教授が発達障害の早期発見に繋がる徴候(サイン)があるといった考えのもと、発達全般の遅れや、運動発達の遅れ、感覚刺激に対する敏感・鈍感、言葉の遅れ、衝動性の高さ、気が散りやすいこと、遊びに対する関心のなさ、常同的な行動、気分の変動、睡眠覚醒リズムの乱れ、偏食など幅広い項目を取り上げています。
「MSPA:発達障害の特性別評価法」とは、日本の船曳康子教授のグループが2009年から開発してもので、発達障害の代表的な特性をコミュニケーションやこだわり、不注意、多動、衝動性、学習などの14項目に分け、それぞれの強さを5段階で評価するものとなっています。
以上の「発達障害の「重複」「強弱」を重視した知見」の内容はこちらの記事を参照しています。
関連記事:「【発達障害の「重複」「強弱」への理解】「DAMP症候群」「ESSENCE」「MSPA」を例に」
ASDとADHDの共通点と違い
この章では、重複(併存)の割合が高く、また、行動特徴として「違い」が分かりにくいASDとADHDの「共通点」と「違い」について、以下「1.対人コミュニケーションの困難さ」「2.こだわり」「3.不注意」「4.衝動性」「5.過集中」に焦点を当てて見ていきます。
「対人コミュニケーションの困難さ」の「共通点」と「違い」
「対人コミュニケーションの困難さ」について、ASDとADHDとの「違い」を見分けることは難しいと考えられています。
その理由としては、ASDは本来的な「対人コミュニケーションの困難さ」がある一方で、ADHDは思春期以降に対人関係上の失敗体験、例えば、衝動性が影響して悪気なく他者を傷つけてしまう行動などにより、周囲との間で関わりが苦手になるケースもあるからだと言われています。
つまり、ASDとADHDには「対人コミュニケーションの困難さ」といった「共通点」が見られることもあり、その背景に「違い」があると言えます。
「こだわり」の「共通点」と「違い」
ASDとADHDを区別するには、「同一性へのこだわり(常同性)」が鑑別点として重要だと考えられています。
ASDでは、特定の対象に対して強い興味を示したり、反復的で機械的な動作(手や指をぱたぱたさせたりねじ曲げるなど)が見られる一方で、ADHDにおいてはこだわり行動はまれだとされています。
つまり、ASDとADHDの「違い」のポイントとして、「こだわり」の有無が一つに指標になると言えます。
「不注意」の「共通点」と「違い」
「不注意」の代表例が「何かを忘れる」といった行為です。
ADHDは特性上「不注意」が見られることがよくある一方で、ASDにおいては、自分にとって重要度の高い部分が記憶に残りやすく、自分にとって重要度の低いものは社会的(常識的に見て)な重要度が仮に高くても忘れることがあります。
「不注意」の他の代表例が「ミスの多さ」があります。
ADHDの発達特性の一つでもある不注意により忘れるものが多くなったり、ミスやエラーが起こることはよく知られている特徴の一つです。ASDは、社会的に望まれる行為の理解が難しいことからミスが生じることや、自分の興味関心などを優先することでミスが生じることがあります。
つまり、ASDとADHDにはどちらも「不注意」が見られることがあるといった「共通点」がある一方で、その背景には「違い」があると言えます。
「衝動性」の「共通点」と「違い」
「衝動性」の代表例が「思ったらすぐに話し出す」行為があります。
ADHDは特性上「衝動性」が見られるケースが多いですが、ASDは自分が自由勝手に話をしていいのかどうか状況を認識していないことが多いため、相手や周囲の状況理解の難しさから、一方的に自分の話を続けることがあります。
つまり、ASDとADHDにはどちらも「衝動性」が見られることがあるといった「共通点」がある一方で、その背景には「違い」があると言えます。
「過集中」の「共通点」と「違い」
ADHDとASDには、どちらも興味関心に対する「過集中」が見られます。
ADHDの場合の方が気が散りやすく注意の持続が難しいといった特徴があり、ASDは、自分の興味関心の世界に没頭すると抜け出すことが難しいといった特徴がある半面、嫌いなこと・知らないことに対しては注意の持続が難しいなど、没頭する範囲がADHDと比べてより限定的であるといった「違い」があります。
