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【発達障害児に見られるごっこ遊びができない場合の対応】3つのポイントを通して考える

投稿日:2024年11月15日 更新日:

著者は長年、療育現場で発達障害など発達に躓きのある子どもたちへの療育をしてきています。

発達障害児、中でも、自閉症児において、〝ごっこ遊びができない・苦手である″といったケースがよく見られます。

〝ごっこ遊び″は、他者と様々なイメージを共有するなど、イメージ力(想像力)の発達の基盤となる遊びとも言えます。

 

それでは、発達障害児に見られるごっこ遊びができない(苦手である)場合に対して、どのような対応方法があると考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、発達障害児に見られるごっこ遊びができない場合の対応について、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、3つのポイントを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「岩永竜一郎(2022)発達症のある子どもの支援入門-行動や対人関係が気になる幼児の保育・教育・療育-.同成社.」です。

 

 

※幼児を対象として書かれた本ですが、学童期にも活用できる視点も含まれていると思います。

 

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ごっこ遊びができない場合の対応:3つのポイント

著書には〝ごっこ遊びができない″場合の対応方法として、以下の3つのポイントが書かれています(以下、著書引用)。

ごっこ遊びができない背景を探る

 

対人意識を高める

 

想像世界を共有する

 

 


それでは、次に、以上の3つのポイントについて具体的に見ていきます。

 

1.ごっこ遊びができない背景を探る

ごっこ遊び(象徴遊び)には、様々な能力の基盤が必要になります。

例えば、物事を見立てる力、他者への興味関心、他者とイメージを共有する力、他者とコミュニケーションがある程度はできるなど、様々な能力が必要になります。

そして、著者の実感として、ごっこ遊びに興味関心を示しているのかがとても大切だと思います。

著者は療育現場で子どもたちと、様々なごっこ遊びをしてきていますが、まずは、周囲の人がやっているごっこ遊びに興味関心を寄せているのか?あるいは、その子どもの興味関心を通してごっこ遊びへと展開していくことができるのか?などの視点を持つことを大切にしています。

以上を踏まえても、ごっこ遊びができない場合には、先に見た能力面のアセスメントも必要だと思います(〝ごっこ遊びができない背景を探る″)。

 

 

2.対人意識を高める

以下、著書を引用しながら見ていきます。

追いかけっこ、くすぐり遊びなどから始めた方が良いでしょう。子ども相手の遊びに興味がない場合、大人が相手になる遊びから始めても良いと思います。

 

ごっこ遊びが可能となる基盤の一つに、他者への興味関心があります。

例えば、他者がやっている遊びや活動に興味が湧く、他者と一緒に何かを共有したいといった動機があるかどうかが大切です。

このような動機がないようであれば、まずは著書にあるように〝対人意識を高める″工夫が必要になってきます。

その際に、最初は大人との関わりを主とした遊びやシンプルな遊び(追いかけっこ、くすぐり遊び)などが有効だと言えます。

著者は、療育現場で対人意識が乏しい子どもには、スキンシップ遊び、毛布ブランコ遊び、追いかけっこやかくれんぼなどを行うことがよくあります。

こうした遊びを通して対人意識が高まっていったケースは多くあります。

 

 

3.想像世界を共有する

以下、著書を引用しながら見ていきます。

ASD児は他の人の気持ちを想像することが難しいために、ごっこ遊びのような他の人と想像世界を共有する遊びが困難になるのでしょう。

 

ところが、逆にASD児の想像世界に大人が飛び込んでいくことで想像世界が共有できることがあります。

 

著書には、自閉症児において、他者との間で想像世界を共有することが難しいと考えられていますが、その一方で、逆に自閉症児の興味関心のある想像世界に入り込んでいくアプローチを取ることで、イメージの共有ができる場合もあると記載されています(〝想像世界を共有する″)。

著者の実感としても、まさに自閉症児の持つ独特な世界にこちら側から身を寄せることで、様々な想像世界が膨らみ共有経験が豊富に持てたケースは多くあります。

想像世界の内容が非常に独特なものであっても、その世界を知りたい・分かち合いたいといった姿勢がとても大切なのだと思います。

もちろん、子どもが嫌がっている場合には、過度な侵入は避けた方がいいと思います。

 

 


以上、【発達障害児に見られるごっこ遊びができない場合の対応】3つのポイントを通して考えるについて見てきました。

自閉症児のごっこ遊びは、定型発達児と比べて独特な要素が豊富な場合がよくあります。

ごっこ遊びを通して得られるものには、人との共有体験を持つ楽しさや(共有経験)、人への関心を高め(他者意識)、イメージを他者と共有することで徐々に発展させていき(イメージ力)、また、そこには様々な喜怒哀楽といった感情が付与されていく(感情理解)ことにあるのだと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後もごっこ遊びについて、療育での実践を通して、深い意味を見出していきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【ごっこ遊びの大切さについて】療育経験を通して考える

関連記事:「【発達障害児もごっこ遊びは可能か?】ごっこ遊びを可能にする要素について療育経験を通して考える

 

 

岩永竜一郎(2022)発達症のある子どもの支援入門-行動や対人関係が気になる幼児の保育・教育・療育-.同成社.

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