モンテッソーリ教育の中には、〝自己教育力″という言葉が使われています。
〝自己教育力″という言葉から、自分自身を教育する力、とも言い換えることができますが、本質的な意味としてどのようなものと考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、モンテッソーリから見た〝自己教育力″とは何か?について、著者自身の経験談も交えながら考えを深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「相良敦子(1985)モンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!.講談社.」です。
〝自己教育力″とは何か?
以下、著書を引用します。
ほんとうの意味の自己教育力は、人格の深みで実感された「自分が変わる!」という体験を原点として出てくる力であるのです。
著書の内容から、〝自己教育力″とは、〝自分が変わる″ことから生じる力、と言い換えることができます。
〝自分が変わる″ことから生じる力とは、深い意味での人格の変化・成長と捉えることができます。
それでは、〝自分が変わる″ことから生じる力を獲得するためには、どのような段階が必要となるのでしょうか?
以下、著書を引用しながら見ていきます。
①自分で選び(自己選択)、
②選んだものに主体的にかかわり(子どもの仕事)、
③全人格をかけてかかわり抜き(集中)、
④自分のより本来的な高い資質を実現していく(正常化)。
著書の中では、以上の4つの段階があるとしています。
〝自分が変わる″ことから生じる力を得るための段階として、①自分で物事を選択し、②その対象に主体的に関わり、③関わり方も全力で取り組むことで、④本来その人が持っている資質・才能が開花していく、というプロセスがあるとしています。
これは、モンテッソーリ教育の他の表現を借りると、〝学びのスパイラル″〝学びの道筋″〝学びの法則″とも言えます。
関連記事:「【モンテッソーリから見た〝学びの道筋″】療育経験を通して考える」
それでは次に、〝自己教育力″について著者自身が経験したことについてお伝えします。
著者の経験談
著者は小学生の頃に、空手を習いはじめました。
習いはじめた動機は、親や周囲の勧めなどではなく、憧れのアクションスターの映画を見て、人の動きの凄さに感動を覚えたことがはじまりでした!
小学生の著者(見たのは幼稚園の頃でした)にとって、アクションスターの動きはとても速く滑らかであり、まさに、超人のような凄さを持っていました。
人間の動きにすっかり魅了された著者は、空手の動き、特に〝型″を学ぶことに非常に興味がありました。
〝型″も10級からスタートし、昇級していくごとに難易度が上がります。
次の〝型″を学びたいという動機から、著者は、基本動作を繰り返すことに集中して取り組み始めました。
その際に、少しでも速く・正確に・滑らかに動くことを意識し、空手の先生や先輩たちの動きを食い入るように見ていたことを思い出します。
基本動作の繰り返しと、連続した〝型″をやり通すことで大きな達成感がありました!
特に、演武会や空手の昇級試験の際には、気合が漲っていたことを思い出します!
学校の勉強では考えられません(笑)。
こうして、一つ一つ新しい〝型″を身につけていくことで、自分の身体を速く・滑らかに動かす能力が高まったと同時に、自分自身に自信が持てるようになりました。
まさに、空手を通して、人格の成長にも繋がったと言えます。
そして、〝もっとうまくなりたい″という内部からのエネルギーも高まっていきました!
こうした過去の空手経験を振り返って見ると、〝自己教育力″といった〝自分が変わる″ことから生じる力を獲得すること、まさにそのものだったと考えさせられます。
以上、【モンテッソーリから見た〝自己教育力″とは何か】自身の経験を通して考えるについて見てきました。
〝自己教育力″とは、〝自分が変わる″ことから生じる力を得ることです。
そのためには、〝学びの道筋″を繰り返し辿りながら、少しずつ自信をつけていくことが大切です。
そして、その自信は、自分自身の深い内部の成長(人格の成長)にまで繋がっていきます。
私自身、まだまだ未熟ではありますが、〝自己教育力″という言葉をキーワードに、自分が今関わっている療育現場の子供たちに〝自分が変わる″という経験を通して湧き上がるエネルギーや自信を持たせていけるような関わり方を考えていきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
相良敦子(1985)モンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!.講談社.