著者は療育現場で発達障害など発達に躓きのある子どもたちと関わっています。
関わっている子どもの年齢層は小学生といった学童期が中心です。
この時期の子どもたちには〝アナログ脳″を育てることがとても大切だと感じています。
それでは、なぜ〝アナログ脳″を育てることが必要なのでしょうか?
そして、〝アナログ脳″を育てるためには何が必要なのでしょうか?
そこで、今回は、療育で大切なことについて、臨床発達心理士である著者の経験談も交えながら、学童期までに育てたい〝アナログ脳″について理解を深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「加藤俊徳(2023)一生成長する大人脳.扶桑社.」です。
〝アナログ脳″の必要性と育て方について
以下、著書を引用しながら見ていきます。
その前段階―学童期前半の幅広い経験が、脳の潜在的な強さをつくるのではないかと思っています。
この時期に極めて重要なのが、「アナログ脳」を育てておくことです。この年代のうちにたくさん動き、たくさん笑い、意欲的になれることにたくさん接することが脳の成長に大きな影響を与えます。
リアルな「経験」が大切だ、ということです。
著書には、学童期前半までに、できるだけ〝リアルな経験″を通して〝アナログ脳″を育てていくことが大切だと記載されています。
つまり、〝アナログ脳″を育てるということは、柔軟性や想像性、そして社会性などの力の構築に寄与し、その後の人生をより逞しく豊かに生きていくために必要だと言えます。
そのために必要なことは、著書にあるように〝リアルな経験″をすること、例えば、、体をたくさん動かし、五感で多くのことを感じ、他者との触れ合いの中で様々な感情を共有・共感することが重要です。
学童期前の未就学の頃は、五感を発達させることがとても重要だと言われています。
そして、学童期期に入っても引き続き、五感の発達に必要な〝リアルな経験″が必要だと言えます。
最近は、ネットやスマホなどデジタル機器と触れ合う機会が高まっています。
当然、学童期の子どもたちもデジタル機器に接することが増えています。
もちろん、今後もデジタル社会で生活していくためにも、デジタル機器の使用は必要だと思います。
一方で、デジタル機器を生活の中で豊かに活用していくためには、発達初期(学童期頃)までに〝アナログ脳″を鍛えておく必要があると思います。
著者の経験談
著者の療育現場では、他者との交流を生むことに重きを置いています。
様々な他者と活動を共にすることで多様な人がいることへの理解が深まり、そして、他者と様々な〝体験″を共有する喜びを感じながら子どもは発達していくのだと思います。
ここで上げた〝体験″には様々なものがあります。
例えば、○○ごっこといったごっこ遊び、工作遊び、おしゃべり、自然との触れ合い、外で体を使って全力で遊ぶ、などがあります。
こうした活動(体験)を通して、子どもたちの中で、〝アナログ脳″が育っていくのだと思います。
例えば、ごっこ遊びでは他者とイメージを共有する力(想像力)、工作遊びはイメージしたものを具現化する力(創造力)、外遊びは五感や身体機能の発達などに貢献すると考えます。
様々な〝リアルな経験″を通して、子どもたちは年々、柔軟性や想像性、社会性などがしっかりと育まれていると感じることがあります。
もちろん、個々によって発達がゆっくりであったり、凸凹もあるため、個人差は大きくあります。
それでも、〝リアルな経験″を積み重ねてきたという経験総量は、子どもが今後を豊かに生きるための力の基盤になっていると感じています。
以上、【療育で大切なこと】学童期までに育てたい〝アナログ脳″について見てきました。
著者が子どもの頃には、近所にたくさん空き地があり自然の中で遊ぶことがよくありました。
また、近所の人と接する機会もよくあり、自然と〝アナログ脳″が育ちやすい環境があったのだと思います。
一方で、今の子どもたちの環境は地域にもよるかと思いますが、身近に自然が少なくなったこと(人工物の増加)や、地域での交流の機会も減っているように思います。
だからこそ、地域の子どもたちが交流する場と、その中で〝リアルな体験″ができる環境が今後ますます大切になってくると感じています。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で関わる子どもたちの育ちが少しでも豊かなものになっていけるように、リアルな体験にしっかりと目を向けていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
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加藤俊徳(2023)一生成長する大人脳.扶桑社.