つまり、ASDとADHDにはどちらも「過集中」が見られることがあるといった「共通点」がある一方で、その背景には「違い」があると言えます。
以上の「ASDとADHDの共通点と違い」の内容はこちらの記事を参照しています。
関連記事:「【ADHDとASDの共通点と違いとは?】発達障害の併存も含めて考える」
関連記事:「【ASDとADHDの違い】対人コミュニケーションとこだわりから理解する見分け方」
関連記事:「【ASDとADHDは似ている?】忘れ・ミス・衝動・対人関係からみる“似て非なる”行動の背景」
関連記事:「【何かに没頭する行動とは?】ADHDの過集中についてASDとの違いも交えて考える」
ASDと知的障害の関連性
この章では、ASDと知的障害の関連性について「知能指数(IQ)」をキーワードに見ていきます。
先で見た通り、ASDの約3分の1に知的障害が併存し、残りの約3分の2は知的な遅れを伴わないという理解が最も有力な根拠に基づいた見解である(Zeidan et al., 2022、Shaw et al., 2025)といった知見から、ASDと知的障害の併存率(約33%)は高いと言えます。
以下、「知能指数(IQ)」を踏まえた知見についても見ていきます。
「知能指数(IQ)」が中度未満(IQで概ね50未満)の方には、自閉症スペクトラムの特徴が多く見られるといったことがわかっています。そして、「知能指数(IQ)」が軽度(IQで概ね50~70程度)の方では自閉的な特徴は減少するも、その特徴はゼロにはならないとも言われています。つまり、「知能指数(IQ)」と自閉症の特徴は少なからず関連するといったことが言えます。
さらに、「ASDと知的障害の「知見指数(IQ)」は上がるのか?」といったことに関して、次のように考えられています。
ASDの「知能指数(IQ)」に関しては、子どもから大人になる間に変化はあまりなく、知的障害の子どもの「知能指数(IQ)」が大人になるまでに上昇することもまた難しいと考えられています。
以上の内容から、ASDと知的障害の併存率は高く、両者の重複の強さは「知能指数(IQ)」と関連性を持ち、知能指数は生涯において変わらないことが多いと言えます。
そのため対応としては、知能指数を高めるような考え方ではなく、子どもの知能レベルに合った学びの内容、そして、苦手な点を補うようなサポート・配慮が必要になります。
以上の「ASDと知的障害の関連性」の内容はこちらの記事を参照しています。
関連記事:「【自閉症と知的障害の関係について】知能指数(IQ)の観点から考える」
関連記事:「知能指数は変化するのか【発達障害(自閉症・知的障害)を例に考える】」
発達障害(ASD・ADHD)と愛着障害の違い
この章では、「愛着障害」をキーワードに、「1.ASD・ADHD・愛着障害の違い」「2.回避型愛着スタイル」「3.疑似ADHD」について見ていきます。
「愛着障害」は、生得的な発達障害(ASDやADHDなど)の状態理解において、複雑に関連していることがあり、さらには発達障害に似た行動特徴が見られることがあります。そのため、「愛着障害」は、発達障害の状態理解に対する正しい見立てを行う上で非常に重要なキーワードだと考えます。
中でも、「愛着障害」が発症していることで、ASDと似た特徴(「回避型愛着スタイル」)やADHDに似た行動(「疑似ADHD」)が生じる場合があります。
「ASD・ADHD・愛着障害の違い」を理解していくことで、二次障害としての状態像(ASD+愛着障害、ADHD+愛着障害)の理解にも繋げていくことができます。
ASD・ADHD・愛着障害の違い
ASDとADHDといった発達障害と愛着障害は以下の特徴の違いがあると考えられています。
「ASDは認知の問題」「ADHDは行動の問題」「愛着障害は感情の問題」といった違いです。
こうした特徴の違いを抑えることで、一見すると、同じような行動においても背景(ASD・ADHD・愛着障害)が異なるといった違いが見えてきます。
例えば、同じ「多動」であっても、ADHDは本来の特性上からくるもので「いつでも多動」、ASDは「居場所感の欠如からくる多動」、愛着障害は「ムラのある多動」といった違いです。
このように背景を分析していくことで、その子どもに応じた支援に繋げていくことができます。
