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【愛着への支援:子どもに強みを見せるアプローチ】療育経験を通して考える

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愛着(アタッチメント)とは、〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

子どもが養育者との情緒的な絆を結ぶことの鍵となるのが〝安心基地・安全基地″の形成です。

子どもは、特定の養育者に対して、一緒にいると心地が良い感覚(〝安心基地″)、自分のことを守ってくれる感覚(〝安全基地″)を通して絆を強めてきます。

 

それでは、子どもとの愛着関係を深めていく上で、どのような支援方法があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、愛着への支援方法として、子どもに強みを見せるアプローチについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「前田智行(2023)子どもの発達障害と二次障害の予防のコツがわかる本.ソシム.」です。

 

 

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愛着への支援:子どもに強みを見せるアプローチ

以下、著書を引用しながら見ていきます。

子どもに強みを見せて「すごい!」と思わせることができると、気持ちが能動的になり、アタッチメントが形成される時間を短縮できます。

 

大人の強みを紹介すると、子どもの興味・関心をひけるので、子どもから「この先生と話してみたいな」と感じてもらえます。何もないところから関係を築くより、最初のスタートダッシュをつけられるので、より短時間で関係性を築くことができます。

 

著書の内容から、愛着への支援として、〝子どもに強みを見せるアプローチ″を取ることで、愛着形成を短縮化できる利点があると記載されています。

例えば、関わり手が○○のスポーツが得意、ものづくりが得意、○○の分野の知識が豊富にある、絵や音楽が得意、ゲームが得意など、子どもに〝すごい!″を思わせることができる強みは多岐にあると言えます。

得意なジャンルは何も、非常にハイレベルな領域に達している必要はなく(もちろん、ハイレベルであればさらに良い)、少し得意である程度でも子どもを引きつけることができると思います。

子どもは、自分の興味関心を介して、関わり手と様々な情報を共有したり、その中で、様々な驚き・楽しさなどの快の感情を共有・共感することができます。

そのため、自分よりも得意・うまくと思える関わり手がいることで、関係性を急激に縮めていくことができるのだと言えます。

 

 

著者の経験談

著者は、長年の療育経験を踏まえて、〝子どもに強みを見せるアプローチ″は子どもとの関係性構築の上で非常に有効だと実感しています。

例えば、遊びを通して、子どもを楽しませることに関して、著者はある程度得意だと感じています。

楽しませ方は、子どもによって異なる場合もありますが、子どもの興味関心をある程度把握した上で、その興味関心を広げること・深めることを意識して関わるようにしていくと、うまくいくことが多いと感じています。

もちろん、子どもの興味関心に関する知識を豊富に持っている場合の方が、うまく楽しませることができると思います。

子どもたちは、〝この人と関わると楽しい!″と感じることで、気持ちが少しずつほぐれていき、徐々に気持ちが前向きになってきます。

中には、急激に能動的になる子どももいますが、こうした変化を踏まえて、子どもの方から〝もっと!もっと!この人と関わりたい!″といった姿が見られるようになることが、愛着形成といった関係性構築上(特に〝安心基地″構築の上で)、非常に重要なことだと感じています。

 

以上は著者の例ですが、他のスタッフにおいても興味深い例があります。

他のスタッフの中には、子どもとの関係性を深めていくことに少し苦手意識のある人もいます。

一方で、その人(仮:Aさん)には、特定の領域に関して得意なことがありました。

著者は〝Aさんは○○にはとても詳しい″と子どもたちに伝えることで、その内容に興味があった子どもは、自ら積極的にAさんと関わろうとする姿が出てきました。

その後、Aさんは特定の強みを活かして、子どもとの関係性を急速に発展させていくことができました。

こうした事例を踏まえると、改めて、子どもとの関係性を築いていくためには、子どもから見てその大人を好きだと思えること(強み)があることで、愛着形成が短縮されることもあるのだと思います。

 

 


以上、【愛着への支援:子どもに強みを見せるアプローチ】療育経験を通して考えるについて見てきました。

子どもに強みを見せるアプローチは、愛着形成を進める上で、一つの有力な方法だと思います。

さらに、愛着障害など愛着に問題を抱えているケースにおいては、愛着形成の深い理解と実践がより必要になってくるのだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も子どもとの関係性を深めていく方法について、自らの体験をアップデートしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【愛着で大切な3つの基地機能】安心基地→安全基地→探索基地のメカニズム

 

 


愛着・愛着障害に関するお勧め関連書籍の紹介

関連記事:「愛着障害に関するおすすめ本【初級~中級編】

関連記事:「愛着(アタッチメント)に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

前田智行(2023)子どもの発達障害と二次障害の予防のコツがわかる本.ソシム.

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