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大人の愛着障害 治し方

【大人の愛着障害の治し方】愛着再形成の7つのレッスンを通して考える

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愛着‟とは〝特定の養育者との情緒的な絆″のことを指します。

愛着に問題があると、〝愛着障害″へと繋がる場合もあります。

最近では、子どもだけではなく〝大人の愛着障害″についても関心が高まってきています。

一方で、〝大人の愛着障害″については、正式な疾病概念は存在していません。

 

関連記事:「【大人の愛着障害は診断可能なのか】大人の愛着の問題について考える

 

そのため、今回は、〝大人の愛着障害″を〝愛着の問題″という形で捉えながら話を進めていきます。

 

それでは、大人の愛着障害(愛着の問題)を治す方法はあるのでしょうか?

 

そこで、今回は、大人の愛着障害(愛着の問題)の治し方について、愛着再形成の7つのレッスンを通して理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「村上伸治(2024)心のお医者さんに聞いてみよう 大人の愛着障害 「安心感」と「自己肯定感」を育む方法.大和出版.」です。

 

 

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大人の愛着障害の治し方:愛着再形成の7つのレッスン

著書には、愛着障害(愛着の問題)の治し方について、〝愛着再形成の7つのレッスン″が記載されています。

 

それでは、以下に、7つのレッスンを引用して見ていきます。

自分の人生を俯瞰し、「よくがんばったね」とねぎらう

 

他人に寛容で優しくするのと同じだけ自分にも優しくしてみる

 

親との関係がわるくないなら親との小さい頃の話をしてみる

 

周囲の人たちにまんべんなくプチ甘えをする

 

生活のなかで助けられたことを思い出して、記憶を上書きする

 

心が緩んだら、仮面の裏の不完全な自分を受け入れる

 

自分を総動員してかわいがり、自分自身を救い出す

 

 


それでは、次に、7つのレッスンについて具体的に見ていきます。

 

1.自分の人生を俯瞰し、「よくがんばったね」とねぎらう

自分のネガティブな感情やネガティブな過去について振り返ることがまずは必要です。

振り返る中で、自分の心の構造を理解していくことが大切です。

この作業は愛着に問題を抱えてる人にとってとても大変な作業になりますが、ここで重要なことは、これまでの自分の人生を俯瞰していく中で、心の構造を理解し、これまで辛かったけれども頑張ってきた自分自身をねぎらうことにあります。

 

 

2.他人に寛容で優しくするのと同じだけ自分にも優しくしてみる

愛着に問題を抱えて人の中には、自分よりも他人を優先するケースが多いとされています。

その背景として、自己肯定感の欠如があります(うまく育まれてこなかった)。

そのため、ここでは、他人と同じくらい自分にも優しく対応するという習慣を身につけていくことが重要になります。

 

 

3.親との関係がわるくないなら親との小さい頃の話をしてみる

著書には、思春期頃までなら、親子関係がそれほど悪くない場合において、親子関係を再構築することが可能だと記載されています。

そのため、親と小さい頃の体験談を話して見ることも一つの解決策ではあります。

一方で、年齢をさらに重ねたケースにおいては、こうした解決策は逆効果になる場合があります。

そのため、周囲に親以外の理解者を複数構築していく(特定の理解者がキーとなりますが、負担が大の場合もあるため)必要があります。

 

 

4.周囲の人たちにまんべんなくプチ甘えをする

過度に一人の人に愛着関係を依存してしまわないように、周囲の人にプチ甘えをしていくことが大切です。

プチ甘えの内容として、簡単なお願い事や相談してアドレスを求める、自分の弱みを少し見せるなどの方法があると著書には記載があります。

少しのヘルプサインを出していけるかが重要だと言えます。

 

 

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5.生活のなかで助けられたことを思い出して、記憶を上書きする

他者にヘルプサインを出し、助けを求めていく中で、これまでの生活の中で他者に助けられたことを思い出すこともあります。

このような経験を思い出していく中で、自分が大切にされていた場面を思い起こし、記憶を上書きしていくことも重要です。

 

 

6.心が緩んだら、仮面の裏の不完全な自分を受け入れる

愛着が再形成されていくと、心が緩んだ際に、これまでの様々なネガティブな感情が吹き出し、止まらなくなることが起こる場合があります。

つまり、仮面の裏の顔(愛着に問題がある不完全な自分)が顔を出してくるといった状態です。

このような、状態に陥ってしまっても、その不完全な自分を受け入れ、ねぎらうことが大切です。

なぜなら、その不完全な自分とは、愛着の問題が引き金となって現れた、もがき苦しんでいる過去の自分の姿だからです。

 

 

7.自分を総動員してかわいがり、自分自身を救い出す

愛着修復の鍵になる対象は、親や友人、パートナーなど様々です。

一方で、著書には、〝エンプティチェア″といった方法が紹介されています。

これは、現在の自分自身が過去の自分に語りかけることで、エネルギーを送る方法です。

例えば、小学生の頃の自分に向けて、中学生の頃に自分に向けてなど、様々な年齢に応じて、辛かったこと・頑張ってきたことを認め・ねぎらいの言葉をかけていく中で、エネルギーを送るものです。

 

 


以上、【大人の愛着障害の治し方】愛着再形成の7つのレッスンを通して考えるについて見てきました。

今回は、自分でできる愛着の治し方について見てきました。

大人の愛着障害の問題は、未解決の状態にあると、さらに状態が悪化するなど重篤化するリスクもあります。

そのため、生きづらさ、生きる意欲がない、などの背景に愛着の問題が隠れていないかを分析して、対応策を考えていくことが大切だと言えます。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も自分が関わる療育現場において、子どもたちに多くの愛情を注いでいく関わりを大切にしていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

関連記事:「愛着アプローチとは何か【2つのアプローチから考える】

 

 


愛着・愛着障害に関するお勧め関連書籍の紹介

関連記事:「愛着障害に関するおすすめ本【初級~中級編】

関連記事:「愛着(アタッチメント)に関するおすすめ本【初級~中級編】

 

 

村上伸治(2024)心のお医者さんに聞いてみよう 大人の愛着障害 「安心感」と「自己肯定感」を育む方法.大和出版.

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