以上の「ASD・ADHD・愛着障害の違い」の内容はこちらの記事を参照しています。
関連記事:「【発達障害と愛着障害の支援方法の違い】行動・認知・感情をキーワードに考える」
関連記事:「愛着障害と発達障害の違いについて:4つのポイントを通して考える」
回避型愛着スタイル
「回避型愛着スタイル」とは、簡単に言えば、「対人関係において回避的な行動を取るタイプの人たち」のことを言います。
近年、増加傾向にあると考えられている「回避型愛着スタイル」ですが、ASDの特徴と似ていると言われています。
ASDが先天性の脳の機能障害であるのに対して、「回避型愛着スタイル」は後天的な愛着の問題です。さらには、ASD(一次障害)の二次障害として愛着障害が見られるケース(ASD+愛着障害)もあります。
それぞれのタイプは背景が異なるため、支援の方向性に違いが生じると考えられています。
以上の「回避型愛着スタイル」の内容はこちらの記事を参照しています。
関連記事:「回避型愛着スタイルの特徴とは何か【近年増加している?ASDと似ている?】」
関連記事:「【ASDを併せ持つ愛着障害のタイプについて】療育経験を通して考える」
疑似ADHD
「疑似ADHD」とは、「症状がADHDと似ているものの、原因が他の精神疾患、うつや不安障害、依存症、愛着障害などによって引き起こされるもの」だと考えられています。
また、大人のADHDの多くは「疑似ADHD」だと考えられており、「疑似ADHD」の場合には、その背景に愛着に問題を抱えている場合もあり、生活面など生きづらさの程度が強いとされています。
このように、「疑似ADHD」は本来のADHDと行動は似ているものの背景は異なるため、背景の違いを理解していくことが大切です。
以上の「疑似ADHD」の内容はこちらの記事を参照しています。
関連記事:「疑似ADHDとは何か【ADHDの背景には愛着障害が潜んでいる】」
関連記事:「【ADHDと愛着障害の違い】背景要因から理解する見分け方と疑似ADHDのポイント」
関連記事:「ADHDと愛着障害の違いについて:類似点と鑑別点を通して考える」
発達障害の重複(併存)の支援のポイント―二次障害・愛着障害への理解を含めて―
この章では、「1.発達障害の重複(併存)の支援のポイント」「2.二次障害や愛着障害の支援の重要性」について見ていきます。
発達障害の重複(併存)の支援のポイント
「発達障害の重複(併存)の支援のポイント」として、「発達障害と知的障害が併存する場合両者を分けどちらにも対応が必要」「「重複ケースにおいてはメインの障害を見つけ対応し、併せて付随する障害の対応も必要」があります。
「発達障害と知的障害が併存する場合両者を分けどちらにも対応が必要」とは、ASD・ADHD・LSなど様々な発達障害は知的障害も併せ持つケースがある中で、両者の対応を分けることが大切だと考えられています。
ASD・ADHD・LDなどの発達障害は発達の「質」を問題としており、知的障害(ID)は発達の「速度」を問題としています。まずは両者の発達の特徴の違いを抑えていくことが重要です。
両者の発達像は異なることから、支援のポイントにも違いが出てきます。一方で、両方の特徴が見られる場合(重複・併存しているケース)には、それぞれの特徴を分けて理解し支援をしていくことが必要になってきます。
発達障害の重複(併存)が見られているケース(例:ASD+知的障害)に対して、ASDの特性への支援(実行機能やこだわりへの支援、コミュニケーション支援、社会性への支援など)において様々な視点があります。同時に、知的障害への支援(逆算の支援やゆっくりな発達を見据えた支援など)においても重要な視点があります。
そのため、著者の療育経験を踏まえて見ると、例えば、ASDといった単独の症状だけに支援の目が向かないように、知的障害への支援にも目を向けて実行していくことが支援の効果が高いと感じます。それは、子どもの置かれている環境や状況によって、問題となる(困り感となる)内容が変わってくるからです。
ASDと知的障害の理解と支援に関するまとめ記事は以下で紹介しています。
関連記事:「自閉症(自閉スペクトラム症:ASD)の理解と支援:療育実践を踏まえて解説【完全版】」
関連記事:「知的障害の理解と支援:療育実践を踏まえて解説【完全版】」
