発達障害児の中には〝こだわり″行動が多く見られます。
中でも、自閉症の特性が強い子どもの場合には、〝こだわり″は様々な場面で顕著に見られます。
それでは、周囲で関わる人たちにとって〝こだわり″への向き合い方としてどのような姿勢が大切だと考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、発達障害児の〝こだわり″への向き合い方について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.」です。
〝こだわり″への向き合い方について
著書には2つのポイントを取り上げています。
1.〝共感″の姿勢を大切にする
以下、著書を引用しながら見ていきます。
基本的に、こだわり行動は、子どもが自分自身を安定させるためにやっている行為です。
まずは共感を示しましょう。
著書には、〝こだわり″行動には、まずは〝共感″を示すことが大切だと記載されています。
著者は昔、何かの本で〝こだわり″とは、〝変化に対する抵抗″といった内容を目にしたことがあります。
つまり、生活の中で様々な変化が生じることに対して、自分が安心できる行為が〝こだわり″行動として生じるといった考え方です。
人は不確実なものと確実なものとの間でバランスを取りながら生活しています。
不確定要素が多すぎると人は精神的に不安定になってしまいます。
特に発達障害児にとって変化(いつもと違うこと)が苦手なため、安心感を得るために〝こだわり″行動を取っていると考えられます。
著者の療育現場でも、物の配置にこだわる、順番にこだわる、勝ち負けにこだわるなど様々な〝こだわり″が見られます。
こうした行動に対して、場面や状況によっては〝少しやりすぎ″〝自分勝手″〝わがまま″に見えてしまうこともあります。
しかし、著者の経験上、こうした〝こだわり″にしっかりと向き合っていくことが、子どもたちの状態の安定化に格段に繋がっていくと感じています。
つまり、著書にあるように〝共感″の姿勢を大切に関わっていくということです。
2.〝待つ″姿勢を大切にする
引き続き著書を引用しながら見ていきます。
こだわり行動が見られたら、無理に介入するより、行動が終わるまで「待つ」ほうを選ぶようにしてください。
こだわり行動は脳の特性によるものなので、介入してもなおりません。
どんなこだわり行動も、時間がたてば区切りを迎えるし、いつか終わります。
著書には、〝こだわり″行動が見られたら〝待つ″ことが大切であると記載されています。
著者の療育現場では、〝こだわり″行動が始まるとなかなかその行為を終えることができない場面に出会います。
昔の著者は全体のスケジュール調整の都合などもあり、急いで止めることがありましたが、結果として状態が悪化しただけで、改善効果(うまく切り替えるなど)が見られたことはほとんどなかったように思います。
著書のあるように、〝待つ″姿勢を大切にした方が、結果的に良い状態で活動を終える(切り替える)ことができ、安定した状態で過ごしを終えることができたと感じています。
以上、【発達障害の〝こだわり″への向き合い方】療育経験を通して考えるについて見てきました。
〝こだわり″行動は、それに関する知識のない人からすると特に理解が難しい行動かと思います。
著者も昔は〝一般的に″〝常識的に″思考が強かったことから、なかなかうまく〝こだわり″に対して、〝共感″や〝待つ″姿勢を示すことが難しかったように思います。
しかし、知識の収集や失敗経験を重ねてきた中で得たことを基盤に少しずつではありますが、〝こだわり″に対する向き合い方がうまくなってきたと感じています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も発達障害児が見せるこだわりについて理解を示していきながらより良い実践に繋げていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【自閉症に見られる〝こだわり″の特徴について】3つの特徴から考える」
小嶋悠紀(2023)発達障害・グレーゾーンの子がグーンと伸びた声かけ・接し方大全 イライラ・不安・パニックを減らす100のスキル.講談社.