発達理解・発達支援・ブログ

人間の多様な理解と支援を目指して!

アセスメント 二次障害 発達障害

【二次障害のアセスメントで必要なインフォーマルアセスメント】発達障害児支援の現場を通して考える

投稿日:2024年3月31日 更新日:

二次障害″及び〝発達障害″への支援を行う上で〝アセスメント(評価・査定)″は非常に重要です。

アセスメント″には様々な方法があると考えられています。

 

それでは、二次障害へのアセスメントにはどのような情報収集の方法が必要だと考えられているのでしょうか?

 

そこで、今回は、二次障害のアセスメントで必要なインフォーマルアセスメントについて、臨床発達心理士である著者の意見も交えながら理解を深めていきたいと思います。

 

 

今回参照する資料は「前田智行(2023)子どもの発達障害と二次障害の予防のコツがわかる本.ソシム.」です。

 

 

スポンサーリンク

インフォーマルアセスメントについて

包括的アセスメントには、大きく〝フォーマルアセスメン″と〝インフォーマルアセスメント″の二つがあります。

前者は、知能検査・発達検査など標準化されたツールを活用した情報収集の方法であり、後者は、家庭や学校での様子を行動観察し情報を収集する方法を指します。

著者の療育現場での情報収集の主な方法は、〝インフォーマルアセスメント″を活用しています。

〝フォーマルアセスメント″については、まだまだうまく情報収集が取れていない現状がありますが、二次障害に対する直接支援の現場では〝インフォーマルアセスメント″は必要不可欠なアセスメント方法だと実感しています。

 

 


以下、〝インフォーマルアセスメント″についてのメリット・デメリットを通して理解を深めていきたいと思います。

 

インフォーマルアセスメントのメリット

以下、著書を引用しながら見ていきます。

日常の自然な姿に加え、好き嫌いや得意・不得意など支援に直接使える情報が手に入ります。そして、課題となる行動そのものを記録できるなど、情報量も多く、支援には欠かせません。

 

二次障害″へのアセスメントで著者がよく活用する方法は、〝問題行動″の〝アセスメント″です。

例えば、○○の状況で他害・暴言・パニックなどの行動が出る(出やすい)、○○の時期・時間帯になると他害・暴言・パニックなどの行動が出る(出やすい)、など〝日常生活の中で生じる問題行動の状況を分析する″といったものです。

また、〝二次障害″を〝予防″するためには、その子の〝好き・嫌い、得意・不得意といった性格についても把握していく″ことが大切です。

予防の観点から、子どもが好きな活動内容、子どもが好む関わり方などを中心に活動組み立てて進めていくことで二次障害の悪化を防ぐことに繋がると感じています。

 

インフォーマルアセスメントのデメリット

以下、著書を引用しながら見ていきます。

デメリットは、評価が主観的という点です。人によって評価が違うと、チームでの共通認識が難しくなります。

 

二次障害″へのアセスメントで〝インフォーマルアセスメント″を活用すると生じる難しさとして、子どもの問題行動の分析が人によって異なる場合が出てくるというものです。

〝インフォーマルアセスメント″は、評価者の主観に依存してる部分が多くあるため、例えば、Aさんが問題行動の背景は特性への理解や配慮が足りないことが要因だと推測している一方で、Bさんは問題行動の背景は養育者との愛着関係が要因だと推測しているなど異なる見解が生じる場合があります。

 


それでは、こうした〝インフォーマルアセスメント″のデメリットを補うためには何が大切となるのでしょうか?

以下、この点について見ていきます。

 

デメリットを補うために大切なこと

〝インフォーマルアセスメント″のデメリットを補うためには、できるだけ〝行動記録に客観的な情報を残すことが必要″です。

例えば、問題となる行動が今月○○回生じた、今週○○回生じた、今日○○回生じたなど〝数値″として残すなどです。

その他にも、著者は多くのスタッフから見た〝納得感″を大切にしています。

例えば、A君の問題行動の背景要因は○○だと思う・考える、といった○○に相当する仮説を多くのスタッフ間で試行錯誤して全体で納得できるレベルまで引き上げるという方法です。

注意点としては、年長者や立場の高い人の意見のみが先行されないように協議をしていく必要があります。

 

 


以上、【二次障害のアセスメントで必要なインフォーマルアセスメント】発達障害児支援の現場を通して考えるについて見てきました。

二次障害のアセスメントには今のところ決まった方法はないと考えられています。

一方で、〝フォーマルアセスメント″や〝インフォーマルアセスメント″など様々な情報収集の方法があります。

アセスメントを行う上で、目的や課題に応じて必要となる情報は異なるため、何のために○○の情報が必要となるのかを個々人で考えていくことが大切だと思います。

私自身、まだまだ未熟ではありますが、今後も療育現場で関わる子どもたちの二次障害の対応と予防に少しでも貢献していけるように、アセスメントについての理解も深めていきたいと思います。

最後まで読んで頂きありがとうございました。

 

 

関連記事:「【二次障害のアセスメントについて】発達障害児支援の領域から考える

 

前田智行(2023)子どもの発達障害と二次障害の予防のコツがわかる本.ソシム.

スポンサーリンク

-アセスメント, 二次障害, 発達障害

執筆者:


comment

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

関連記事

【レジリエンスを高めるために大切なこと】発達障害児支援で大切なポジティブ経験の重要性

著者は療育現場(発達障害児支援の現場)で様々な子たちを見てきています。 子どもたちを見ていると〝ストレスに強い″子ども、〝ストレスに弱い″子どもがいます。 こうした特徴の背景には、生まれ持っての性格な …

【自閉症だと思ったらしておくべき評価について】発達障害児・者支援の現場から考える

発達障害の中に含まれる自閉症(自閉症スペクトラム障害:ASD)とは、対人・コミュニケーションの困難さとこだわりを主な特徴としています。   それでは、自分がもし自閉症だと思ったらどのような評 …

行動障害のアセスメントで必要な視点【状況要因と契機要因】

行動障害(Challenging Behaviour)とは、自傷や他害、パニックや癇癪、器物破損など、その行動が自他に悪い影響を及ぼすものだとされています。 また、行動障害と強度行動障害とを定義上分類 …

【発達障害の診断は100%正確なのか?】診断をする際の〝主観性″〝流動性″を通して考える

発達障害を特定するためには医師による診断が必要です。 診断する医師は、生育歴、発達特性の検査、知能検査、家庭環境、などの情報を踏まえて診断を行っています。 また、診断内容によってはある程度年齢がいかな …

【不適応行動の改善で最も重要な先生(療育者)の5つの特徴】発達障害児支援を例に

〝不適応行動″とは、例えば、他害、暴言、かんしゃく、パニック、逃避行動など望ましくない行動を指します。 〝問題行動″とも言われる〝不適応行動″は、長期化すると〝二次障害″に繋がる可能性もあり(すでに二 …