「重複ケースにおいてはメインの障害を見つけ対応し、併せて付随する障害の対応も必要」とは、これは重複・併存のケースに対してまずは、メインの障害(最も適応上支障が出ている症状)を見つけ支援をしていくこと、さらには、先にも見たように他の重複症状への対応も必要だと考えられています。
著者の療育実践を踏まえて言えることは、子どの診断名にばかり気を取られていると、他の症状(診断の疑い・可能性のある症状など)への理解と支援が難しくなることがあります。
年齢や環境などに応じて、メインとなる障害にも変化が生じる場合があるため(診断名の変化・併存ケースなど)、様々な症状への基本的な理解が大切だと感じます。
また、様々な症状(例:ASD+ADHD)が重複・併存している場合、似た行動でも背景が異なるため、背景を理解していく中で、アプローチ方法を選別していくことが大切だと言えます。そのためにも、現在、最も適応上困り感に繋がっている症状の背景(二次障害や愛着障害も含めて)を探っていくためのアセスメントが大切だと感じます。
二次障害や愛着障害の支援の重要性
愛着障害も含めた二次障害への理解と対応は、発達障害の重複(併存)の理解と支援と併せて非常に重要な観点だと言えます。
例えば、著者の療育経験を踏まえていえることは、ASD+愛着障害のある子どもに対して、ASDの理解と対応を継続しただけでは支援効果は低いと感じることがあります。
一方で、ASDの理解と支援に加えて、愛着障害への支援を行うことで支援は確実に進んでいくものだと実感しています。
特に愛着障害への支援は、安心基地・安全基地・探索基地を意識した関わり、感情発達への支援、チーム支援がとても大切になります。一方で、支援の効果がでるのには時間がかかりますが、効果が出てくると支援が急激に進みだすことも事実としてあると感じます。
愛着障害への支援にプラスして、ASDの特性への配慮や支援を行うことで、より支援の効果は促進されていくように思います。
つまり、発達障害や知的障害のある子どもに、二次障害や愛着障害の問題などが見れる場合において、後者から見た支援のアプローチは必須だと言えます。
発達障害は重複(併存)しているケースが多いと言われている中で、そこに混在している可能性のある二次障害や愛着障害の理解と支援は非常に重要だと考えます。
以上の「発達障害の重複(併存)の支援のポイント」の内容はこちらの記事を参照しています。
関連記事:「【知的障害と発達障害(ASD)は併存する?】併存ケースの支援のポイントも合わせて解説」
関連記事:「発達障害と知的障害はどう考える?分けて理解することの大切さを療育経験から解説」
関連記事:「【発達障害は重複しやすいのか?】ASDとADHDの重複を通して考える」
まとめ
様々な発達障害(ASD・ADHD・LD・DCD・IDなど)は重複・併存することがあります。
重複・併存ケースへの理解において、どのような症状がどの程度の強弱を持って重なり合っているのかを理解していくこと、似た行動においても異なる原因があることを把握していくことが大切です。また、重複・併存ケースは、成長や環境の違いよっても、状態像に違いが生じると考えられています。
愛着障害や二次障害の理解を深めることは、重複・併存ケースの状態理解の見立ての精度をさらに引き上げることに繋がります。
支援において大切なことは、ASD・ADHDなどの発達障害と知的障害が併存している場合には、両者を分けそれぞれの症状に対して支援をしていくこと、また、メインの障害とそれに付随する他の障害も併せて対応するなど、特定の診断や症状だけに支援がフォーカスしないような関わりが大切です。
参考書籍紹介
今回の記事内容をさらに深める上でお勧めする書籍紹介記事を以下に載せます。
発達障害領域を網羅的に学びたいと考えている人には次の書籍紹介記事がお勧めです:関連記事:「臨床発達心理士が厳選:発達障害を理解するための体系的読書ガイド【完全版】」。
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大人の発達障害の理解に関するお勧め書籍紹介はこちらで紹介しています:関連記事「【臨床発達心理士が厳選】大人の発達障害に関するおすすめ本:初級~中級者向け」。
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