発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

発達障害

【発達支援に携わる支援者の学びと成長】支援の継続で見えてくること

投稿日:2020年9月18日 更新日:

 

発達支援の現場で働いていると、様々な疑問が生じることがあります。

例えば:

  • 人の発達にはどのような法則があるのか?
  • 発達にはどのような機能が関わっているのか?
  • どのような理解や支援が必要となるのか?
  • 科学的な理解と現場の理解にはどのような違いがあり、どのように統合できるのか?
  • より良い支援をしていくために成長していくチームとはどのようなものなのか?
  • 支援の成果とは何か?

など、様々なものがあります。

私自身、発達支援の現場に長年携わってきていますが、まだまだ分からないことが多く、日々、学び続けています。

 

そうした中で、今回は学びを継続することで見えてくることや、その過程の楽しみなどをお伝えしていこうと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

スポンサーリンク

 

 

【発達支援に携わる支援者の学びと成長】支援の継続で見えてくること

私が学びを継続する理由として、相手を理解するには自分独自の見方に偏らないために、思考を止めないことが大きな要因としてあります。

昔の私は、何でも結論や答えを探そうとするなど、プロセスよりも結果を重視する傾向がありました。

そのため、短絡的に物事を考えたり、ある偏った見方をしてしまうことが多く、様々な意見に対しても、それを良いか悪いか、また、使えそうかそうでないか、という二分法で考えてしまっていたように思います。今にして思うと何も考えていなかったのに等しいかと思います。

こうした自分の考えにある気づきを与えてくれた存在がいます。

それは、弟の存在です。

私の弟は、発達障害であり、人よりうまくできない所や、偏ったものの見方などがあります。もちろん長所や得意とすることもたくさんあります。

当時の私は診断を受けた弟に対して、「障害ではない」と拒否的態度をとっていました。また、医師や支援者よりも兄としての自分の方が弟のことをよく理解しているという根拠なき自信もありました。

ここに大きな落とし穴がありました。

当時、たいした学びをしていなかった私は自分の偏った視点で物事を見ていたため、当然、弟に対してもそうした理解をしていました。

しかし、実際にそれで、弟のことが理解できたかというとそうではありませんでした。

診断を受けた後も続く困り感の連続に対して、兄としてのこれまでの理解は通じませんでした。それは、感覚的に弟の困り感に共感できていないという感覚がありました。

こうした背景があり、私は本格的に心理学や発達障害などについて学びを始めました。

こうした学問を通しての学びは、冷静に、そして、客観的に人の理解や発達の理解に役立ちますし、何より今まで自分が知らなかったことを知る喜びは大きなものがありました。

また、学問だけではなく、様々な現場に足を運び、身体を通しての学びも大切にしました。身体に刻み込まれた経験と、頭を通して考えた経験は、後々、大きな自己成長に繋がると実感しています。

成長を実感する点として、これまで気付かなかったことに気づいた、新たな発見があった、新たな問いが出てきたなど、どちらかというと分からないことへの気づきの方が大きいように思います。

そして、問いがあれば人は考えることができます。考えを深めていく過程において、人の発達の多様さを認識することができていきます。

こうした経験の蓄積から、今では相手に対して、簡単にわかった気にならないという習慣が身に付いたのだと思います。

今では、学びを継続することが自分を成長させるために不可欠なものだと思っています。

今後も自分の原点を見失わずに、新しことに挑戦し続け、問いや疑問に向き合い続けていきたいと思います。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

スポンサーリンク

-発達障害
-

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【発達障害児に見られる偏食への対応】SST・ペアトレ・感覚統合からのアプローチ

  発達障害児は、発達特性などが影響して、生活の様々な所で困り感が生じる場合があります。 著者は長年、療育現場で発達障害児支援を行っていますが、個々の発達特性や発達段階等を踏まえたオーダーメ …

【大人の発達障害について】困り感をキーワードに考える

  発達支援の現場などでよく「困り感」という言葉が使われることがあります。 私自身も長年、療育現場など発達支援の現場に関わる中で、大人の当事者の「困り感」を理解することの重要性を認識する機会 …

発達障害の原因について機能的結合の視点を通して考える

発達障害(神経発達障害)には、ASD(自閉症スペクトラム障害)、ADHD(注意欠如多動性障害)、SLD(限局性学習症)、DCD(発達性協調運動障害)、ID(知的障害)など様々な症状が含まれています。 …

【発達障害児のうつ・気分障害の関係について】療育経験を通して考える

  発達障害者と〝二次障害″の関連性が高いことが指摘されています。 〝二次障害″に至る背景は、人によって異なります。 中でも、〝二次障害″における〝内在化″のうち、うつなどの〝気分障害″が大 …

【発達障害児への薬物療法について】子どもによく使用されている薬について解説する

  発達障害児への支援の一つに〝薬物療法″があります。 〝薬物療法″は、様々な特性(状態像)によって使用される薬が異なります。 著者が勤める療育現場でも、服薬している子どもたちは多くいます。 …