私たちは、自分の身体経験を通して、〝知性″を獲得し発達させていきます。
一般的に〝知性″というと、思考力や判断力といった物事を考える力のことを言います。
モンテッソーリ教育では、子供たちが〝知性″を獲得していく過程を通して、〝知性″が持つ働きや性質について様々な説明があります。
それでは、〝知性″は子供もの頃に、どのような経験を通して発達していくのでしょうか?
そして、〝知性″の働きと性質はどのようなものだと考えられているのでしょうか?
そこで、今回は、モンテッソーリから見た〝知性″について、〝知性″の働きと性質について、考えを深めていきたいと思います。
今回参照する資料は「相良敦子(1985)モンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!-.講談社.」です。
〝知性″の働きについて
以下、著書を引用します。
「知性の働きを一言でいうなら、それは『区別する』ことだ」といいます。人間は、混沌とした状態を整理していく際に、「区別する」ことから始めます。
こうして、「分ける」という最初の行為は「集める」、「比べる」、「合わせる」などの働きに発展していきます。
著書の内容から、〝知性″の働きとは、「区別する」こと、つまり、「分ける」ことから始まり、「分ける」→「集める」→「比べる」→「合わせる」の順番で進んでいくとの説明があります。
例えば、河原で子どもが遊んでいるとします。
河原の中には、草木や石、水、花など様々な物があります。
子どもは様々ある自然の物の中から、石を拾い始めます。
ここで、〝石″を他の物と〝区別する″〝分ける″という行為が見られます。
そして、同じ石を拾い始めることで、そこには、同じ種類のものを〝集める″という行為が見えます。
さらに、集めてきた石を見比べます。ここに、〝比べる″という行為があります。
そして、形や色、大き、感触(ツルツル、ザラザラなど)が同じ種類だと感じたものを〝合わせる″という行為、つまり、カテゴリー化が見られます。
こうした、例は、子どもの遊びの中でよく見られる光景かと思います。
このように、〝知性″とは、「区別する」こと、「分ける」ことから始まり、「集める」→「比べる」→「合わせる」の順で進んでいくということが先の例を見てもわかるかと思います。
〝知性″の性質について
以下、著書を引用します。
知性は、このように自発的に展開していく性質をもっているのですから、知性の性質は「自発性」だと言えます。
〝知性″の性質とは、著書の内容を踏まえると、〝自発性″です。
〝自発性″があることで、人は様々な事物について、自分の身体を通して、認識・理解を深めていきます。
子供は、誰かに背中を押されることをされずとも、自らの〝自発性″を持って、環境に働きかけていきます。
それは、何かを触って見たり、拾って集めて見たり、集めたものを見比べてみたりしていく中で、様々な事物を理解していくことです。
そして、こうした具体的な経験をもとに、言語といった抽象的に物事を考え、理解することができるようになっていきます。
子供たちは、自然と自らの好奇心・探求心に従って自発的・能動的に世界を認識していく中で、〝知性″を獲得していきます。
このように〝知性″の性質が〝自発性″にあるということは、大人になっていく中で、〝知性″を向上させていくためには、自らの問いや好奇心に対して、自発的に思考することが大切だと言えます。
以上、【モンテッソーリから見た〝知性″について】〝知性″の働きと性質について見てきました。
〝知性″の働きは「分ける」ことから始まり、そして、その性質は〝自発性″にあるとされています。
こうした知見を踏まえて感じることは、発達には一定の道筋(順序・規則)があるという理解の大切さ、そして、何かを学ぼうとするときには、内発的なエネルギーが重要だということです。
私自身、療育現場で様々な子どもたちと関わっているため、今回取り上げた内容は、子供たちを理解し支援する視点において大切な要素がとても多くあると感じています。
まだまだ未熟ではありますが、今後も〝知性″の本質を理解していきながら、子供たちが〝知性″を発展させていけるような関わり方を創意工夫していきたいと思います。
最後まで読んで頂きありがとうございました。
関連記事:「【モンテッソーリから見た〝知性″の〝発達段階″について】具体から抽象へ」
相良敦子(1985)モンテッソーリの幼児教育 ママ、ひとりでするのを手伝ってね!-.講談社.