自閉症、ADHD、学習障害、発達性協調運動障害などのことを発達障害と言います。
自閉症は対人関係やコミュニケーションに困難さを有するもので、ADHDは不注意・多動性・衝動性などを主な特徴としています。
学習障害は、「読み」「書き」「計算」など学習の困難さを特徴としており、発達性協調運動障害は、運動の困難さを特徴としています。
最近では、障害の併存なども注目されるようになり、上記の障害が重なるケースの事例なども書籍などで紹介されています。
著者自身、これらの発達障害について実際に当事者の方と接してみてその特徴や困難さを知ることができたと思っています。
そこで、今回は、発達障害を知るとはどういうことなのか著者のこれまでの経験を踏まえてお伝えしていこうと思います。
その中で今回は、発達性協調運動障害について取り上げてお伝えしていきます。
発達性協調運動障害について
発達性協調運動障害(Developmental Coordination Disorder)とは、粗大運動や微細運動などの協調運動における発達障害のことを言います。
粗大運動とは、走ったり、ボールを投げたり捕ったりなど全身運動のことを言い、微細運動とは細かい手作業や道具の使用などのことを言います。
発達性協調運動障害は、不器用と表現されることもあり、現在の研究領域では発達性協調運動障害と不器用という用語が混在している状況です。
発達性協調運動障害は、自閉症、ADHD、学習障害などと比べても社会的な認知が低い状況にあります。
著名人で言うと、「ハリーポッター」の主演を演じたダニエル・ラドクリフが当事者としています。
自閉症などに関しては、自分のことを書いたライフストーリーが多く見られますが、発達性協調運動障害に関しては当事者が書いたものは数件というのが現状です。
著者のコメント
著者の身近では発達性協調運動障害という診断を受けた人はいませんが、不器用さが見られる、あるいは本人からその特徴を伝えてくるなど、身近にその特性のある方は複数見られます。
著者は不器用と聞いて、これまでの学校現場にそういったタイプの方が少なからずいたと思います。
例えば、学校の体育の時間に逆上がりの練習をする際に、何度やっても手を放してしまう人(非常に危険でした!)、バスケットボールでドリブルの練習をしてもうまくできずにお手玉をつくようにボールをついていた人など思い起こすと意外と多くいたのではないかと感じます。
そうした視点で今の職場(療育現場)の子たちを見ると、不器用さに関して次のような例があります(ちなみに、今の職場では自閉症や知的障害、ADHDなどの方々が多くいます)。
不器用さの例として、うまくハサミが使えないなど道具の使用が不器用、鬼ごっこをすると走り方がぎこちない、ボールを投げたり捕ったりがうまくできない、自転車や三輪車にうまく乗れない、縄跳びがうまくできないなど様々なタイプのお子さんたちがいます。
一方で、こうした不器用さに関する内容はほとんど注目されることが少ないのが現状です。
次に、成人当事者の方から不器用についての例を挙げます。
例えば、文字がきれいにはやく書けない(自分でも読めない)、箸がうまく使えない、ものを噛んだり飲み込むのがうまくできない、自動車がうまく運転できない、走ったり球技など全身運動が苦手など様々な例があります。
問題は二次的症状です。
二次的症状とは、上記のような例に上げた一次の運動(の苦手さ)が原因で、集団スポーツを避ける、運動そのものを回避する、作業などがうまくいかず周囲から叱責を受けることで自尊心が低下するといった状態のことをいいます。
著者の周りにも不器用さが原因で、こうした二次的な問題へと繋がってしまったケースも複数見られています。
そして、こうした不器用さの問題は大人になっても残り続けると言われています。
著者自身、不器用や発達性協調運動障害という運動を主とした単独のケースは実際には出会ったことはありませんが、自閉症などの発達障害の方の中にはこうした運動の困難さを抱えている人が多くいることは確かだと感じています。
自閉症やADHDに関しては、著者の身近で診断を受けた人が多くいたこと、そして、多くの文献があったことなどで、症状に対するイメージが持てましたが、運動を主訴とした問題に関しはまだまだ発展途上にあると感じています。
発達障害の特性は多様であり、年齢が上がるに応じて、状態像が変化することはあっても、基本的になくなることはありません。
状態像の変化は、環境に対して適応方法を学んだことで、見えずらくなったこともあると思います。
発達性協調運動障害に関しても、今後ますます社会的な理解と支援が必要になってくるかと思います。
著者自身も、今後さらに発達障害への理解を深めていくためにも、運動の問題を主とした発達性協調運動障害や不器用さへの理解について、療育現場での事例を交えながらしっかりと考えていこうと思います。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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