【誤信念課題の正答は“心の理論”だけではない】実行機能との関係を解説

実行機能

「〝心の理論″とは、他者の意図、欲求、願望、信念、知識といった心の状態を推論する能力」のことを言います。

心の理論を測る方法として、〝誤信念課題″といったものがあります。

〝誤信念課題″とは、〝他者の心を理解する能力″を調べる課題であり、有名なものとして、サリーとアンの課題、スマーティ課題などがあります。

〝誤信念課題″は心の理解の課題とも言われている一方で、様々な認知機能も必要になると考えられています。

そして、認知機能との関連の中で注目されているのが〝実行機能″です。

 

それでは、心の理論を調べる方法としての〝誤信念課題″は〝実行機能″とどのような関係があるのでしょうか?

 

そこで、今回は、心の理論と実行機能の関係について、誤信念課題を通して考えを深めていきたいと思います。

 

※この記事は、臨床発達心理士として10年以上療育現場に携わり、修士号(教育学・心理学)を有する筆者が執筆しています。

 

 

今回参照する資料は「子安増生(編)(2016)「心の理論」から学ぶ発達の基礎-教育・保育・自閉症理解への道-.ミネルヴァ書房.」です。

 

 

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【誤信念課題の正答は“心の理論”だけではない】実行機能との関係を解説

以下、〝誤信念課題″で有名な〝サリーとアンの課題″を例に見ていきます。

サリーとアンの課題″は、以下の内容となっています。

①サリーがビー玉を自分のカゴに入れる。

②サリーが部屋を出ていった後で、アンがビー玉を別の場所(自分の箱)に隠す。

③その後、サリーが部屋に戻ってくる。

④子どもに、「サリーはどこを探すでしょうか?」と尋ねる。

正解は、「サリーのカゴ」になります。

この課題を正解するためには、「サリー」という「他者」の誤った信念を理解しなければいけません。

誤信念課題の通過率は、定型発達児では4~5歳頃と言われています。

 


それでは、次に、上記の〝誤信念課題″と〝実行機能″がどのような関連性があるのかについて見ていきます(以下、著書引用)。

  • ストーリー中の登場人物の行動について理解し、おぼえておく
  • 物の本当の場所についての自分の知識を抑制する(つい、本当のことを言ってしまわない)
  • 自分の知識(物の本当の場所)から主人公の知識(「物が元の場所にある」と思っている心の状態)に注意を切り替える

 

実行機能の構成要素は、①更新、②抑制、③シフトの3つから構成されています。

更新は、新しい情報を取り込み、記憶をアップデートする働きです。ワーキングメモリとも関連し、上記の内容で言えば〝おぼえておく″と関連します。
抑制は、目標到達に必要な情報以外は抑制する働きです。上記の内容で言えば、〝抑制する″と関連します。
シフトは、状況や課題に応じて注意をシフトする働きです。上記の内容で言えば、〝注意を切り替える″と関連します。

このように、〝誤信念課題″には、実行機能でいう①更新、②抑制、③シフトの3つの機能が影響してくることがわかります。

 


以上、【誤信念課題の正答は“心の理論”だけではない】実行機能との関係を解説について見てきました。

心の理論には、認知機能の中の〝実行機能″が関係していることがこれまでの研究知見から分かってきています。

また、実行機能以外でも、〝言語能力″も関連しているなど、心の理論課題を正当するためには(獲得するためには)様々な能力の発達が必要であると言えます。

心の理論と言語能力の関係についてはこちらで紹介しています:関連記事:「【心の理論と言語能力の関係とは?】自閉症児の発達を療育経験から解説」。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も心の理論への理解を深めていきながら、現場で関わる子どもたちの理解と支援にその理解を関連付けていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

心の理論と実行機能の関係についてはこちらの記事でも紹介しています:関連記事:「【心の理論と実行機能の共通点】発達時期と脳領域から読み解く関係性」。

 

心の理論についてお勧め書籍は以下で紹介しています。

関連記事:「【臨床発達心理士が厳選】心の理論に関するおすすめ本:初級~中級者向け

 

子安増生(編)(2016)「心の理論」から学ぶ発達の基礎-教育・保育・自閉症理解への道-.ミネルヴァ書房.

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