【発達障害学とは】医学・心理学・教育学をつなぐ視点から発達障害を考える

発達障害学

発達障害に対する認知度は、年々高まってきています。

発達障害への理解と支援の質を高めていくためには、様々な領域の知識が必要になります。

著者は、長年、療育現場に携わっていますが、発達障害児支援の質を上げていくためには、特定の領域の知識だけではなく、多様な領域への学びが大切だと実感しています。

 

それでは、発達障害への理解と支援の質を高める上で、どのような領域の知識が必要になるのでしょうか?

 

本記事では、発達障害学をキーワードに、臨床発達心理士である著者の経験も踏まえて、医学・心理学・教育学の領域を通して、発達障害の理解と支援を深める視点について解説していきます。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は、「藤本昌樹(2026)ウェルビーイングをめざす 新しい発達障害学入門‐理解から支援へ.北樹出版.」です。

 

 

発達障害学とは何か

以下、著書を引用しながら見ていきます。

発達障害学は学際的な領域であり、医学は生物学的基盤や診断を、心理学は認知・情緒の理解と支援を、教育学は学習支援・教育的配慮を担う。

各分野の知識を統合して独自の知識体系を築くことが求められ、専門家が互いの視点を理解し対話を重ねることが欠かせない。

 

著書の内容から、「発達障害学」は、研究などがいくつかの異なる学問分野にまたがって関わる領域であり、医学・心理学・教育学の交差点だと考えられています。

「発達障害学」は、まだ十分に確立されていない領域であるため、様々な領域の知識を統合することが大切だと言えます。

「発達障害」と言えば、ASDやADHD、IDやLDなど、多様な症状がありますが、様々な症状の特徴や支援方法などについて、「医学」「心理学」「教育学」の観点から、どのような有益な知識を得ることができるのかを学ぶことが大切です。

また、実際に支援にあたる人たちにとって、「多職種連携」の観点からも、お互いの専門性をより発揮できためにも、「発達障害学」は、様々な領域にまたがっているという認識を持ちながら、共通の言語基盤を作っていくことが必要だと言えます。

 

医学の領域から見た発達障害

医学の領域では、脳研究や遺伝子研究などから、発達障害の原因に繋がる要因が分かってきています。詳しくはこちらの記事で紹介しています:関連記事:「【発達障害はなぜ起こる?】原因について遺伝要因と環境要因から考える」。

また、診断に関してもICDやDSMを踏まえると、診断に関する変更点が年単位で更新されています。

例えば、DSM‐5以降から様々な発達障害の併存診断が可能になったことや、ID(知的障害)も発達障害(正確には神経発達症)に包含されるようになっています。

 

著者は、医学の領域から、発達障害の診断基準について学ぶことで、実際の療育現場で関わる子どもの特徴を理解するヒントを得ることができると実感しています。

また、発達障害は単発で発症する以上に併存(重複)しているケースも多いことから、発達障害の併存(重複)の理解や、様々な発達障害の違い(行動の背景)を知る上で、大変参考になる知見を得ることができると感じています。

発達障害の重複(併存)に関してはこちらの記事で詳しく紹介しています:関連記事:「【発達障害の重複(併存)とは?】ASD・ADHD・知的障害などの違いと支援を総合解説」。

 

心理学の領域から見た発達障害

心理学の領域では、人間の認知・感情(情緒)・行動に関して、様々な知見を得ることができます

例えば、発達障害に関する領域だと、実行機能やワーキングメモリといった認知機能、心の理論研究に関する社会的認知の領域などがあります。

また、心理アセスメントや心理支援(認知行動療法・行動療法・ペアトレ・ソーシャルスキルトレーニングなど)も該当しています。

 

著者は、心理学を学生初期に学んでいましたが、心理学の領域においても、発達心理学・認知心理学・社会心理学・臨床心理学など、様々な領域があります。

現在は、公認心理師といった国家資格も誕生し、今後、ますます心理士(師)の活躍が期待されています。

著者は、心理士(師)の中でも、臨床発達心理士であり、この資格は〝発達的視点″を踏まえた人の理解と支援に強い専門性を持っています。

つまり、心理学の領域の中でも、発達心理学の領域に強みがあり、著者は発達心理学を踏まえて、例えば、実行機能の〝発達″や心の理論の〝発達″など、発達的視点に関する学びが、療育現場で活きる有益な知見を得ることに繋がると感じています。

臨床発達心理士の基盤となる臨床発達心理学に関してはこちらの記事で紹介しています:関連記事:「臨床発達心理学とは?-療育経験からその視点の重要性を考える-」。

 

教育学の領域から見た発達障害

教育学の領域では、個別の支援ニーズに対する個別の配慮(合理的配慮)や支援といった特別支援教育の視点から、発達障害児・者支援に関する有益な知見を得ることができます。

また、、重度の障害児・者に対する教材教具の活用事例など、学習における個別のアプローチ方法について、オーダーメイドの支援に繋がるヒントを得ることができます。

合理的配慮に関してはこちらの記事で紹介しています:関連記事:「【合理的配慮とは何か?】発達障害児・者支援の経験を通して考える」。

 

著者は、医学の知見、心理学の知見を踏まえ、困り感を抱えた発達に特性がある子ども(大人)の状態を理解していく中で、学習においてどのようなアプローチが有効であるかは、教育学から多くの学びがあったと実感することがあります。

例えば、子どもにあった教材教具の考案、集中して学べる環境設定などは、実際の療育現場でうまく活用できたケースも多くあったように思います。

発達障害に対する教育の重要性について解説した記事はこちらで紹介しています:関連記事:「発達障害の治療について-教育の重要性から考える-」。

 


以上、【発達障害学とは】医学・心理学・教育学をつなぐ視点から発達障害を考えるについて見てきました。

これまで紹介してきた医学・心理学・教育学の領域は、互いに独立している以上に、相互に関連し合っている部分が多くあることを、記事を書きながら改めて実感することができました。

そして、面白いアイディア・新奇なアイディアは、様々な学問領域が溶け合う中間ゾーンで生じることがあるため、今後、さらに、発達障害学が発展していく中で、発達障害児・者支援に有益な理解と支援に関する知見が多く誕生する可能性があると考えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害学について学びを深めていけるように、様々な領域に関して学ぶ姿勢を継続していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございます。

 


発達障害に関するお勧め書籍紹介はこちらの記事で紹介しています:関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】発達障害に関するおすすめ本:初級~中級者向け」。

 

藤本昌樹(2026)ウェルビーイングをめざす 新しい発達障害学入門‐理解から支援へ.北樹出版.

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