保育者や先生たちが子どもに与える影響はとても大きいものだと考えられています。
その一つに、愛着関係といった関係性の視点があります。
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保育者や先生との愛着関係が安定していると、園内または学級の中で、子どもは意欲的に活動することが多いと言われています。
一方、保育者や先生たちは特定の一人の子どもだけを相手にする職業ではありません。複数以上の集団をみるという役割も同時にあります。
それでは、保育者や先生たちが子どもたちに与える影響として、個別だけではなく集団を通して、大切な役割には一体どのようなものがあるのでしょうか?
そこで、今回は保育者や先生が子どもたちに与える役割として、個別的敏感性と集団的敏感性をキーワードに、長年療育に携わっている著者の経験談も踏まえて、お伝えしていきます。
今回参照する資料は「遠藤和彦(編)(2021)入門アタッチメント理論:臨床・実践への架け橋.日本評論社.」です。
保育者や先生が子どもたちに与える役割【個別的敏感性と集団的敏感性】
以下、著書を引用しながら見ていきます。
先生が一人の子どもに対して個別に発する「個別的敏感性」のみならず、子ども集団に対して発せられる「集団的敏感性」が重要になるということです。集団的敏感性とは、個々の子どもではなく、子ども集団全体に対する先生の共感的・肯定的関わりや態度であり、親しみのあるやりとりを実践するとともに、集団全体を配慮して子ども同士の協調的やりとりを促すものだと考えられています。
著書の内容から、保育者や先生たちは、「個別的敏感性」に加え、「集団的敏感性」の両方が重要だと記載されています。
「個別的敏感性」とは、個々の子どもの発信などに応じて、個別に対応・配慮していくことになります。
例えば、A君が勉強の中で分からない部分があり、困った表情をしている、そして、手が止まっている際に、先生はいち早くその状況を察知して、勉強をサポートしたり、解き方のヒントを伝えるなどがあります。
こうした先生の「敏感性」により、子どもは先生という「安全基地」を頼りに、安心して園や学級で過ごすことができます。
一方、「集団的敏感性」とは、園や学級といった集団に対して、肯定的・共感的態度を示しながら、集団の協調性などを促進させるものであります。
例えば、クラス全体が先生とは異なる良い意見などを提案してきた際に、先生は即座にその提案を褒めるなどして、クラスといった集団に共感的・肯定的なフィードバックを与えるなどがあります。
それでは、次に著者が「集団的敏感性」の重要性を認識した経験談をお伝えしていきます。
著者の経験談
著者は現在、放課後等デイサービスで療育をしています。
そこで、過ごす子どもたちの状態像は非常に多様です。
子どもたちの状態像にもよりますが、集団での関わり(友だち同士での関わり)を欲している子どもも多くいます。
集団といっても、2人~6人程度など規模が違います。
こうした集団での子どもたち同士の関わりが増えることで、自ずと関わるスタッフ(保育者や指導員)の関わり方も変化してきます。
例えば、A君がB君に言った言葉や行動がこれまで見られなかった肯定的なものであった際に、著者はできるだけすぐにA君とB君の両者に肯定的なフィードバックを行います。
こうした子ども同士のやり取りに関わるスタッフが言葉などで結びつけることで、子ども同士の関係はより強固になりますし、関わるスタッフもまた集団として見る、そして、集団にかけることばも増えていきます。
著者も今ではある程度仲の良い集団には、個別に声掛けする場合もありますが、集団としての声掛けも非常に多くなっていると改めて感じます。
そして、こうした集団を結びつけ、集団という視点で子どもたちを見るようになると、「集団的敏感性」も高まり、「集団的敏感性」が高まったスタッフが集団に声掛けをすることで、さらにその集団はまとまりがよくなるというループがあるのだと実践から感じています。
もちろん、発達に躓きのあるケースでは、個別に配慮は必要不可欠です。
その中で、集団として見る目もまた同様に大切なのだと思います。
以上、保育者や先生が子どもたちに与える役割【個別的敏感性と集団的敏感性】について見てきました。
保育者や先生たちの専門性は、これまで見てきた、個別と集団の両方への理解と認識を高めることも重要な役割だと感じます。
これは、あるコミュニティ・環境の中で、木も森も見る、という視点なのだと思います。
そして、個別及び集団への高い敏感性は、多くの経験値と子どもたちへの深い理解が大切なのだと思います。
私自身、まだまだ未熟ですが、今後も集団においても、高い敏感性を持って関わることができるように、日々の実践を大切にしていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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遠藤和彦(編)(2021)入門アタッチメント理論:臨床・実践への架け橋.日本評論社.